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誰でもいいから会いに行けって言うのは簡単だけど……誰を一番にするかよく考えないと後で揉めそうだよね

「ん? カサブランカは起きれたんか?」


 動くベットごと空間移動して第三地区に着くとおばあちゃんが話しかけてきた。


「だってママが怒るんだもん」


「ははは。そうか、そうか」


「今日から五十歩も歩けって言うんだよ? しかも毎日種族王の誰かに会いに行けって……」


「五十歩? ははは! そりゃあ大変だなぁ」


「うぅ……暑い。日差しが痛い……ベットちゃん……日よけをつけて」


 ベットに大きい傘が創られると少しは涼しくなったけど……

 暑い……

 

「ははは! カサブランカは適温の所じゃねぇと生きられねぇからなぁ」


「ヘリオスは? また、じいじとハーピーちゃんと筋トレ?」


「ああ。ほれ、あそこで海の上を走ってるだろ」


 確かに……

 透き通る綺麗な海の上にオークとハーピーと人間が見える。

 かなり離れているからよくは見えないけど、あんな事ができるのはじいじとハーピーちゃんとヘリオスくらいだよ。

 

「うわ……見ているだけで疲れる」


「あの三人は身体能力が高いからなぁ。オークは元々泳げなかったんだけどなぁ。ハーピーちゃんが小さい頃に飛んでて落ちた事があってなぁ。助ける為にその時初めて海の上を走ったんだ。親の力は偉大だなぁ」


「じいじは伝説のエメラルドのオークだったんだっけ?」


 ハーピーちゃんがハーピー族長になったタイミングでじいじはオーク族長に復帰する為にオーク族の島に戻ったんだよね。

 ばあばとハーピーちゃんはハーピー族の島に戻ったんだけど……

 ずっと一緒にいた家族だから寂しくなって、昼の数時間だけ幸せの島に戻って家族の時間を楽しんでいるんだ。

 幸せの島と第三地区はすぐ隣の島だからヘリオスとあんな風に遊んでいるけど、海の上を走るって……

 ヘリオスは脳筋だからわたしにはついていけないよ。

 適温の部屋でゴロゴロしている方が絶対楽しいのになぁ。


「ははは! オークは今でこそ精悍だけど五十年前はぽっこりお腹でかわいかったんだぞ。ハーピーちゃんもすっかり立派な青年になって……いつまでも、ばあちゃんの膝で漬け物を食べてはくれねぇんだ。寂しいなぁ」


「じいじがぽっこりお腹だったなんて想像もできないよ。おばあちゃんの膝にはわたしが乗ってあげるから大丈夫だよ。ふわぁぁぁ……眠くなってきた……」


「ははは! そうか、そうか。カサブランカは優しいなぁ。ほれ、昼にはぺるみが来るからその前に種族王に会いに行かねぇと。また怒られちまうぞ?」


「うぅ……面倒だなぁ。『お昼寝する島』でゴロゴロしたいのに」


「ははは! 行くまでは面倒でも、行っちまえば楽しいもんだ。どこの種族王に会いに行くんだ?」


「うーん……ヴォジャノーイ王は優しいけど絵姿を描かれるから面倒だし、ドラゴン王はご飯の時間だったらちょっと遠慮したいし。ケルベロス王は冥界のケルベロスの話を訊いてくるから面倒だし、ゲイザー王は第三地区に住んでるからさすがにママが怒るよなぁ」


「ははは! そうか、そうか」


「うーん。リヴァイアサン王に先に会いに行ったって知ったらヴォジャノーイ王が泣いちゃうから面倒だなぁ。となると、イフリート王かグリフォン王かウェアウルフ王かベリス王かぁ……」


「誰に会いに行くか決まったんか?」


「うぅ……都合よく種族王達が遊びに来てくれないかなぁ」


「ははは! 五十年前までは毎日遊びに来てたけどなぁ。今はそれぞれ忙しくて、たまにしか遊びに来れねぇんだ。残念だなぁ」


「仕方ない。ママが来る前に行かないと怒られちゃうから……ベリス王女に会いにベリス王国に行ってくるよ」


「そうか、そうか。ベリス王国に行くんか。じゃあ、バスケットにお菓子を持っていけ」


「うん。……はぁ。ベリス王国も……なぁ」


「んん? どうしたんだ?」


「パパがなぁ……」


「ははは! ベリス王にはパートナーがいねぇからなぁ。嫉妬しちまうんか」


「ベリス王だけじゃないよ。イフリート王もグリフォン王もヴォジャノーイ王もドラゴン王もパートナーがいないから……」


「ははは! こりゃ、カサブランカが結婚する時は大変だなぁ」


 わたしが結婚?

 うーん……

 そんな日が来るのかな?

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