5-16. 巨大ロボはロマンよね?
「ふひー。今回は、もうダメかと思うたわー。生きたボンジリを食べるとか、もうやりとうはないー」
「そうね。踊り食いじゃなかっただけ、まだマシだったけど」
「フェニックスの踊り食いは、さすがに食べた方が死ぬんじゃないかしら?」
「ほー、そんな事があったでござるかあ?」
今回分かった、一番重要な事は。ヨコハマ近辺だと、魔力が充填されずに、魔法幼女は死ぬ、ということ。やっべーわー。もう村から出られないわー。一生、引き籠もりだわー。ヒキニート最高。
「ほいでー、どうするー?ニートンは過去に行くの?」
「いやあ?過去に行っても何をすればいいでござるか?さっぱり分からないナリー」
「ま、そうじゃね」
「しばらくは、何もしないで悪魔の湯につかってましょ?」
「そじゃねー」
謎しか残ってませんね。
なぜ魔王のもとに手紙が届いたのか?手紙の主は、なぜ魔王を迎えに寄越したのか?
おもらし王女は多分、王宮ごと吹き飛んだと思うけど。アールくんの製造者とか、人型汎用決戦兵器はどうなったのか?
私達は、謎は謎のままにして、丸っとひと月湯治したのでした。魔力袋の損傷が激し過ぎたのか、私とミーナちゃんは14歳児のままでした。ミーナちゃんが14歳児になったのも変だけど、もはや大事の前の小事だよね。
「私は帰ってきた」
湯治を終えて村に帰って来て、そこから更にひと月。私は、ついに6歳幼女に戻りました。
やはり、この村はマナとカナが濃いようですね。しかし、何故かミーナちゃんの方は、17歳に成長しました。何故?
「あんな目にあっても成長しないニャア姉ちゃんの方がオカシイわよ」
「あ、はい。その通りですね」
さて、そろそろ活動開始ですよ。
ニヶ月の間に、国王は、サガミハラをヨコハマに併呑してくれました。更に労働力と用地を得た24時間働く国ヨコハマは、GDPが王国時代の300倍になりました。私達は、サガミハラ戦の報酬を全額、ヨコハマの主要企業の株に突っ込んでおいたので、100兆円の資産を得たのです。いや、いくらなんでも額が大き過ぎると思うじゃないですかー?ヨコハマはハイパーインフレで物価が100倍になったので、1兆円程度の価値ですよ。それでもヨコスカくらいは買い占め出来そうだけどね。
ヨコスカはヨコハマと和平条約を締結しました。これで、当面の危機は去ったのですのジャガー。
「ヨコハマ方面で魔法幼女が活動する方法を探ってみました」
ミーナちゃんが真面目過ぎます。ヨコハマ方面には二度と行かない、それでいいじゃない。
「まず。マナもカナも無い空間で活動する方法ですけど、これは簡単です。ボンジリとアマテラスを魔力タンクにすればいいのです。フェニックスとドラゴンが一緒に居れば良いのです。宇宙空間ですら活動出来たでしょ?」
「うん。フェニックスは酸素も作るからね。まさに不死鳥」
「くえー!」
「しかし、ヨコハマ方面では、真っ先にボンジリとアマテラスが体調を崩しました」
「ふむー。宇宙空間より過酷な環境ということでござるか?」
「ここからは仮説になるのですが。サガミハラで発掘されたという古代遺跡に原因があるのかも知れません」
「マナとカナを、ギュンギュン吸い込んでいる?」
「あるいは無効化しているのね」
「僕の製造者が、マナカナ無効化装置を開発して設置している可能性もありますけど、古来より、あの土地に魔女が居ない事から判断するに、古代遺跡が原因である可能性が高いかと」
つまり、人型汎用決戦兵器との戦いは、必要であると?しかし、どうやって戦うのかな?私達が乗り込んでも、魔力袋がどれだけ保つのか?
