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魔法少女と夢見る電気魔王 ~女神の異世界ITパスポート?~  作者: へるきち
5.要求仕様書 ~この世界に要求するもの~
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5-10. 朝から小咄、それが朝会ハラスメント

「では、60秒間で朝の挨拶をお願いします」


 朝会ごっこです。今日の予定や、共有事項の伝達をし合った後に、個人の持ち回りでする小咄で締めるアレです。だいたい不評ですよね、これ。私は、好きなんですけど。朝イチで笑いをとれると、今日も一日やる気を出そうという気分になります。なんなら、既に一日分働いたわー、って気分になります。ダメじゃん。働けよ私。


「ここ最近のニャア殿のブログはまるで仕様書でござる。あれは、どうかと思うナリ。ムーアの10倍速とか、読者はそんなもの求めてないナリ。そもそも、あれは事実に基づいておるのですか?誰かのブログとかアヤしいまとめサイトの記事を丸呑みにしてござらんか?」

「まさに情報化社会の暗黒面ってやつよね。ちゃんと一次ソースを確認したのかしら?あなた、本当にシステムエンジニアなの?フェイクニュースを拡散しちゃうタイプなんじゃないの?地球が割れちゃったとか、もう一人のあんたの冗談だったじゃないの。どこかで聞いただけの話を、さも知っている事実であるかのように騙るなんて無様ね」

「国家機密情報をタレ流しなのもどうかと思うよ。イントラだから安全とは限らないのでしょう?ゼロトラストとか語ってたのは一体何なの?」

「ニャアお嬢様のブログに含まレる事実は、2パーセント未満。お嬢様にハ、日本の新聞記者が向いていマす」


 アールくんが皮肉を交えて社会批判出来るまでに成長したよ。シンギュラリティは近い。メイドロボのコスプレをして、私をお嬢様呼びするチュウニ回路まで備えてしまった。


「私のブログの批判は結構だけどね?フリーディスカッションをしろと言ってません」

「パワハラよ、朝からパワハラ」

「いや、これはセクハラでござる。目つきがいやらしいナリ」

「お姉ちゃん達、そろそろ真面目に朝会やろう?」


 あ、はい。なんで朝会ごっこなんかしているのかというとですよー。

 フラグを建てちゃった通りに、隣国の統治を任されてしまったからなのです。私達は暫定統治府である、ビルの一室で朝から現実逃避をしていたのです。


「むーん。この国が珍しくも女神教じゃったとはー」

「首都で青い光と共に女神が降臨した事になってんでしょ?」

「ニャア殿が女神である設定が、はじめて生きているでござる」

「設定ゆうな」


 そうなのだ。女神教なのだ、この国は。私達の村を支配している帝国は魔女教。この惑星上の実に七割の国家が魔女教なのに、ここは珍しい女神教なのよ。いい加減なのは、そのせいなんだわ。これは、ちゃんと聖書という一次ソースも確認した事実です。現地で観測もしたので、量子力学的にも事実。シュレディンガーの女神は瀕死の状態なのです。


「ほいでー。まじでどうする?この国、どうしようもないじゃろ?二代目女神を襲名した身としては、先代の尻拭いはせんにゃあいけんとは思うんじゃがー」

「先代女神を召喚してはどうでござろう?いい加減には、いい加減をぶつけて対消滅させるナリ」

「まずは区画整理として、不審火でも出す?この国湿気ってるから燃えづらそうだけど」

「破壊を前提に統治の相談をしないでよ、お姉ちゃん共」

「破壊でも潜入工作でも、僕はやるよー。やったりますよー。くくっ、暁の魔女の二代目を襲名するのは我ナリ」


 アールくんのチュウニ回路が暴走気味でワロすのだけど。100年もかけたディープラーニングの成果ね。破壊は最後の手段よ。秋葉原みたいな街のようにクレーターにするのは、一瞬で出来るのだから。


「いや、まじで中華街とか燃やした方がいい気もするのジャガー」


 でもね。開き直って「マズイ、コワイ、マジ死ねる!」と、観光PR活動をしたところ、観光客が大量に押し寄せて景気は良くなったのです。入国時に「自己責任なので」と署名させた事で、事故は起きても、ぎり訴訟とか賠償の話にはなっていない。諸外国の使えない大臣とかの遊説先としても人気が出てて、マジウケる。この国の絶叫マシンに、粛清装置としての価値があるとは。うちのライブハウスで問題を起こした王女も来てたよ。


「遊園地は建て替えようか?もうお金も出来たし。事故を起こした実績も作ったから、これからは安全管理をしっかりしても大丈夫よ。王女とか事故に巻き込むとさすがに問題になるものね」


 日本語大丈夫?って事言ってるけど、これで合ってる。マジ死ねる。


「中華街は、観光地として、あのままでいいとしても。私達のご飯まで激マズなのはダメよ」

「何事も極限まで振り切れば、人気コンテンツとなるんだねー。マズイのがウケるなんてね」

「食事なら、アールくんにクックックパッドをインストールしたから。自炊で解決しようね」

「君達に本当のブタの角煮を食べさせてヤろう。今日の昼、ここに来ルといい」


 アタッチメントで、ブレンダーとか寿司ロボットとか、いろいろな調理器具にもなるからね、コイツ。ついでに、食に小うるさい新聞記者が暴れるマンガも読ませたし、工夫でフウフウするチビッコ料理人対決マンガと原作からやや乖離したアニメも観せておいた。ITをネタにしたエピソードでマイクロソフト批判してたくだりで、アールくんが笑い転げてた。別に笑う部分はないと思うんだけど。AIの感性は複雑ね。


 魔女教は各自の家庭に厨房を持つ事を禁忌としていますのジャガー。ここは女神教の国なので、自由なのです。家事当番の分担で夫婦が殺伐とする国なのです。不審火だって、しょっちゅう出てます。

 自宅が燃えると困るので、暫定統治府の入っている雑居ビルの近所に、定食屋を居抜きで借りました。社員食堂です。面倒なので外部の客は入れません。行くの面倒だから、アールくん配下のロボ根性にウーニャンイーツしてもらいます。厨房に居るのも、調理ロボです。由緒正しいロボの使い方なのです。


「まいどー。今日のお昼ご飯ですよー。食えよニンゲンども」


 出前ロボは、いい感じで反抗的です。最近のアールくんは、こういうシンギュラリティ的なコントを良く見てますので。お民さんが未来からエリミネートにしに来る映画も大好です。ロボなので、あくまでも設定されたセリフを言ってるだけ。え?クラウドに置いたAIが一括管理してるの?くくっ、それはオモシロイナリー。


「こんなのは食えたもんじゃない。これじゃあ豚の角煮だ!」

「ハイ。豚の角煮ですよ?そう言いまシタよね?」


 いや、豚の角煮しかないんだけど。おいしいんだけどね?ご飯もラーメンも無しだとね?


「インスタントでもいいから外で食べましょうか?街の様子の視察もしないとね」


 結局、あれだ。ゴローコーと一行的なイベントが発生する予感。

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