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騙したみたいになっちゃったけど、これでよかったんだよね

「怖い……怖いんだ……」


 オケアノスの声が震えている。


「大丈夫……わたしがずっと隣にいるからね?」


「カサブランカが?」


「うん。だから大丈夫。ヘリオスは……オケアノスでヘリオスで……パパとママのかわいい子供だよ?」


「……オレは……オケアノスで……ヘリオス……」


「って言うより……心の深いところにいたオケアノスが出てきた時点でもうアレなんだけどね」


「『アレ』?」


「うん。アレ」


「……え? う……うわあぁ! なんだこれは!? 身体が痛い!?」


「成長が始まったんだよ」


「成長?」


「痛いでしょ? わたしも痛かったよ。あ、今も痛いけどね」


「……騙したな!?」


「……まぁ結果的には……そうかも……ね?」


「あああ! 骨がギシギシ……」


「うんうん。わたしもそうだったよ」


「なんだ!? ハデスが隠していた翼が出てきたぞ!?」


「うんうん。わたしもそうだったよ」


「うわあぁ! 痛いいぃぃ!」


 なんだか騙しちゃったような気がしないでもないけど……

 ヘリオスが無事に成長できそうでよかったよ。

 


「うぅ……身体中痛いよぉ。パパ……ママ……カサブランカに騙されたよぉ……」


 ヘリオスの心が安定したみたいだ。

 でもパパとママに告げ口をしているね。

 

「あぁ……ヘリオス……成長したのだな」


 椅子に座るわたしの足元で身もだえるヘリオスに、パパが話しかけている。


「二人とも成長するなんて……」


 ママが涙を浮かべながら呟いた。

 喜んでくれているみたいだね。


「ヘリオス、カサブランカ。ボクガ、チユノ、チカラヲ、ツカウネ?」


 緑色のかわいい小鳥のピーちゃんの翼で優しく撫でられると……

 すごい。

 身体の痛みが消えた。


「あれ? もう痛くない! うわあぁ! ピーちゃんはすごいよ! カサブランカも治った?」


 ヘリオスの機嫌が直っている。

 よかった……

 さっきわたしが騙した事をすっかり忘れたみたいだ。

 うーん……

 単純過ぎて心配になるかも……


「でも……やっぱり翼は邪魔だよ。ねぇ、パパ。また隠してくれる?」


 ヘリオスの言う通りだね。

 身体と一緒に翼も大きくなったみたいだから、かなり邪魔だよ。


「そうか。カサブランカの翼も隠すか?」


 パパが尋ねてくれたけど……

 うーん。

 そうしてもらおうかな。


「うん。重いし汚したら嫌だから隠して欲しいよ」


「……」


 ……あれ?

 パパが黙っちゃった?

 どうしたのかな?


「パパ?」


「あぁ……カサブランカがあまりに美しく……心配になってしまってな……」


「え? そうなの?」


 パパは心配性だからね……


「誰にも……嫁にはやらんぞ……」


 パパの黒い瞳が赤く光った!?

 殺気が溢れ出している。

 本当に心配し過ぎだよ……

 わたしはまだ五十歳だよ?

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