「ソルを使えば一撃でござるがー。引き換えにするニンゲンの数が多過ぎるナリ」
「そうです。お姉さんによると、マナとカナの発生源はニンゲンだそうなので、それは本末転倒なのです」
「ほいじゃあ、どうするの?」
「こんな事もあろうかと、僕も人型汎用決戦兵器を開発中だったのです」
「なんじゃと!?」
スーパーなロボットを対戦させると!?ロマンチックが止まらないわー。
「お嬢様方が遊び呆けいていた、このニヶ月の間に急ピッチで建造を進めて、4体のドローンを用意しました」
「ドローン?巨大ロボ型の遠隔操縦無人兵器って事?」
「はい。この村から遠隔で操縦します」
気分はネット対戦。ネット対戦感覚で戦争開始です。
まるで、巨大ロボの操縦席みたいな筐体が4つ、すっとんとんビルの地下に用意されていました。
「これ、どうやって操縦すんの?」
「脳波に反応しますので、レバーとかペダルは気分で操作して下さい。音声入力も有効です」
「便利じゃね?」
「ロボのメインカメラが撮影した映像が、正面のモニターに表示されます。他にも飛行艇型のドローンの映像も、部屋の壁に並べたモニターで確認出来ますよ」
まずは、起動して発進ですね。ロボは何処に居るのかというと、静止衛星軌道上の基地だそうです。宇宙戦艦ヤマトナデシコが係留してあった場所に、新造の宇宙空母ヤマトナデシコが移動可能な基地として浮かんでます。
「ほいじゃあ。ニャア行きまーす」
「ミーナ出る」
「えー、そのセリフはー、私は恥ずかしいわね」
「拙者も行くでござる。にんにん」
しゅごー、ぼわーっと大気圏に突入します。燃え尽きる事はありません。卵みたいな耐熱カプセルの中に入ってますので。
「そろそろ高度1万メートルだけど。このまま自由落下でいいのかしら?」
「耐熱カプセルにもロボにも飛行能力は無いので、そのまま落ちちゃって下さい」
「ヨコスカの軍港に落ちますよー」
どっかーん、とヨコスカの軍港を派手に破壊しながら、私達の巨大ロボは大地に降り立ちました。
「ヨコスカとは和平条約結んだんじゃなかったっけ?」
「でも、サガミハラを調査しても、敵の巨大ロボは見つかってないんだよ。ヨコスカが隠し持ってるんじゃないの?」
「そういう事になるわね?」
ヤマトナデシコを落とした時に全部吹き飛んだのかも知れないけどね?
しかしー。ヨコスカにも巨大ロボは見つかりませんでした。
「ありゃ。これはやってしもうたのでは?」
「国王の許可はとってるから。このままカマクラとショーナン方面にも行くよ」
「カマクラとか如何にも巨大ロボが眠ってそうでござる」
「別に、日本の鎌倉は関係ないからね?適当に名付けただけなんで」
大船のあの巨大観音像とか、如何にも動き出しそうだよねー。
「ねえ?何か出て来たわよ?」
「うーん、巨大観音像が動いちょる感じ」
サガミハラ戦争の黒幕はカマクラじゃったのー?ほいじゃあ、ヨコスカに続いて、カマクラも占領しちゃいますかー。もうこれ、信長さんの野望的なゲームよね?惑星全土を領地にするまで終わらないんじゃないの?
「えーっと、どうやって戦うナリ?」
「私、格闘技の経験ないわよ?どうすんのよ?」
「拙者も攻撃に関しては雑魚騎士ナリ」
「私もシステムエンジニアじゃしー」
「そのセリフもはや、白々しいわよ?お姉ちゃん」
んー、ほいじゃー。
「ソルで精密爆撃しようか?あれは別に大量破壊専用の兵器ではないんよ」
出力を絞れば、幼女の脳天だけを貫く事も出来るのです。うん、今まで忘れましたよ。
「これだけ地上の目があれば、かなり精密に狙えるんじゃないの?」
「ターゲットへの照準と出力の調整は僕が、トリガーはお嬢様に」
おっほう、気分はファティマを従えて、バスターランチャーを撃つヘッドライナーですよ。
4人でスマホ型コントローラーを操作して、ロックを解除します。今の管理者は、この4姉妹なのです。お姉様は「私はライブハウスの女将なんだから、妙なものの管理人とか嫌よ」との事なので、管理者権限はもう持ってません。
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ちゅいん!ぼぼーん!
スナック感覚で、敵の観音像型巨大ロボを蒸発させます。
うーん、やっぱこれやべーわー。
巨大ロボは、他にも埴輪型とか、全部で13体出てきましたけど、全て静止衛星軌道からの攻撃で瞬殺でした。巨大ロボの格闘戦は一切無し。巨大ロボで来る必要無かったね?
「13体とか、如何にもキリがいいじゃない?」
「これで全部な気がするね?」
ほいじゃあ、現地へ乗り込んでみましょうかね?占領も宣言しないとだし。




