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おじいちゃんはママを試しているのかな?

「おじい様……じゃあヘリオスを成長させたのは?」


 ママが小さく震えながらおじいちゃんに尋ねている。


「え? ヘリオス? ああ。ヘリオスは『おまけ』だよ」


「おまけ?」


「カサブランカの成長を止めたからついでにヘリオスの成長も止めた。カサブランカを成長させたからついでにヘリオスも成長させた。それだけの事だよ」


「おじい様……ヘリオスもおじい様の孫なんだよ?」


「孫……よく分からないよ。親とか子とか孫とか……そんなのただの形でしょ?」


「ただの形?」 


「ハデス達は父親であるわたしをタルタロスに捨てた。両親はわたしを見捨ててすっかり忘れていた。結局親子なんてそんなものだよ」


「ハデスはおじい様の為にタルタロスを変えたんだよ?」


「……でも……ハデスもペルセポネを選んだ。皆ペルセポネを選んだ」


「それは違うよ。おじい様……ハデスも吉田のおじいちゃんもおばあちゃんも、皆おじい様の幸せを願っているんだよ? ……本当は分かっているんだよね? おじい様は周りをよく見ているから」


「……分からないよ。何も分からない。皆、心の中と口から出る言葉が違うから。顔では笑いながら腹の中では違う感情を抱いているんだ」


「……わたしも?」


「……ペルセポネは……違うよ」


「ハデスは?」


「……ハデスも……違う……」


「吉田のおじいちゃんとおばあちゃんは?」


「……」


 おじいちゃんが何かを考えて黙った?


「遥か昔は心と口から出る言葉が違ったかもしれない。でも今は違うはずだよ」


「それは……」


「本当は分かっているんだよね。本当は分かっているんだよ。でも……焦っちゃったんだよね。どうしたらいいか分からなくなっちゃったんだよね」


「……え?」


「ずっと立ち止まっていたカサブランカとヘリオスが前に進んで……でも自分はずっとタルタロスにいて……」


「……」


「一緒に一歩踏み出してみない?」


「……? どうやって?」


「わたしと一緒に少しずつ少しずつ前に進むの」


「ペルセポネと?」


「わたしはずっとおじい様の隣にいるよ」


「……え?」


「だからおじい様もわたしの隣にいて?」


「……隣?」


「おじい様はもうタルタロスに縛られてはいない。好きな場所に行けるの。あとは、おじい様の心が前を向く時が来るのを待つだけ……」


「……そんな簡単な事じゃないよ。わたしには魅了の力が……」


「お面をつければいいんだよ」


「お面?」


「吉田のおじいちゃんは、お面作りの天才なんだよ?」


「天才?」


「瞳が顔の半分以上ある女の子とか……あれ? 天才とは違うかな。……でも人魚は五十年前のお面をまだ使っているし……うーん……?」


「……お面をつければ魅了されないの?」


「そのお面に魅了防止みたいな力を使えばできるはずだよ」


「……どうやって?」


「ドワーフのおじいちゃんに手伝ってもらうんだよ」


 ママが優しく微笑みながらおじいちゃんに話し続けている。

 魔族の皆が言っていたよね。

 ママは皆の母親みたいな存在だって……


 おじいちゃんのこの感じ……

 誰から見てもおじいちゃんはヘリオスの事が大好きなのに『おまけ』とか酷い事を言ってママが怒るか試しているの?

 本当におじいちゃんを見捨てないか試しているみたいに見えるよ。

 

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