父親がどんな仕事をしているのかってよく分からないよね
「ママ?」
ママの顔色がかなり悪くなっているけど大丈夫かな?
「あはは……あははは……ママは魚族とリヴァイアサン王に謝ったら現実から逃げる為に、リリー島に行ってくるよ」
ついに笑い始めた!?
心配になってきたよ……
「……うん。分かった。ママ……大丈夫?」
このままリリー島から帰って来ないなんて事はないよね?
「ん? ぺるみはリリー島に行くのか? オレのかわいい子供達に変態的行為をするなよ! けぷ……」
ベリアルがベットに仰向けになりながらママに話しかけた。
お腹がパンパン過ぎて起き上がれないみたいだ。
聖獣王もベリアルの隣で幸せそうに寝ているね。
「けぷ!? くうぅ! 超絶かわいいっ! 大丈夫だよ。ちょっと吸ったり撫でたりするだけだから! ハァハァ……」
ママがベリアルを見てハァハァしている……
これがわたしのママ……か。
「それが変態なんだろ! カサブランカが見てるんだからハァハァするな!」
「だって仕方ないでしょ!? ベリアルは超絶かわいいんだもん! くうぅ! リリー島の子供達も超絶かわいいんだよっ!」
「当然だろ! オレの子供だぞ!?」
「「ぐふふ」」
うわ……
ママとベリアルの声が重なったね。
ベリアルも子供達に激甘の変態なんだよ……
「それにしても……あれから四十年か」
ベリアルが感慨深そうに話し始めた。
「もう四十年? あっという間だね」
ママも懐かしそうにしている?
「リリーと話し合って子供が欲しいってなったんだけど……やっぱり天族の身体に戻るのに抵抗があって……粘土で子供の身体を創る事にしたんだ。リリーもオレに似たヒヨコの子供がいいって言ってたしな」
「……うん。第三地区の三人がこの世界の生き物として暮らしたいって言っていた時だったから、粘土で創った身体に魂を入れさせてもらったんだよね」
「過去を忘れてやり直したいって言ったからヨシダのじいちゃんに記憶を消してもらって……まさかオレが三つ子の父ちゃんになるなんてな」
「ふふ。子供達は今日もリリーのお手伝いをしているの?」
「噴水で遊んだり草むしりをしたりしてるだろうな。今朝も『父ちゃんと一緒に行く』って大騒ぎでさ。だから『父ちゃんは冥界姫の護衛の仕事があるから』ってなんとか島から出てきたんだ」
子供達も、まさかその父ちゃんが護衛の仕事とか言いながらわたしのベットでお菓子食べ放題をしているとは思わないだろうね。
「護衛の仕事……ねぇ。お菓子を食べて、ぐうたらしているようにしか見えないけど」
ママも同じ考えなんだね。
「こう見えてもちゃんと護衛してるんだ! ほら! 早く謝りに行かないと暗くなるぞ!」
「ごまかしているね? はぁ……じゃあ行ってくるよ。あ、そうだ。カサブランカ? タルタロスのおじい様とコットス達とケルベロスに贈り物を選んであげて?」
「……え? わたしが? でも……お店に入るにはベットのままじゃ無理だし、人間もいるだろうし……」
「ふふ。一日五十歩を今歩けば後で楽だよ?」
「うぅ……歩くのは面倒だけど、わたしが選んだ贈り物を喜んでもらえたら嬉しいかも……」
「……カサブランカは誰かが笑顔になると自分も嬉しくなる優しい子だから」
「……え?」
「ふふ。かわいくて優しいカサブランカ……大好きだよ」
ママが優しく抱きしめてくれた。
温かくて、甘くていい匂い。
「ママ……わたしもママが大好きだよ」
「ふふ。じゃあ、行ってくるね」
ママが部屋の奥で空間移動した。
これから魚族とリヴァイアサン王に謝りに行くのか……
大変だね。
「さて、ではカサブランカ様……ベットから出て品物を選びましょう」
ベリス王は嬉しそうだね。
「うぅ……仕方ない。分かったよ。でも、わたしは人間の金貨を持っていないよ?」
「ははは。それならばぺるみ様から頂戴するので大丈夫です」
「ママから? ママは人間の金貨を持っているの?」
「いえ。ぺるみ様からは対価として商売の知恵を少々……」
商売の知恵が金貨の代わり?
うーん……?
よく分からないよ。
でも、ベリス王のこのニヤニヤ顔……
ママの知恵でかなり儲けているのは確かだね。




