キラキラ輝く未来?
「……仕方ないよね。皆に贈り物を選ばないといけないし」
靴を履くのは久しぶりだよ。
第三地区では裸足だし、冥界ではスリッパだから……
最後に履いたのは……
いつだったかな?
そうだ。
ベットちゃんを創造の力で創り出してからは靴を履いていなかった。
ママはわたしが靴を履くのをずっと待っていたの?
何も言わずに待っていたの?
こんなわたしをずっと信じて愛してくれているの?
靴を履いて床に立つと……
足が全然痛くない。
わたしの足にぴったりだ。
ママはわたしの足の大きさを分かっていたのかな?
正直、外の世界は怖いけど……
「わたし……これからは……少しだけ……ほんの少しだけ……外の世界を……見てみるよ」
ママが選んでくれた靴を履いて、いろんな場所に行ったら楽しくなるかも……
あれ?
ベリス王と聖獣王が満足そうに笑った?
ベリス王女もニコニコ笑っている。
どうして皆嬉しそうなの?
「ふふ。カサブランカ様。一緒に贈り物を選びましょう?」
ベリス王女と手を繋ぐと、ベリス王がお店に繋がる扉を開ける。
……!
うわあぁ!
すごい……
高い棚にたくさんの本……
あれはなんだろう?
見た事がない小物がセンス良く並べてある。
ドレスも靴も髪飾りもどれも素敵。
お菓子も色とりどりで綺麗だし、チョコの甘い匂いで気持ちが落ち着く。
この音は……?
人化している魔族が楽器を演奏しているんだね。
わたしに気づくと会釈してくれた。
あれは……
何かな?
見た事のない筒がある?
「ふふ。これは望遠鏡ですよ? 遠くが近くに見えるのです」
「遠くが近くに?」
どういう意味?
よく分からないよ。
「ふふ。覗いてみてください」
「……? うん」
覗くと遠くが近くに見えるっていう事?
「どうですか?」
「……!? うわあぁ! すごい! あの本棚の上の方までよく見えるよ!」
「はい。不思議でしょう?」
「うんっ! すごいよ!」
もしかしたら冥界まで見えたりするかな?
「カサブランカ様? わたしから……今日の記念に贈らせてください」
「……え?」
「カサブランカ様のキラキラ輝く未来への第一歩記念……ですね」
「第一歩……記念?」
わたし……
どうして?
今……
すごくドキドキしている。
こんな気持ちは初めてだ……
もしかして、これがワクワクっていう感情?
今日が……
わたしのキラキラ輝く未来への第一歩?
なんとなく……
なんとなくだけど……
世界がキラキラ輝いて見えるような気がする。




