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第三地区のおじいちゃんは人間から尊敬されているんだね

「ぐふふ……ベリアルが作った雪ヒヨコ……」


 ヘリオスはベリアルを変態的に愛しているから、雪でできたベリアルをニヤニヤしながら撫で回しているね。

 オケアノスはママの中にいた時もベリアルを溺愛していたから……

 今ならうさちゃんだった頃の記憶があるからよく分かるよ。


「こら! やめるのだ!」


 ……? 

 え?

 男の子の声?

 

「やめろと言っているだろう!? その像はリコリス王国の宝なのだ!」


 ヘリオスに言っているみたいだね。

 でもヘリオスは雪ヒヨコを撫で回すのに夢中で聞こえていないみたいだ。


 わたしとヘリオスと同じくらいの背丈だから十四歳とか十五歳とかの人間?

 銀の髪に青い瞳。

 どこかで見た事があるような……

 でも人間には知り合いなんていないし……


「捕らえますか?」


 ん?

 少しだけ強そうな人間が三人いる。

 護衛なのかな?

 っていう事はこの男の子は偉い人間?


「今すぐに捕ら……」


「まぁまぁ。待て待て」


 男の子の言葉を遮って、第三地区のおじいちゃんが話し始めた。


「お前は誰だ?」


 それにしても、この男の子は偉そうだね。


「んん? そうか。この姿じゃあ分からねぇか」


 おじいちゃんが服を脱ぎ始めた!?

 まさか、ふんどし姿になるつもり!?

 うわっ……

 あっという間に脱いじゃった。


「そのお姿は……まさか……救世主様に精霊を喜ばせる踊りを教えたという……ヨシダ殿!?」


 この男の子は何を言っているの?

 おじいちゃんは裸になりたがる、ただの変態だよ。


「ぷはっ! カサブランカはぺるぺるにそっくりだなぁ。ははは!」


 もう!

 おじいちゃんは、またわたしの心の声を聞いたんだね?


「……? ヨシダ殿?」


 突然笑い始めたおじいちゃんに男の子も護衛達も驚いている。


「ああ、いや。なんでもねぇさ」


「ヨシダ殿はどうしてこのような路地裏に?」


「ん? ……ひ孫? 達にこの像を見せてやりたくてなぁ」


「ひ孫……? こちらの二人がひ孫……」


「まぁ、そんなところだ。そっちこそどうしてこんな時間に路地裏に?」


「……ヒヨコ様と聖女様に……その……」


「ん? そうか、そうか。まだちゃんと発表されてねぇから言えねぇよなぁ」


「ヨシダ殿……?」


「リコリス王が崩御したか……」


「……! なぜそれを……」


「……こう見えても……この世界を見守ってるからなぁ」


「ヨシダ殿……」


「像に報告しに来たんだろ? 早く城に帰らねぇと皆が心配するぞ?」


「……はい」


「……ヒヨコ様……聖女様……おじい様が……陛下が……先程……」 


 この男の子はリコリス王の事が大切だったのかな?

 すごく辛そうだ。


「……大丈夫?」


 あまりに辛そうだから思わず声をかけちゃった。

 あれ?

 男の子がわたしの左耳をじっと見つめている?


「そのイヤリング……」


「……え?」


 リコリス王がママに渡したイヤリングだってバレちゃったかな?

 もしかして『盗んだ』とか思われていたりして……


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