6-14. リコンパイル
「クックック…我は魔王…この世を悠久の闇へといざなう者…愚かなニンゲン共…我を倒せるか…」
犯罪ひゃっはー!なゲームに新キャラが登場した。ついにこの世界にラスボスが!?こいつを倒せばエンディングが見られるのではー!?
「雑魚乙」
魔王は、ニートンにデッキブラシで撲殺されました。魔王なのに、魔法とかじゃなくて、日用品で撲殺。ま、このゲーム世界に魔法は無いんだけどね。だから、魔王なんて居るはずもないし、ただのチュウニでした。27歳のね。
「あ、このキャラ復活するでござる。病院から出て来たでござるよ。NPCのくせに生意気ナリ」
「これ、アレよね?タワシを召喚できるヤツ。かつて兄だった気がする者」
「そだねー」
元気そうじゃん。妹に焼き殺されたというのに。トラウマを刻まれた様子もない。でもなあ?こいつは輪廻転生するはずなのでは?これでは私と同じ異世界転生者じゃないの?ゲーム世界に転生しておるんよ?
「あら?キャクター紹介にニャアが居るわよ?あんた、このゲーム世界に入ってたんだっけ?」
「え?どれどれー」
ニャア
本名:不詳
年齢:記録を抹消済み
職業:魔法老婆
属性:魔王の年上の妹
能力:死ぬと異世界転生する
補足:魔王の妄想の産物
「なにこれ?どういう事?」
「このゲーム世界ではニャア殿は魔王から産まれたナリ?」
「妄想で産んだ妹の異世界転生能力を得てしまった?なんじゃそれ。ニワトリとタマゴの関係が反転してない?」
「魔法老婆って何?一見斬新な気がしてしまうけど、ただの魔女のばあさんでしょ?ねるねるねるってるような」
「いや、グラフィックを見る限りー、和服?斬新でござる??」
なんだろう。ゲーム内の特異点だわー。こいつ死んでも病院からやり直しの設定だから、死んでも死んだ事にならないので異世界転生出来ない、ナニソレ意味分からんね?とにかく、こいつはゲームの中で生涯を終えるんだわ。いや、終わらないんだね?これも一種の不老不死?
「このゲーム、コンパイルし直して改変したらどうなるの?」
「こわいこと言うね…」
「コンパイルはハードルが高いけど、MODならすぐに作れますよ?お嬢様」
「ほいじゃあミクルちゃん。この哀れなチュウニを、妄想ではない本物の魔王にしてやって」
「もう準備してます。僕も遊んでみたかったので」
「この娘、やりおる」
いつの間にか、僕っ娘に戻っておるし。アールくんと被るからやめたんじゃあ。そういえばアールくんを最近見てないね?何処行った?自由なAIだから勝手に徘徊してるのかな?
「やあ、僕はアール9801号だよ。ロボットじゃないよ、アンドロイドだよ」
「ああ!?アールくんがゲームの中に!?」
「アールシリーズは1体で十分なので。お兄様には隠居してもらったよ」
「こやつも、兄を手にかけてしもうたか…」
「妙なところが主人に似たわね?」
「アールくんは電子データでござろう?サルベージは簡単なのでは?」
「コピーガードをかけてROMに焼いたので、無理に出そうとすると消滅します」
「MODじゃないじゃん?完全に魔改造です。ありがとうございました」
召喚魔法でも無理なんでしょうかね?前回は、召喚魔法でバカ兄貴魔王をゲーム世界からサルベージしたけど。コワイので、ちょいと試すってワケにもいきませんよ。
「このポンコツアンドロイドはプレイヤーキャラとして選択可能だよ。コイツで魔王を倒そうよ」
「ほほーん?どれどれー。せめて遊んでやるのが供養じゃろう。ステータスを確認っと」
R9801号
職業:浪人
属性:アンドロイド
武器:金属バット
乗り物:轟天号(自転車)
特殊機能:マヌケ回路
補足:埼玉県の地図さえあれば何処でも行けるよ
「えーっと、これはオマージュじゃない。完全にパクリです。ごめんなさい」
「そうね、さすがにコレはダメよ。作り直して頂戴。ミクルちゃん」
