いい話をする時は服を着て欲しいんだけど……
「ははは。赤ん坊の頃から知っているから、なかなかパートナーにはなりにくいのでは? ハデス様とぺるみ様もそうでしたねぇ」
ベリス王が懐かしそうに、おじいちゃんに話している。
「そうだったなぁ。懐かしいなぁ……あ。あと四つ望遠鏡が欲しいんだ」
「四つ……ですか? あぁ、ハーピーちゃんとドラゴン王、イナンナの子とウェアウルフちゃんにですね」
「さすがベリス王だなぁ。よく分かったなぁ」
「同じ年頃の子供達ですからね。おじい様は全ての子供達に平等に愛を注いでいますから」
「そうだなぁ。血の繋がりなんて関係なく皆かわいいんだ」
「おじい様らしい素敵な考えです」
「ベリス王女も同じ頃に産まれたけど、さすがに兄ちゃんの店の品物を贈るのはアレだからなぁ。ほれ、王女は手を出してみろ」
おじいちゃんが手のひらに収まるくらいのクルクル巻かれた紙を手渡した。
似顔絵でも描いてあげたのかな?
おじいちゃんはよく、瞳が顔の半分以上ある女の子の絵を描いてくれるんだ。
でも、わたしに絵の描き方を教えてくれた時は闇を感じて怖かったんだけど……
「……? おじい様? この紙は?」
「広げて見てみろ」
「……? 何か模様が描いてあります」
模様?
似顔絵じゃないんだね。
ここからじゃ見えないや。
「これは空間移動できる魔法陣……みてぇなもんだ。一回しか使えねぇからなぁ。いざって時に使うんだぞ?」
さすが初代の神様だね。
そんな物が作れるなんてすごいよ。
「ええ!? わたしにも空間移動ができるのですか!?」
「そうだ。本当に困った時に紙を破くんだ。そうすると第三地区の広場に着くようになってるからなぁ。あそこなら誰かしらいるから安心だ。でも、しっかり目を閉じるんだぞ? 眩しいからなぁ」
「そんな貴重な物を……」
「ベリス王女は、じいちゃんの大事な大事な子孫だからなぁ……カサブランカとヘリオスを大切に想うように王女の事も大好きなんだ」
「……! おじい様……」
「ちなみにそれと同じ模様を描いても空間移動はできねぇからなぁ。大量生産して売り出そうとしても無理だぞ?」
「ふふ。さすがおじい様ですね。バレましたか」
「かわいい王女の考える事ならなんでも分かるぞ? ははは」
「では、わたしがカサブランカに望遠鏡を贈った理由も?」
「カサブランカにだけ望遠鏡をあげたら他の子供達にも贈りたくなってあと何個か買ってもらえると思った……か?」
「……! さすがおじい様です!」
「でも、それだけじゃねぇなぁ……」
「え?」
「妹みてぇにかわいがってるカサブランカに外の世界に興味を持って欲しかったのもあるし……じいちゃんがまた店に来てくれるから……ていうのもあるんじゃねぇか?」
「……えへへ。おじい様? これからも毎日会いに来て欲しいです」
「王女は甘えん坊さんだなぁ……そうか、そうか。じいちゃんは本当に幸せ者だなぁ」
おじいちゃんが嬉しそうにニコニコ笑っている……
この会話だけを聞いていれば素敵なおじいちゃんと孫のお話なんだろうけど……
おじいちゃんはふんどし姿なんだよね……




