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新たな日々の始まり? よく分からないよ

「金貨の代わり?」


 ママの知恵を金貨の代わりにできるの?


「この店舗がここまで大きくなったのは、ぺるみ様の知恵のおかげなのです」


 ベリス王が言うのなら、そうなんだろうね。


「ふぅん……」


「さぁ、カサブランカ様はこの部屋には来た事があっても店舗は初めてでしたね」


「……うん」


「行くまでは嫌でも、行ってしまえば楽しいものなのです。さぁ、今日がカサブランカ様にとって新たな日々の幕開けかもしれません」


「新たな日々の幕開け?」


 うーん……

 よく分からないよ。

 あ……

 しまった。


「おや? どうしましたか?」


「靴を忘れちゃった」


「ははは。それならベットの横に……」


「ベットの横?」


 え……?

 ベットの足元に袋が縛りつけてある?

 いつから?

 全然気づかなかったよ。


「中身は靴ですよ」


「え? ベリス王はどうして分かるの?」


「この袋はわたしの店舗の物ですからね。ぺるみ様はカサブランカ様とヘリオス様の為に靴や服を選びに来ているのです」


「……知らなかった。でも、わたしはずっとベットにいるから靴は履かないのに……」


「ぺるみ様は、いつカサブランカ様が歩きたい気持ちになってもいいようにと……それは楽しそうに選んでいるのですよ?」


 わたし……

 何も知らなかった。


「今までもわたしに靴を選んでいたの? わたしは一度もその靴を履いた事がないのに……今までに何度も靴を選んでいたならその靴はどうしたの?」


 もしかしてわたしに呆れて捨てちゃったのかな?


「その靴は……聖獣王が噛んでしまったようですよ?」


「……え?」


 聖獣王が噛んだ?

 どういう事?


「スマナイナ。ホンノウ、トイウカ……キレイナ、クツヲ、ミルト、カンデ、フリマワシタク、ナル」


 聖獣王が申し訳なさそうに話しているけど……

 今もさっそく靴を噛もうとしているよ。


「ダメ! これはママが選んでくれた大切な靴なの!」


 あ……

 わたし……

 こんな大声を出せるの?


 あれ?

 聖獣王とベリス王が目を見合わせて嬉しそうに笑った?


「……? 二人ともどうして笑っているの?」


「カサブランカ……カワッタナ」


「え? わたしが変わった?」


「はい。今までは何の楽しみもなくただ毎日を生きているだけのようでしたが……」


 ベリス王がわたしを見つめながら優しく話し始めた?


「カサブランカ様……この美しい靴を履いて贈り物を選びましょう。きっと世界がキラキラ輝いて見えますよ?」


「世界がキラキラ? ママの神力みたいに?」


「はい。カサブランカ様の未来がキラキラと輝くのです」


「……よく分からないよ」


「今はまだ分からなくとも……今日の一歩がその始まりになるのです」


 ……やっぱりよく分からない。

 でも……

 

「わたしは今のままでも楽しいよ?」 


「それは本当の楽しさを知らないだけですよ?」


「本当の楽しさ?」


「はい。本当の楽しさです」


 ……うーん?

 ベットで寝る以外に楽しい事なんてないのに。

 あ……

 でも、パパとママとヘリオスと一緒にいると楽しいかな?

 おじいちゃんとおばあちゃんといても楽しいかも。

 第三地区の皆も魔族の皆も大好きだし……

 

「カサブランカ……ドキドキ、シタコトガ、アルカ? コレカラ、オコル、コトニ、ワクワク、シタコトガ、アルカ?」


「……? 聖獣王? うーん……ないかな? 毎日同じ事を繰り返しているから」


「ソウカ。サア、クツヲ、ハキ、オクリモノヲ、エランデ、コイ」


 聖獣王は犬みたいな姿だから一緒には行けないのか……

 ベリアルは?

 あ……

 お腹がいっぱいで寝ちゃったみたい。

 護衛ってこんなのでいいのかな?

 そういえば一度も守られた事なんてなかったよね……

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