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ベリアルの手作り雪ヒヨコ?

「ほれ、ここだ。この路地裏にぺるぺるとベリアルのヘンテコな像があるんだ」


 第三地区のおじいちゃんが嬉しそうに話しているけど……

 ……こっちがママで、こっちがベリアル?

 いや、こっちがベリアルでこっちがママ?

 なんだろうね……

 わたしの頭くらいのいびつな丸に目と鼻と口が彫ってある?

 その白い物がふたつ……

 

「おじいちゃん? これがママとベリアルなの?」


 全然そんな風には見えないけど……


「んん? よぉく見てみろ。右のやつは頭に寝癖が二本あるだろ? 左のやつはヨダレを垂らしてる」


「……? うーん……寝癖の部分は……草?」


「ははは! 寝癖の付け根は穴が空いててなぁ。まぁ分かりやすく言えば花瓶だなぁ。この辺りに住んでる人間が毎日花とか草とかを差し込んでるんだ」


「花瓶? これが?」


「五十年前にぺるぺるとじいちゃんは、ここで警備兵に捕まりそうになってなぁ」


「ええ!? 何があったらそうなるの?」


「んん? じいちゃんが服を脱いで、ぺるぺるがまだ赤ん坊だったハーピーちゃんに怖い事を教えてなぁ」


「おじいちゃんはその頃から裸になりたがっていたんだね。でもママがハーピーちゃんに怖い事を教えたって?」


「んん? 内臓をアレすると痛くアレできる……とかか?」 


「……? よく分からないよ」


「ははは! で、ここにぺるぺるの像があるんだ」


「……? 全然分からないよ。でも……どうしてこんなにいびつな形なの?」


「それは、これを作ったのがベリアルだからだなぁ」


「え? ベリアルが作ったの?」


「そうだ。まぁ、ベリアルはこれが像になったなんて知らねぇだろうけどなぁ」


「そうなの?」


「五十年前になぁ……ぺるぺるとベリアルは人間のアカデミーに通ってたんだ」


「うん」


「その時に上位精霊に雪を降らせてもらってなぁ。人間達と一緒に雪ヒヨコを大量に作ったんだ」


「へぇ……そうなんだね」


「その時ベリアルが『溶けたら悲しい』って言ったら『じゃあ永遠に溶けなくしてやる』って上位精霊が言ってくれてなぁ。だから、これは雪なんだ。触ってみろ。冷てぇぞ?」


「冷たいの?」


「そうだ。雪だからなぁ」


「でも、どうして日の当たらない路地裏にあるの?」


「最初はさっきの広場に置くはずだったんだけどなぁ。人間達が、溶けるんじゃねぇかって心配になって……それでこの日陰に置く事になったんだ」


「ふぅん……」


「ちなみに寝癖はベリアルのかわいいパンみてぇなおててじゃ作れなかったからその辺に生えてた草を二本差したんだ。上位精霊は雪を溶けなくしただけだったから草が枯れてなぁ。その穴に人間達が毎日草とか花を入れるようになったんだ」


「それで穴が空いていたんだね」


「懐かしいなぁ……ん?」


 おじいちゃんが少し離れた所を見ている?

 あの辺……

 やけに薄暗いね。

 まさか……

 怖い人間がいるんじゃ……

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