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魔法少女と夢見る電気魔王 ~女神の異世界ITパスポート?~  作者: へるきち
7.開発統一基準策定書

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7-4. セキュリティインシデント対策

 今回のターゲットであるアールくんはゲーム世界の中に居る。

 クローズドのゲームサーバなので、他者に目撃される懸念も無い。ニャア探偵事務所の総力で臨むよ。


 アールくんは正体不明のウイルスに感染しているそうだ。マルウェアと言うべきだろうか。コンピュータウィルスとも呼ばれるやつだね。

 私とニャア大佐がクリーンインストールからやり直したけども、既にBIOSにも潜んでいたのだとか。ゲーム世界に隔離している間に浄化する可能性に賭けたそうだけど、魔王に汚染されて逆効果だったそう。


「ミクルちゃんは大丈夫なの?」

「兄の犠牲でワクチンを生成したので、現時点では大丈夫」


 このままアールくんを放置しておくと、変異に対してワクチンの生成が追いつかない危険性があるそうだ。いっそゲームを消去してはどうなのか?というとヒトでいうところの魂を砕くためには、ゲーム世界の中で倒すしか無いそうだ。

 兄のデリートを選択したミクルちゃんの情緒は私には分からないけど。私も、ミクルちゃんの合理に基づいた判断を指示する。最悪の場合、キナコ達古代ロボ、データセンター、地下鉄の制御システムなど、全て破壊するはめになる。今、ここでアールくんを倒す以外の選択肢をとれるのは、きっと神だけだ。私のような。なんちゃって女神ではない、本当の神。そんなものが、もし存在するのならば、だけど。

 アールくんとミクルちゃんは姉妹だ。シリアルナンバーが1ビット違うだけの双子。アールくんは消滅しても、ミクルちゃんの中に生き続けるのだ。論理的には。


 ウイルスの正体はまったく不明。これも古代遺跡なのか、現代の誰かの刺客なのか、あるいは、お姉様クラスの謎存在なのか?未来の私の仕込みなのかも?いずれにしても、目的も背景も不明。


「ほいじゃー、イカれたパーティメンバーを紹介するんよー」


 まずは、宇宙海賊タオルくん。

 かつてどこぞの王国を統治した女王にして、転生して自分自身を倒した革命家でもある、頭脳派にして武闘派。胸のドクロマークがキュートな黒ジャージにマント、肩には青いインコ。青いインコは実はフェニックスだよ。相当にこじらせてるチュウニ患者だよ!おクスリでも、治癒魔法でももう治りません。サイボーグ戦士となってしまったので、もはや肉体も元に戻りません。


「ククッ、我の右腕が疼くんじゃけ。コレは、そう!ファントムペイン!もう無いはずの右足の小指もかゆいんよ。え?もう元に戻れないの?聞いてないんじゃけど」


 クローン技術で作った予備機があるらしいよ?多分3人目まで大丈夫だってさ。


「拙者が一刀両断にするでござる!ゲーム世界なら例え刀が折れても復活するでござるからな。柔らかい部分じゃなくても斬るナリー!」


 女騎士ニートンだよ。

 どこかの異世界で王女様の近衛騎士だった彼女は、1万回のループと輪廻転生を繰り返して、剣の修行を積んだ究極の騎士だよ。なぜかメイド服を着ているよ。メイド喫茶でバイトする時に便利なんだって。近衛騎士は安月給なのかな?

 姉妹で一体化したのも食費の節約?姉は防御が紙切れ、妹は質量を持った残像を繰り出せるけど防御だけ、一体化しないとどっちも雑魚騎士。


 続いて、ロックンローラーのミーナ!

 私の妹なのでマヌケだよ。ロックンローラーにどんな戦闘力があるんだろうね?

 ピンクのジャージを着て、テレキャスターを背負ってるよ。テレキャスターはマナカナ吸引装置でもあるよ。腰に下げた小さいアンプには集めたマナカナを溜め込んであるよ。なお、ギターは弾けません。真の姿は魔法幼女だよ。


「ふひひっ。お前も蝋人形にしてやろうもん」


 ほいでー、なんと魔界から魔王の参戦だー!

 雑魚なんでどうにもならんわ。


「僕の妹がこんなに雑なわけがない」


 えーっともう面倒じゃない?全員これやんの?


