5-13. ああん?女神様
「女神様に、お話があります」
これはいつか見た青い空?
我が家を訪問しているのは、民主革命軍の党首です。略して「みかん党」は、国会の議席の過半数以上を占める政党です。軍とか言っているくらいだから、クーデターによって、この国の政権を奪取し、民主資本主義の国に改革しました。「腐ったミカンは箱ごと捨てろ」がスローガンです。私達の傀儡です。クーデターに依って倒された王室も私達の支配下だったので、革命は完全にシナリオ通りの茶番でした。
こいつの話を聞く前に、周辺国家の情勢を整理しておきましょうか。
この世界の人達は固有名詞に拘らないので、国の名前も定かでは無いのですじゃがー。それでは、分かりづらいので、勝手に名付けてしまいしょう。
まず、カワサキ。
私達の本国である帝国は、カワサキ帝国です。
村の名前もカワサキとしてましたけど、それだとまるで首都のようなので、ペーターがヤギ飼ってそうなあの村の名前は、オタマ村って事にしましょう。川崎市多摩区みたないものです。
そして、ヨコハマ。
私達がコンビニバイトをしながら暮らしている、この国は、ヨコハマ共和国です。
アルプス山脈を挟んでカワサキ帝国とは国境を接しています。現在、傀儡政権を通して私の支配下となっており、カワサキ帝国の属国ですね。
つづいて、ヨコスカ。
ヨコハマ共和国の隣国は、他に3つ、いや2つありましてー、まず海側で巨大な軍港を有するのが、ヨコスカです。
最後に、サガミハラ。
内陸部に2つあったヨコハマの隣国が合併してひとつになり、これがサガミハラです。おもらし王女の政略結婚によって合併しました。おもらし王女の出身国は、以前カワサキ帝国に宣戦布告し、見事負けましたね。
つまりー?
おもらしの反撃が始まったのです。政略結婚によってサガミハラをまとめ、ヨコスカと同盟を組んで、カワサキ帝国に戦線布告をして来たのです。
最前線となるのは、当然お隣の、ヨコハマです。
まとめるとー?
また戦争が始まったよ、です!DEATH!!ほんまDEATHわー。
「サガミハラとヨコスカは、魔法少女も魔女も戦力として保有してません」
「ほっほー?つまり、私とミーナちゃんが出撃すれば、瞬殺じゃと?」
「そこまでは望みませんが。まあ、うまいこと片付けていただければ、と」
おもらしの動機は、ミーナちゃんと私への恨みでしょうからねえ。過去の自分達の不始末の責任をとるのは当然ですかね?
「成功報酬は、1兆円です」
「少ないでござるなあ?」
「インフレは沈静化させますので、どうかこれで」
カジノでは最終的に、おもらし王女に100兆円を持って行かれました。ディーラーにイカサマくらい仕込んでおけばねー。
国王兄さんのDNAを抽出して、サイコロの出目のコントロールに限らず、イカサマやりたい放題になる異能力が身につく「イカサマできーるー」をアールくんが開発してくれたので、今のカジノでは、ほどほどにしか勝てません。大半の客はちゃんと負けます。もちろん、「イカサマできーるー」は座薬です。
100兆円もお札を刷ってしまったので、ヨコハマは今とんでもないインフレです。
国民が、24時間死ぬまで働いているお陰で、GDPは100倍に成長しており、まだまだ破綻はしてませんけどね。自殺者数が10倍に増えました。資本主義社会の闇というやつです。
死ねばヴァルハラに行ける、などと言ってますけどね?どうやら、これが本当にヴァルハラに行っているらしく。カワサキ帝国の新生児が、ヨコハマの自殺者と同数増えました。いやまあ、ヨコハマ民の転生だと証明する事は出来ないんですけどね?オタマ村の神社には転生者が3人現れて、巫女として採用されました。3人共「ヨコハマで自殺したら、この村の公園に居た」と懺悔室で供述したそうです。
「そろそろ出陣したらどうでござるか?説明はもういいナリ」
いいじゃん。たまには仕様の整理をしたって。日記書いてても、スグ忘れるのだから。
「ほいじゃー、先手必勝じゃ。スグに出ちゃう?」
「いえ、ちょっと待って下さい。敵国に魔法系の兵力は居ないのですが」
「他に何かおるのかな?」
「はい、古代兵器を持ち出して来ました。人型汎用決戦兵器だとか」
「つまり僕、R9801号の力もアテにしたいト?」
「はい、まさにその通りで」
ついに現れましたかー。古代兵器を発掘しちゃうヤツ。帝国軍も原子力潜水艦をかつて所有してましたけどね。あんなちゃちなものじゃない遺跡を発見しちゃったかー。
アールくんもそうだけど、私の持っている対地攻撃人工衛星も、この惑星の古代文明の遺跡だよね。
しかし、人型汎用決戦兵器と来たかー。つまり、巨大ロボコンですわー。
「さすがに現実味無くない?惑星の重力に逆らって駆動出来るのかしら?自立出来るかもアヤしい気がするのだけど」
確かに。横浜市に動く機動戦士が展示されていたけど、巨大な柱で固定されてました。あれです「自重で潰れて死ぬ」ってヤツです。
「僕の知っていル限りだと、オリハルコンを使用すれバ、身長20メートル前後でアレば、質量の問題はクリア可能であるカと。ただし、動力源については、説明のつくものが、私の創造主のデータベースにもアリマせん」
アールくんですら知らない未知のテクノロジーかあ。もはや魔法よね?
「オリハルコンなんて実在するの?」
「僕が把握している限りにオイては、空想上の物質デす」
「ねえ、相手はただの遺跡と違うんじゃないの?例えば、ヴァイラスのマッドサイエンティストとか」
「あり得るでござるなあ」
「僕の創造主が加担しテいる可能性ガがっぴ、えーっとちょっとマジ洒落になってない状況なんで、普通に話しますね?僕を製造したアレがですね、加担している可能性が極めて高いです」
ほほーん。そう来たかー。おもらし王女といい、アールくんの製造責任者といい、始末出来る時にしておくべきでしたね?
「しかしー?アールくんの生みの親って、メインなのかバックアップなのかクローンなのか、よう分からんけども、こっちにもあるでしょ?」
「それが、僕の秘密基地から完全消去されてました。試験管に浮いていた脳みそはハードウェアとしては、もう死んでますので。ただのゴミですし」
「父親と対決するでござるか!?騎士の憧れナリー」
「女性なので、ママですかね?」
「あ、そうなん」
パパでもママでもいいけどね。アールくんには親がどうとかいう情緒はないので、何も制限事項はないのですが。技術力では向こうが数世代か先に行っておると。
「ねえ?相手が魔法みたいな科学力で来るなら、こっちは魔法そのもので対抗すればいいだけでしょ?」
「ソレだ」
ミーナちゃんの言う通りですね。ほいじゃあ、さくっとやっちゃいますかね?




