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わたしを抱っこできる権利?

 ママに抱っこされて冥界に向かう。

 やっぱり赤ちゃんは楽でいいなぁ。

 自分で歩かなくていいんだもん。

 でも、ずっと髪をスーハー吸われているね……

 ママはわたしが赤ちゃんになってからニヤニヤが止まらないみたいだ。


 タルタロスのおじいちゃんは小さくなったわたしとずっと一緒にいたかったみたいだけど……

 あのパパが、わたしが赤ちゃんになった事を知ったら抱っこして離すはずがないよ。


「ペルセポネ? タルタロスに行っていたのか?」


 冥界に入ると背後からパパの声が聞こえてきた。


「うわぁっ! ハデス!?」


 突然声が聞こえたからママが驚いている。

 パパは全然気配を感じないからね。


「……? 腕にいるのはベリアルのぬいぐるみか? 動いているが」


「あぁ……違うの。カサブランカなの」


「……カサブランカ?」


 パパがママの腕を覗き込む。

 突然赤ちゃんになったから驚いちゃうかな?


「えっと……パパ……」


 おじいちゃんが寂しくて、わたしを小さくして一緒にいようとした設定……

 いや、実際そうなんだけど……


「カサブランカ!? カサブランカなのか!?」


「……うん。パパ……また赤ちゃんからやり直す事になっちゃった」


 あ……

 パパの表情が驚きから喜びに変わった……


「カサブランカ……あぁ……なんと愛らしい……こんなに小さい時もあったのだな」


 パパに抱っこされると……

 あぁ……

 落ち着く……

 懐かしいな。

 五十年前、赤ちゃんだった時もこんな風にパパが抱っこしてくれていたんだよね。


「えへへ。パパの抱っこ好き」


「そうか……」


 パパが幸せそうに微笑んでいる。  


「パパの離乳食が食べたいよ」


「カサブランカが好きだった甘い離乳食だな。すぐに作ろう。だが何があったのだ? まさか、ヘリオスも赤ん坊に?」


「ハデス……違うの。タルタロスのおじい様がカサブランカとずっと一緒にいたくて小さくしちゃったの」


 ママがわたしの髪を撫でながらパパに話している。


「父上が? そうか、父上はカサブランカを気に入っているからな。だがずっと赤ん坊のまま……という事は……」


「大丈夫みたい。時を戻しただけみたいだから」


「そうなのか……害はないのだな?」


「うん。ハデス……今回はおじい様にもカサブランカを抱っこさせてあげてね? おじい様は赤ちゃんが好きみたいだし。五十年前はハデスがずっと抱っこしていたから全然抱っこできなかったでしょう?」


「……愛らしいカサブランカをずっと抱っこできるのは父親としての特権なのだ。……だが……父上なら……甘んじて受け入れよう」


「ハデス……偉いね。かなり我慢しているのが伝わってくるけど」


 ママの言う通りだね。

 ずっとわたしを抱っこしていたい気持ちが溢れているよ。


「父上でなければ到底許せない……だが……父上なら仕方ない」


「ふふ。ハデスはおじい様なら許せるんだね」


「父上は特別だ」


 ママが話していた通り、パパはタルタロスのおじいちゃんの事が大好きなんだね。

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