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結局この世界で一番怖いのはママって事かな?

「うーん……タルタロスのおじいちゃんには……お菓子かな? 側付きの二人にも贈り物がないとダメだよね? いつもかわいがってくれるし……」


 ベリス王のお店は商品が多くて選ぶのが難しいよ。

 

「ふふ。誰かを想いながら贈り物を選ぶのはワクワクしますよね」


 ベリス王女が笑顔で話しかけてくれたけど……


「うぅ……疲れた……足が動かないよ……」


「確かに。もう百歩は歩いていますよ?」


「ええ!? 百歩!?」


 いつの間に……

 どうりで疲れるわけだよ。


「何かワクワクする品はありましたか?」


「ワクワク……? うーん。タルタロスのおじいちゃんはチョコクッキーサンドかな? 側付きの二人には本と髪のオイル? パパには貝殻を入れる箱……でも、お絵描きセットを買ってパパの絵を描いた方が喜んでくれるかな? でも、わたしが描いた絵は闇を感じるんだよね。この前もベリアルに泣かれたし……」


「ふふ。どれも素敵ですね。他の方々には?」


「うーん……ケルベロスにはよく眠れるフカフカ枕かな? あ! 天界のおじいちゃんとおばあちゃんにもだ! 何がいいかな? ん? 素敵なティーカップセットがある! これがいいかな」


「ふふ。カサブランカ様は楽しそうですね」


「……楽しい? ……うん。誰かに喜んでもらえるかもって考えながら贈り物を選ぶのはすごく楽しい……かも」


「でも、疲れたでしょう? 一旦座って何か飲みますか?」


「うん……」


 こうして熱々のスープを飲む事になったんだけど……


「カサブランカ! しっかりフゥフゥするんだよ?」


「かわいいカサブランカがヤケドでもしたら大変だ……」


 真ん丸い身体に犬みたいな耳……

 フサフサのしっぽの毛玉が二人、突然現れたよ。


「……パパと天界のおじいちゃんだよね? こんな事がママにバレたら怒られるよ?」


 パパも天界のおじいちゃんもわたしを甘やかし過ぎるからって、ママの許可なしでは『人間と魔族の世界』に会いに来たらダメだって言われているのに……


「だって、だってぇ……かわいいカサブランカが心配なんだもんっ! ママには内緒だよ? ね?」


 天界のおじいちゃん……

 これが神様なんて、天界は大丈夫なのかな?


「カサブランカ……ペルセポネは今リリー島でベリアルの子供達を堪能している。今ならバレないはずだ! それにこの姿なら最悪ごまかせる。最後まで普通の毛玉だと言い張ればよいのだ」


 これが誰からも恐れられる冥王……

 結局ママが一番怖いっていう事じゃないの?

 

「ははは。ハデス様はカサブランカ様に激甘ですねぇ。ですが、美しい妹を持つ兄としてその気持ちは痛いほど分かります」


 ベリス王が笑いながらパパに話しかけているけど……


「そうなのだ。悪い虫がつきそうで心配なのだ。……ところで最近『人間と魔族の世界』に勇者が現れたらしいな」


 ……?

 勇者?

 

「はい。まぁ噂でしかありませんが。シームルグはもう勇者にはなりませんし、ベリアルも勇者をつくろうとはしていません。ですが、初代勇者はベリアルとは無関係ですから……自然に勇者が現れた……と考える事もできるかもしれません」


「勇者は何かしたのか?」


「いえ。そうだとしたら父上が消していますよ」


 うわ……

 普通に怖い事を言っているよ。

 でもベリス王のお父さんは魔王だからね。

 魔族を守る為にはそうするしかないのかな?

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