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これは一体どうなっているの!?

「カサブランカ様!」

「大丈夫ですか? 入浴して身体を温めてください」

「早く浴室に!」


 ケルベロスが慌てた様子でタルタロスから帰ってきた。


「タルタロスのおじいちゃんは? 大丈夫そうだった?」


 わたしを助ける為に海に落ちて、寒い思いをさせちゃった……


「はい。コットス達がいますから安心してください」

「カサブランカ様も早く身体を温めないと」

「背中に乗って掴まれ!」


 浴室に着くとケルベロスが、背中に乗るわたしを湯船に放り込む。

 ……悪気がないのは分かっているよ。

 わたしとは身体のつくりが違うんだから。

 

「はぁ……気持ちいい……でも狭い……って!? わたし……翼が見えている!? パパが隠してくれたのにどうして!? んん!? よく見たら手も足も大きいよ!? 胸も……少し……ある……」


 もしかして成長したの!?

 でもどうして急に!?


「カサブランカ様……一体何があったのですか?」

「叫び声が聞こえたので慌てて薬草園から戻るとびしょ濡れのクロノス様と、翼の見える成長したカサブランカ様がいて驚きました」

「どうしてびしょ濡れだったんだ?」


「……目が覚めたらママがいなかったから第三地区に行こうかと思って……でもフラフラして『人間と魔族の世界』に繋がる穴に落ちて。そうしたらタルタロスのおじいちゃんが助けに来てくれたんだけど……一緒に海に落ちちゃったの」


「そうでしたか」

「クロノス様が助けに?」

「いつもベットから出ないのに?」


「たぶんわたしの悲鳴を聞いたんだと思う」


「悲鳴を……」

「クロノス様はカサブランカ様を気に入っているようだし……」

「とにかくカサブランカ様が無事でよかった」


「……うん。鏡ってある? わたし……どれくらい成長したんだろう」


「鏡ですね」

「それならそこに……」

「見てみろ。ペルセポネ様に似て美しい」


 ケルベロスが手鏡を咥えて持ってきてくれたけど……

 わたしが美しい?


「そんなにママに似ているの? だったら嬉しいな。ママはすごく綺麗だから」


「カサブランカ様はペルセポネ様が大好きなのですね」

「ペルセポネ様は天界でも一、二を争う美貌の持ち主ですからね」

「しかもモフモフを愛する素敵な女性だ」


「ケルベロスもママの事が大好きだよね。って……うわあぁ! 本当にママにそっくりだよ」


「ペルセポネ様より少しお若いかと」

「そうですね。ペルセポネ様が『お姉さん』だとしたらカサブランカ様は『少女』でしょうか」

「背も二十センチ……いや、三十センチは伸びたんじゃないか?」


「そんなに? だから身体中が痛いんだね。皮膚が伸びて引っ張られるみたいに痛いし、骨がギシギシいうの」


「湯船に薬草を入れたから少しは楽になるはずです」

「湯上がりに身体にオイルを塗りましょうね」

「だが湯船には服を着て入るが、オレ達が身体にオイルを塗ったら……」


「うん。パパが激怒するだろうね。大丈夫だよ。自分でできるから」


「あらあら。ふふ。カサブランカはずいぶんお姉さんになったのね」


 え?

 この声は……


「ヘスティア? どうしてここに」


 ママの伯母さん……

 今日もすごく綺麗だ。

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