 元おもらし王女のジョン。私のメイドさんでーす。生活魔法全般が得意だよー。ジョンの名前は、元国王から襲名しました。首輪もつけて、まさに犬だし。本人もそういう扱いを望んでいるので。

 後はー、誰じゃっけ?これで全員?


 私は、万が一感染すると世界の終わりなので指揮だけです。ミクルちゃんは解説係。キナコはいつも通り見学。アマテラスは寝てます。ボンジリもゲーム内にいるのはただの飾りなので、アマテラスと一緒に寝てます。

 パーティの連中は全員ゲームがド下手なんで、本来の強さを活かしてもらうために、ゲーム世界の中に転移させました。


「え?ちょっと?感染リスクあるなんて聞いてないけど?お姉ちゃんもこっち来てよ!」

「だって女神じゃもん。ついでに魔王じゃし?こんな雑魚戦闘には出らんのよ」

「見事なクズっぷりナリー。もはや天晴でござる」

「異世界を行き来出来るのはニャアだけなんだから。安全圏に置いとかないとね。異論はないわ」


「はい、じゃあ、ぼちぼちやっちゃってー」

「指示が雑ぅ」


 はい!今日はね、こちらのゲーム。グランドタンクでアッハッハ、通称GTAの攻略実況動画ですよー!見事、アールくんを倒したら、イイネボタンおにゃしゃす!

 アールくんの所在はゲームマスターにも把握出来ないんだよ。謎ですねー。


「このオープンワールドは川崎市と同じ広さなんだっけ?」

「約14万4,350ヘクタールね。東京ドーム何個分かしら?」

「そんなもんに例えられても分からぬナリ」

「アールくんは、バグに嵌まってるとか無いよね?壁の中とか。それ詰んでない?」

「まずは、聞き込みがゲームの基本でしょ?あそこの村人Aに聞いてみましょう」


 おや、その村人はニャアちゃんそっくりですね?老婆だけども。ゲームデータとしては存在しているのでNPCでしょうね。


「ふむ。あれは僕の妹。僕が、ききこ…」


 ぶっしゃああ!!

 魔王は死にました。魔王はゲーム世界から出られないので、病院に強制送還です。全治5年なので戦線復帰は絶望的ですね。相手が老婆とはいえ自分の妹だったので油断しましたね。レベル666億なのにね。


「なんでこの魔法老婆が、オニのような強さでござるか?」

「杖で物理攻撃してくるわよ!こいつ魔法老婆じゃないかも!鬼よ!オニーちゃんよ!」

「ワタクシが行きますわー!痛みなどご褒美ですわー!おーほっほっほ」


 ジョンは現実世界に帰って来ました。本気で痛みがご褒美なんで、自ら攻撃を脳天に食らってましたよ。死ぬとゲーム世界から脱落する仕様なのです。ちょっと、お茶いれてー、ジョン。甘いもの食べるわ。


「こらー!終わってもないうちから甘いもの食べるなー!」


 タオルくんが右腕に仕込んだサブマシンガンで老婆を粉々にしました。完全にオーバーキルです。

 それ老婆だけど私の姿なのになー、一切の躊躇が無かったね。背筋が凍ったよ。


 ピロリロリン!


「え?アールくんのライフゲージが減ったよ?」

「なるほど。いろなんなキャラに化けてあちこちに分散しているナリか?」

「ならばー。次はあそこの山に見える巨大観音像あたりがアヤシイね」


 なんですかねー。川崎市がモデルのはずなのに、山の上に巨大な観音像がありますよ。今にも動き出しそうです。観覧車を背中に背負ってます。ヨミランドにあんなのありました?


「先手必勝!私が倒す!」

「行けー!ミーナちゃん!」


 桁外れのマナカナ吸引装置がついてましたね。驚きの吸引力です。ゲームなんで仕様がデタラメなんですかね。もうちょっとリアル志向のゲームだったはずですが、ゲームもウイルスに感染しちゃっているのかも。ミーナちゃんは墜落死です。ゲーム世界から帰ってきた彼女は、ふてくされて、甘いものタイムに入りました。


「拙者に斬れぬものなど無いナリ!」


 すぱっと真っ二つです。ニートンの剣にかかれば惑星すら、真っ二つなのでは?多分、こんにゃくくらいですかね?斬れないのは。


「拙者に斬れぬのは主君だけナリ」

「とぅんく!」


 いや、とぅんくちゃうわ。いつか自分が真っ二つにされる想像して、脳波が一瞬止まったわ。こいつの主君は私では無いのだ。以前は、私だと勘違いしていたようだけども。じゃあ、誰がニートンの主君なのかと言うと、この世界には居るのかどうかも分からない。


 次は何ですかねー?


