ママのキラキラ
「すごいや! おじいちゃん! これが人間の国?」
ヘリオスはいつも好き勝手出かけているけど人間の国は初めてなんだね。
瞳をキラキラ輝かせている。
「ははは。ヘリオスにこの望遠鏡をやろうなぁ。首からかけておけ? 落としたらもう見つからねぇからなぁ」
「ん? 誰かが拾って届けてくれるよ」
「うーん……ここは第三地区とか幸せの島じゃねぇからなぁ。落としたら拾った奴の物になっちまうんだ」
「え? そうなの? うん! 分かった。絶対落とさないよ! うわあぁ! これか望遠鏡か。覗くと遠くが近くに見えるんだっけ?」
「そうだぞ? あの時計台を見てみろ」
「時計台を? うわあぁ! すごいや! 近くに見えるよ!」
「そうか、そうか。カサブランカもその綺麗な刺繍の望遠鏡で覗いてみろ」
「……うん」
なんだかおじいちゃんの思惑通りに動かされているような……
このまま一時間くらい人間の国を歩くの?
うぅ……
嫌だなぁ。
人間は弱そうだけど、やっぱり怖いよ。
「よし。じゃあ、あの時計台まで歩くか」
おじいちゃん!?
あの時計台まで!?
「嫌だよ……すごく離れているよ? あんなに歩けないよ」
さすがに人間の国でベットちゃんを創るわけにもいかないし……
絶対歩きたくないよ。
「ん? じいちゃんがカサブランカを抱っこしたらヘリオスと手を繋げなくなっちまうし……ヘリオスは手を繋いでねぇとすぐいなくなっちまうからなぁ」
「それは……」
確かにヘリオスとは手を繋いでいないと危ないね……
うぅ……
歩くしかないのか……
明日は絶対筋肉痛だよ……
「カサブランカ! 見て見て! あの人間が持ってるやつ、ベリアルに似てるよ!」
ヘリオスは元気だね。
わたしは疲れてもう歩きたくないよ……
ん?
あれ?
本当だ。
ベリアルとスーたんにそっくりなぬいぐるみをバックにつけている。
幸せの島にあるママのコレクション部屋のベリアルのぬいぐるみと同じ物じゃないかな?
ママは毎日その部屋に入ってニヤニヤしているんだよね。
外まで『グフグフ』って笑い声が聞こえてきて、ベリアルが怯えているんだ……
「ああ。ありゃあ五十年前に売ってたぬいぐるみだなぁ。ベリス王の店で売ってたんだ。今じゃもう手に入らねぇんだぞ?」
「へぇ。そうなんだね。でもすごく綺麗だよ?」
ヘリオスの言う通りだ。
新品みたいに見えるよ。
「ははは。そりゃ、ぺるぺるのキラキラのおかげだなぁ」
「ママのキラキラ? あの嬉しいと光るやつ?」
「そうだ。五十年前はぺるぺるがぬいぐるみを浄化して回ってたんだけどなぁ……ヘリオスとカサブランカが産まれてからは浄化の力が強くなり過ぎて。ほれ、ぺるぺるが嬉しくなるとキラキラするだろ? そのたびにぬいぐるみが綺麗になってなぁ」
「ふぅん。それでずっと綺麗なままなんだね。魚族達もママの浄化の力で世界中が綺麗になったって言ってたよ」
「そうか、そうか。ぺるぺるの神力は強いからなぁ」
……さっきから人間達がおじいちゃんを見てコソコソ話している。
当然だよね。
ふんどし姿なんだから……
捕まらないか心配だよ。