「ほんの冗談ですよ?本当はこうです」
R9801号
職業:東大理3を首席で卒業したコンビニバイト
時給:450円
武器:屁理屈
乗り物:コンビニに乗り捨てられた盗難バイク
特殊機能:人類滅亡を夢見る回路
補足:ぽんこつ
「これでどうやって魔王を倒せと?魔王のステータスは?」
魔王
レベル:666億
魔力:666億
体力:666億
補足:各種魔法完備、レベルもステータスもカンスト、とくかく全部666億
「こいつだけ違うゲームのキャラじゃない?」
「倒せる気がしないでござる」
「やる前から諦めてどうするの?負けると分かっている戦いでも、ゲームなら戦わなければならないのよ」
「ういっす。宇宙海賊タオルくん。分かったよ」
タオルくんは、アホ毛を生やして肩にインコを乗せた宇宙海賊。
ニートンは、メイド服を着た騎士。武器は日本刀。
ミーナちゃんは、ロックンローラー。
ミクルちゃんは、アールくん。
私は、私を使うよ。猫のアマテラスが使い魔でセットだよ。
「わらわは見ているだけで楽しいのだ、さあわらわを楽しませるがいい」
えーっと、どうする?このプレイ動画に需要あるの?まあ、記録に残しておこうか。
「ねえ?次はニートン辺り消されるんじゃないの?」
「何を、おっかない事を言うナリ?」
「いや、なんかキャラをやたら増やすクセがあるじゃない?この世界」
「その反動で、消えていくキャラが出始めたと?」
「なんか、そんな気がするのよねー」
「くっ、拙者もちょんまげはえーるを飲むでござる!キャラ付けさえしっかりすれば消されぬナリ」
「やめなさいよ。ちょんまげの6歳幼女なんてバグじゃないの。真っ先に削除よ」
「ニートンは消えぬじゃろ。便利じゃけ」
「どういう意味でござるか?」
あれなー、常春の国のプラズマ一家とかなー。あんなに活躍してたのにね。この世界は、どこかの異世界では物語なのかも知れないけれど、私達にとっては現実なので、そういうのはやらないで欲しい。
「アールくん。じゃなくてミクルちゃん。あれある?一体化座薬」
「あるよー。はいどぞー」
やっべー。ボロボロの老婆ニャアちゃんが、座薬入れたショックで死にかけた。ずっとヒキニートのまま老婆になったら、これくらいに貧弱になるんだろうね?こわー。
猫のアマテラスと一体化したので、猫耳魔獣にゃあ!これ魔王に勝てるんじゃないの?
「さすがは、お嬢様。ご都合主義回路でも搭載しているのかな?猫耳魔獣はスーパーウルトラデラックスレアキャラだよ」
「ふふっ。何もやることがない。オヤジ!ミルクだ、ミルクをくれ!」
「ですなー、なにこれクソゲーなり」
「まあまあ、いきなりラスボス戦するのも、RTAだと思えば」
まあ、あれよ。うん。クソゲーだわ。
「ぐああああ!!まさか、一撃でやられるとはー!しかし、我は何度でも蘇るぞ!!」
エンディングは2時間ありました。マジクソゲー。
「お?何やってるんにゃ?」
「あ、ニャア大佐、ひさしぶり」
「しばらくここに来れなかったから、おみやげは腐ったミカンにゃ」
「いや、いらんし」
ニセニャアの暗躍でマナカナが枯渇していたので、この世界には転移出来なかったの?
「いや?入ったら出られなくなりそうだったにゃ。魔獣の勘だにゃ」
「マナとかカナが見えるわけじゃないんだ?魔力の源の謎物質というか物質ですらない謎概念?」
「は?何ニャそれ?魔力の源は、アレにゃ。えーっと何だっけ?」
「さすがは私、物忘れがヒドイ」
「魔力の源は、おいなりさんにゃ」
「そうにゃ、もしくはよく煮た小豆にゃ」
「そうそれにゃ、ほいじゃあ、おみやげは渡したし、急ぐからまたにゃー」
「あ、ちょっと!意味不明なこと言い捨てて行くなー!」
おいなりさん?おしりのあなの病のこと?それとも大変な変態さんのこと?
よく煮た小豆?それはアンコじゃなくて?
猫耳魔獣達の慣用句は、さっぱり分からない。




