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ママと人間はわたしが想像していた以上に想い合っていたんだね

「確かママは人間には『ペリドット』を名乗っていたんだよね?」


 天族の名前を人間に教えない方がいいから『ペルセポネ』に似た『ペリドット』にしたって、ママが話してくれたんだ。


「はい。本当に懐かしいです。そうだ。こちらをご覧ください」


 ベリス王が金色の物を手渡してきたけど……

 どこかで見た事があるような?


「これは?」


「人間の金貨ですよ」


「金貨?」


「カサブランカ様は人間の店舗で買い物をした事がありませんでしたね」


「うん。パパはいつもベリス王に金塊で支払っているから金貨は初めて見たよ」


「ははは。確かにハデス様はいつもそうですね」


「あれ? この金貨って……ママが冥界の仕事をする時に着ているドレスの飾り?」


「はい。ぺるみ様のドレスの飾りは、人間が初めに作った五枚の金貨のうちの一枚です。貴重な物なのですよ?」


「……? ママが人間の貴重な金貨をどうして持っているの? ママはベリアルの事が大好きだからベリアルが描いてある飾りなんだろうなって思っていたんだけど……」


「はい。このヒヨコはベリアルですよ。隣の女性はぺるみ様です」


「ベリアルとママが金貨になっているの?」


「はい。人間達からのメッセージなのです」


「メッセージ?」


「人間達はぺるみ様に出会い大きく前に進みました。これからはぺるみ様にはご自身の幸せを考えて欲しいという想いが込められた金貨なのです」


「……想い?」


「聖女様のお身体は世界の魔素を祓い酷く傷つきました。二度とぺるみ様が誰かの犠牲にならないようにという『想い』でしょうか……」


「……ママは……今、幸せなのかな?」


「……と、言いますと?」


「大好きな人間達が次々に亡くなって……それでもこの世界を見守り続けないといけないんだよね?」


「ぺるみ様は……ずっと悩み続けていました。天族と人間との生きる長さの違い……大切な存在を喪い続ける苦しみを……ですが……」


「……ですが?」

 

「五十年前……人間はゆっくりゆっくり変わり始めたのです。身分制度のない世界を求めて……」


「五十年経った今は……身分制度はなくなったの?」


「いえ。現在も身分制度はありますよ。たった五十年で簡単になくなるような制度ではありませんから」


「そうなんだね……」


「ですが、人間はずいぶん変わりました」


「どんな風に?」


「それをわたしが話したらカサブランカ様の為にはなりません」


「……え?」


 わたしの為にならない……?


「ご自身の目で見てきては?」


「……ちょっと嫌だな……さすがにベットのままは移動できないだろうし……」


「ははは。カサブランカ様らしいですね。いつか気が向いたら……人間の国を見るのも楽しいはずですよ」


「気は……向かないと思うよ」


「今すぐにでなくてもよいのです。わたしの店舗の扉を開ければそこは人間の国なのですから」


「うーん……じゃあ……気が向いたら……でも……行かないと思う……」


「ははは。カサブランカ様は正直ですね。人間の国には至る所にぺるみ様とベリアルの像があるのですよ。素晴らしい出来の物から何だか分からない抽象的な物まで……それを見るだけでもおもしろいはずです」


 ママとベリアルの像か……

 どんな物なんだろう?

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