おじいちゃんの話は事実なの?
「うさちゃんの額の魔法石……」
おじいちゃんが昔を思い出すように話しているけど……
「赤い魔法石の事?」
わたしがうさちゃんだった時、額に魔法石がついていたけど……
「あれはおじいちゃんが聖獣王の額につけたんだ。オケアノスが聖女を蘇らせようと魔法石に力を入れた時にね」
「どうして……」
「聖獣王がそれを望んだからだよ」
「聖獣王って……うさちゃんになる前のわたしの事?」
「そうだよ。約束したんだ。おじいちゃんとね……」
「どんな約束をしたの?」
「自害した娘の魂が幸せになったら、ずっとずっとおじいちゃんと一緒にいてくれるって」
「……わたしがママの……親……?」
「……ペルセポネは幸せになった。だからカサブランカはずっとずっとおじいちゃんの隣にいるんだよ?」
「……知らない……本当なの? わたしは……聖獣王だった? わたしがママの……オケアノスの親? わたしは……うさちゃん……でもその前は……」
「分からなくていいんだよ。思い出せるわけがない。傷つかないように苦しまないように、そして不甲斐ない自分を忘れる為に……わたしが聖獣王の記憶を完全に消したんだから。それなのに全てを忘れたはずのうさちゃんはオケアノスを愛し続けた」
「……わたしが……聖獣王だった……?」
何も思い出せない……
本当の話なの?
「オケアノスがペルセポネになってからも、うさちゃんは実の娘のようにペルセポネを愛した。そしてペルセポネが主治医に刺され、うさちゃんは海底に沈んだ」
「……主治医……それは……覚えてる……うさちゃんだった頃の記憶……ファルズフ……」
「何故かペルセポネは不幸にばかりなった。いや、違うね。オケアノスもだ。魂と身体が合わな過ぎたんだ……無理矢理魂を入れたから……」
「無理矢理魂を入れた……? 第三地区のおじいちゃんがママにオケアノスの魂を入れたんだよね?」
「ママ? ……ペルセポネ?」
「……? おじいちゃん?」
何か違うのかな?
「違うよ。無理矢理魂を入れたのはオケアノスの事だよ」
「オケアノス?」
「オケアノスはお腹にいる時に魂がなかったんだ」
「……え?」
「だからおじいちゃんが聖獣王の自害した娘の魂を入れてあげたんだ。まぁ、聖獣王がそれに気づいたのはしばらく経った『人間と魔族の世界』でだったけどね」
「魂を……入れて……あげた……?」
「聖獣王とは友だったんだよ。いや……違うね。友になりたかった。おじいちゃんは幼い頃から魅了の力が強かったせいで周りと距離を置かなければいけなかった。でも聖獣王だけは魅了されなかったんだ」
聖獣王だけは魅了されなかった?




