うさちゃんとカサブランカ~後編~
また眠り続けるのか?
数千年して目が覚めたらペルセポネが『うさちゃん』と呼んでくれた……
……エ?
オレハ……
ウサチャンノ、キオクヲ、スッカリ、ワスレテイタガ……
ミズカラ、キオクヲ、フウイン、シテイタノカ。
ダメダ……
イマハ、マホウセキデハ、ナイ。
カサブランカノ、カラダノ、ママ、シズンダラ、シヌ!
カサブランカガ、シンダラ、ペルセポネヲ、クルシメテ、シマウ!
ダメダ!!
ナンダ、コレハ?
カラダカラ、ヤミニ、チカイ、チカラガ、アフレダシテ、キタ!?
コレハ、ハルカムカシ、オケアノスガ、マホウセキニ、イレタ、ヤミノ、チカラ、ナノカ!?
ドウシテ……
……!?
カラダガ、イタイ……
ヒキチギレソウナクライ……
イタイ!!
ダレカ……
コノ、イタミヲ……
ソウダ、ケルベロス、ナラ、クスリヲ……
ケルベロス……
ケルベロスノ……モトヘ……
ナンダ?
メノマエガ……
マブシイ……
「ペルセポネ様!? いや……違う……まさか……カサブランカ様!? びしょ濡れだぞ!?」
「いいから早く門の中に!!」
「え? クロノス様がいるぞ!?」
ケルベロスタチノ、アワテタ、コエ……
メイカイニ、モドッテキタノカ……
ヨカッた……
これデぺるセポネがカナシまずに……
ん?
アぁ……
キチんとカサブランカにモドらなけレバ……
五十年かけてカサブランカになったのに、ここでうさちゃんに戻るわけにはいかない。
オレはもう、うさちゃんではない。
カサブランカだ……
はぁ……
落ち着いたな。
これでカサブランカとして……
ん?
変だな。
身体中痛い。
「痛たた……ケルベロス……何か痛み止めを作って……」
「あの……ペルセポネ様……? 若返りましたか?」
「いや、カサブランカ様が成長したんだ。匂いがカサブランカ様だ」
「どっちでもないんじゃ……だとしたら門を通したらいけなかったんじゃないか?」
「……? ケルベロス? どうしちゃったの? 疲れ過ぎた? わたしはカサブランカだよ?」
「カサブランカ様!?」
「え!?」
「一体何が……」
ケルベロスは何を慌てているの?
なんでもいいから早く痛み止めを作って欲しいよ。
「うぅ……寒い……」
タルタロスのおじいちゃん!?
びしょ濡れで震えている!?
じゃあさっき助けてくれたのは、おじいちゃん!?
「おじいちゃん……助けてくれてありがとう……」
「……寒い……帰りたい」
「あ……うん」
さっきは普通に話していたのに、いつもの話し方に戻っている?
これはどういう事?
「ケルベロス……おじいちゃんをタルタロスに連れて行ってくれる?」
「あ……はい」
「タルタロスに連れて行きコットス達に入浴の準備を……」
「カサブランカ様はここから動くなよ? すぐに戻るからな」
ケルベロスがおじいちゃんを背中に乗せてタルタロスに向かった。
五分もしないで帰ってくるよね。
はぁ……
かなり疲れた……
それにしてもおじいちゃんはどうしたんだろう。
すごくしっかりしていたけど……
いつもはベットで隠れるみたいにしているのに。
……魅了?
さっきおじいちゃんは魅了の力がとか言っていたよね?
……もしかして何か理由があってベットに隠れているのかも。
だとしたら今見た事は秘密にしないと。
おじいちゃんにもおばあちゃんにもママにも心を聞かれないように気をつけよう。
いつもみたいに心の奥深くに隠しておこう。
うさちゃんの心の隣に……




