おじいちゃんがしてきた事
「ははっ。ペルセポネらしい考えだね」
声を出して笑うおじいちゃんを初めて見たかも……
「おじい様がカサブランカに執着している事には気づいていたよ。そんな過去があったのは知らなかったけど……吉田のおじいちゃんとおばあちゃん以外にも誰かがわたしを幸せにしようとしていた事は……分かっていた……」
ママが震える声で話しているけど……
おじいちゃんの本当の姿をママは知っていたのかな?
「さすがはペルセポネだね」
「おじい様……カサブランカを元に戻して」
「元に? 聖獣王に戻すの? でも聖獣王の身体は埋葬したんだよね?」
「そうじゃないよ……カサブランカを今の赤ちゃんの姿から、さっきまでの姿に戻して」
「どうして?」
「カサブランカは聖獣王じゃないからだよ」
「カサブランカは聖獣王だよ」
「聖獣王だった時の記憶がない時点でカサブランカは聖獣王じゃないんだよ」
「カサブランカは聖獣王だよ」
「おじい様……」
「ヘスティアもデメテルもヘラも……ハデスもポセイドンも……わたしのお腹から出ていった。ずっとずっと守ってあげようと思っていたのに……」
「ハデスは、おじい様の心の叫びをずっと聞いていたと言っていたよ」
「ハデス……誰よりも優しい子……でも、わたしのお腹から出ていった」
「おじい様……大好きだからハデス達を呑み込んで守ろうとしていたんだね」
「汚く醜い天族から子供達を守れるのは、父親であるわたしだけなのに……皆お腹からいなくなっちゃったんだよ」
「カサブランカを守りたいの? 赤ちゃんにして閉じ込めて守りたいの?」
「そうだよ。カサブランカは弱いんだ。だから、わたしが守るんだ」
「おじい様……わたしだってカサブランカとヘリオスをずっとずっと守ってあげようと思うよ? でもそれじゃダメなんだよ」
「……? それじゃダメ?」
「それじゃ二人が成長できないの」
「じゃあ成長しなければいい。ずっと小さければいい」
「おじい様……ずっと小さいままでは、いられないんだよ? ……まさか」
「そうだよ。わたしがカサブランカとヘリオスの成長を止めていたんだ。それなのに闇に近い力がカサブランカの身体から抜けちゃったから大きくなっちゃった」
「闇に近い力? ……ハデスと同じ力……神力は親から子に受け継がれる。まさか……おじい様にも闇に近い力が……」
「そうだよ。その力をハデスが受け継いだ。ハデスは、やり方が下手なんだ。わたしみたいに上手くやればバレないのに。そうすれば天界で差別される事もなかった」
「じゃあ……時々天界に成長しない子がいるっていうのは……」
「それもわたしがやったんだ。ハデスを差別した奴らの子の成長を止めてやった」
「成長を止めた……?」
「苦しいんだよ? 成長が止められるとね……神力が身体から溢れ出しそうになって爆発しそうになるんだ。あははっ」
「おじい様……」
ママがおじいちゃんを見つめながら今にも泣きそうになっている。
「でも安心して? カサブランカには闇に近い力が少しあるから苦しくはなかったはずだよ」
確かに、わたしは走ったりしなければ苦しくなかったけど……
ママの辛そうな表情を見るとわたしまで辛くなる……