「あれ?なんでまた魔王が?」

「これはニセ魔王ナリ?」


 瞬殺でした。雑魚乙です。こっちが本物の魔王かも知れませんね。それは死んでも病院からスグ出てきますよ。


「アールゲージが減ってない。アレはただの雑魚か」

「あそこに居る、巨大なニワトリは敵でござろうなあ」

「ドラゴンの成体ね?ヤキトリにしてHPを補給しましょう」


 なんかコレ最終回みたいに、これまで出て来た敵が勢揃いじゃない?全部覚えてますか?私は、すっかり忘れてました。そういえば、あんなの居たわー。


 タオルくんの膝がパカッと折れて、そこからジェットが吹き出して空を飛びました。あれはどういう原理ですか?解説のミクルちゃん。


「ゲーム世界なので何でもアリなんだよ」

「なるほど!ゲームならではの演出なんですね!」


 タオルくんは両手にぶら下げたニートンを巨大ニワトリに向けて、上空から投擲します。そいつは首を刎ねてもまだ死なないから気をつけて!

 

 ざっくり!

 

 巨大ニワトリは真っ二つにされ、半身揚げにされました。タオルくんとニートンがそれを、もっしゃもっしゃと食べてレベルアップです。せっかく27歳の姿でゲーム世界に入ったのに、6歳幼女に若返りです。


「弱体化してない?」

「鬼のような仕様のゲームでござる」


 大丈夫、あんた達も鬼のように強いよ。ゲームバランス最悪だなあ。


「6歳幼女になったって事はアレに乗る時が来たのね」


 二人は川崎駅の地下街に行きました。そこにあるガーゴイル型古代ロボに搭乗です。複座なので、二人で一体に乗り込み、タオルくんが操縦で、ニートンが火器管制を担当します。

 こいつが出て来たと言うことは次の敵は?


「ワタクシですわ!」


 おもらし王女が出てきました。ありゃー、これは最悪の敵ですよ。なにしろ異次元の豪運の持ち主なので。何の前触れもなく、ロボが故障するかも知れません。

 おお?縦ロールがみょーんっと伸びて、ガーゴイルを貫きましたよ!?


「あんなキャラ作ってないんだけどな?」

「ゲーム内でアールくんが作ったのかな?」

「そうなんだろうね」

「お茶うまー」


 縦ロールは操縦席を貫いたので、ミクルちゃんが帰ってきました。残るのはニートンのみですけど。あれは、我らすっとんとんシスターズの中では最弱なのでは?


「最弱はひどいナリ」

「お茶どぞー」


 パーティ全員帰って来ちゃいました。あれ?どうすんのコレ?


「ほいじゃー。コントローラーで隠しキャラの猫耳魔獣ニャアちゃんを操作しようか」

「最初からそうすれば良かったのでは?」

「そうかも知れない。失敗を責め立てないで欲しい」

「そりゃ正論だけども。まあ、いいか。こんなのが所長やって看板に名前入れるのも許可しちゃったのだから」

「そうでござるな。ニャア殿の戦いを見守るでござる」

「そうねー、おねえちゃんがんばえー」


 みんな大人だね?あざます。ミーナちゃんがなんだか棒読みだけどね。是非もなし。


「やはりクソゲーでござったな」


 猫耳魔獣が参戦してスグに、アールくん本体がうっかりマヌケにも現れて、あっさり倒されました。ポンコツだからね。超雑魚乙でした。おもらしはニャアちゃんの奴隷なので、自害してくれました。主君に対する究極の愛情表現ですね。こわー。さすがの豪運も自害は可能なのかー。気を付けないと。現実で同じ事やられたら、私のトラウマが増えちゃう。


 こうして、正体不明の敵は滅びました。アールくんは私達の胸の中で永遠にマヌケなのです。ぶっちゃけ、ミクルちゃんが居るので喪失感は特にありませんね。彼女もそっくりなマヌケなので。

 ついでに何故か、魔王もニセ魔王も滅びました。

 うん。これクソゲーだし、ゲーム世界全体を滅ぼしておきしょうか。えいっ。


 これが何かの伏線であるとか、そうゆうのはマジ勘弁です。そんなシナリオは、提案書レビューの時点で即刻没にしてください。

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