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今日は初めての事ばかりで疲れたよ

 こうしてわたし達は第三地区に帰ってきた。


 海賊達と魚族長の姿が波打ち際に見える。

 涙を流しながらリコリス王との思い出を話しているみたいだ。

 ママは幸せの島に歩いて行くのが見える。

 一人にさせてあげた方がいいよね。

 あ……

 ヘリオスが後ろから付いて行っちゃった。

 今は一人に……

 

 走ってヘリオスを追いかける。

 

「はぁ……はぁ……」


 走ったのなんて生まれて初めてかも……


「ヘリオス……待って……はぁ……はぁ……」


 なんとかヘリオスに追いついたけど……

 もう歩けないよ……


「カサブランカ!? 走ったの!? 大丈夫!?」


 ヘリオスがかなり驚きながら心配している。


「……大丈夫。はぁ……はぁ……今は……ママを……一人にしてあげよう?」


「でも……」


「ヘリオス……ずっと近くにいてあげたい気持ちも……分かるけど……はぁ……はぁ……今はきっと……一人でいたいはずだから……」


「カサブランカ……うん。分かった……広場まで抱っこするよ。無理させてごめんね」


「ううん……はぁ……はぁ……大丈夫。疲れちゃった……このまま冥界に帰って少し寝てくるよ。こんな姿を……ママに見せたら心配させちゃうから……」


「……うん。送るよ」


「それなら大丈夫だ。ばあちゃんとじいちゃんが送ってくからなぁ」


 第三地区のおばあちゃんが心配そうに駆け寄ってきた。

 おじいちゃんからわたしの体調の事を聞いたのかな?


 

 おじいちゃんに抱っこされて冥界に空間移動してもらうといつも通り冥界の門の外側に着く。


「おや? カサブランカ様? ペルセポネ様達は?」


 ケルベロスが尋ねてきたけど……


「カサブランカ様!? 顔色が……」

「どうしたんだ!?」

「早く中に!」


 ケルベロスの三つの頭が慌て始めた……

 そんなに顔色が悪いのかな?


 冥界の門から中に入ると、おじいちゃんがわたしの部屋に空間移動してくれる。

 

 ベットちゃんを創る前まで使っていたベットに横になると急に眠くなる。


「カサブランカ……今は眠れ。今日は疲れただろ?」


 おじいちゃんが優しく髪を撫でながら微笑んでいる。


「……うん。明日は絶対筋肉痛だよ……おじいちゃん……おばあちゃん……わたしは平気だからママに付いていてあげて?」


「でも……」


「冥界は安全だから大丈夫だよ。ケルベロスもいるし……」


「カサブランカ……」


「ママを支えてあげたいけど……こんな姿を見せたら心配させちゃうから。お願い……」


「……分かった。じゃあゆっくり眠るんだぞ? カサブランカのベットちゃんは後でじいちゃんが冥界に持ってくるからなぁ」


「……うん。幸せの島に置いてきちゃったから……」


「何も心配いらねぇからなぁ。おやすみ……カサブランカ……」


 ダメだ……

 もう目を開けていられない……

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