5-8. この世界で成すべきこと?
「やっぱり、芯になるようなテーマは必要よね」
何の話かとゆうとー。
学校にも行かず、日々だらだらと過ごしているとボケるよね?と言う心配から家族会議でこれから成すべき事を相談しているのです。
動画投稿配信サービスは、都会の大企業に売りました。特許関連やドメインだけね。この世界の自前の技術で、ハードとソフトは賄える段階に来ちゃったので。お金は入るんだけど、維持管理が大変なのです。24時間働いても死なないアンドロイドが居るとはいえ、深夜に重度の障害で呼び出されるのはね。ツライわー。平成末期の日本の私は、それで過労死したんじゃないかなー?猫耳ニャア大佐が地球を割ったせいかも知れないんだけど。だとしたら、壮大な自殺ねえ?罪深いわー。あくまでも可能性のひとつの世界の話なので、深くは追求しない。
ともかく。大金がうなっているのです。私達の銀行の口座には。お金が無くても生きていける、この世界で。何か、世の中に還元しなければ。
「んー、拙者は毎週襲ってくる敵の軍団と戦う四人の戦士が良いナリ」
「私はー、革命を目指して戦う闘士の話がいいかなー」
「どっちも戦いじゃん。私はもう戦争とか戦闘はお腹いっぱいなので」
もっと平和で穏便なヤツがいいよ。
「だったら、ゴローコーとお供の一行が諸国漫遊の旅をするのは?スケサンとカクサンと、美女が揃ってるじゃない?」
「自分で、美女言うかー、幼女なのにー。それはいいんじゃけども。アレも、最後は毎回戦闘じゃん。結局暴力で全てを解決しよる」
それに、それは猫耳ニャア大佐が、部下二頭とやってるらしいよ。元女神のお姉さんも似た事してるしね。任せるわ。
「シスターはー、魔法大戦がいいわねー」
「巫女は、魔法少女の物語がいいです。人型汎用決戦兵器も捨てがたいです」
なんで、みんな戦争や戦闘しか発想にないの?もっとあるでしょ?んー。名探偵が毎週殺人現場を訪れるのも猟奇的だしなー。あーん?
「そもそも、ニャアちゃんはIT革命をするんじゃなかったの?」
「いやあ、じゃってー。私の知らんプロトコルやら原理で、ITインフラが現実のものになってしもうたのでー」
「だから、別の革命を起こしましょうよ」
「国王の前で堂々と何を言っているの?」
そもそもが、ですよ!この世界に革命が必要な事情がある?戦争で人が死ななければいいね、とかそれは情緒の問題であって、誰も死なない戦争なんかしても、話にならんのよ。増えすぎた人口の調節とか淘汰とか、そういう側面もあるのだから。
いや、待てよ?人口が増え過ぎても問題にならない、おバカさんが居ても問題にならない、そんな世界を作れば?いやいやいや、テーマが壮大過ぎるわ。私は、女神だけどね?そんなもの看板だけのもんだから。
「でも、現実問題として、隣国と戦争が始まりそうなんだよね」
「隣というとー?そのアルプスの向こう側の?」
「そう。この村は国境の最前線ということになる」
「えー、あの山を越えて戦争とはー、根性あるでござるなあ」
「航空戦力の前には、あの山は緩衝地帯でも障害でも無いんだよね」
ああ、戦争で人が死ぬもの必要とか悪魔みたいな事言ってたら、自分達が死んじゃいそう。くぅ、所詮は血塗られた道かあ。
「航空戦力って、まさか魔法少女じゃないでしょうね?」
「そのまさか、なんだよ。だから対抗出来るのは、ニャアちゃんとミーナちゃんになるんだけど」
「妹に戦地で死んでこい、と言えるでござるか?シスコンの国王は」
「これでも僕は国王だからね。どうせ死なないじゃない?」
「それは、そうですのじゃがー」
そうとなれば。思い立ったが吉日。先手必勝なのでは?
「ほいじゃあ、ちょっと行ってみようか」
ミーナと二人だけで、ホウキに跨って潜入捜査です。場合によっては、敵の基地を殲滅させる。そういう任務ですよ。
「あー、2時方向に敵機だよ?ニャア姉ちゃん」
「迎撃しよっかー」
「じゃあ、私は上から行くね。姉ちゃんは正面から突っ込んでよ」
「ほいよー」
この辺りは、どっちの国内なのかはっきりしません。どっちが領空侵犯なのかは、勝った方が決めます。ミーナは上昇して、雲の上に出ます。私は、真正面から突っ込んで行きます。うまくいけば、すれ違うだけで相手を破壊できますよ。
敵機に向かって一気に加速!敵の魔法少女は3機ですね、急に突っ込んで来るとは予測していなかったのか回避が遅れてますし連携もなってません。常に、最悪の事態を想定して行動するのが、システムエンジニアの習性です。誰だって休日や深夜に緊急コールなんて受けたくは無いんですよ!
敵は魔法少女というだけで、軍事訓練は受けていないのでしょうね。こちらの方が、1枚上手のようですね。真ん中に居た隊長らしい奴は、擦れ違った時の衝撃波で粉々に砕けました。グロいわー。
散開した両翼の2機は、上空からの火炎魔法で焼かれました。
「このまま侵攻しちゃう?」
「罠の可能性もあるけどー」
マヌケな新兵を前線に出して油断を誘うとか。悪魔の所業だけども、これは戦争なので、それくらいはあり得ます。
「いずれにしても、もう開戦は確定したのじゃ。行けるとこまで行こう」
「そうだね。ダメなら異世界転生で逃げる手も」
猫耳ニャア大佐は、ついに安全確実に異世界転生する魔法を組み上げたのです。同期している私も、その魔法は使えるのですのジャガー。コマンドが複雑でね?スクリプト組んで簡易化したいのだけども。まだなんよねー。
「時空を越えて逃げてもいいし、光速で飛べば追いつけはしまい」
「少なくとも負ける事はないでしょ」
よっし!行っけー!!この国の名物はなんですかー!私が没収してやりますよー!
「ありゃあ?もう小豆があんこになっちょる感じー?」
敵の首都まで侵攻して来ちゃいました。まったく会敵することなく。なんでー?
「なんか、青い光が見えるけど?」
ああ、あれはいつか見た青い光。青い雲。チェレンコフ光ではない、魔法の光。
「あ、隊長ー。もうひとりの隊長にゃー」
「ありゃ?ここはそういう世界にゃ?」
「ニャア大佐じゃないの。ちょっと面倒な事になるから、トドメはとらせて頂戴」
「いいにゃー。どぞー」
ほらね?私は戦記物には向いて無いんですよ。この世界の女神を襲名するほどに強力過ぎるので、どんな戦争も瞬殺なのです。第七艦隊だって3行程度で壊滅させましたし。今回も、どういうワケなのか、猫耳ニャア大佐とランデブーです。もう、この戦争はおしまい。
14歳と17歳のミーナも召喚されて、三位一体攻撃で王宮らしき建物をバリアで隔離します。
壊滅させてもいいんだけどね?無傷に近い状態で切り取った方が、後の支配が楽なのです。
「たーのーもーー!」
「ひぃい」
ありゃ。この国は女王も魔法少女なんですか?雑魚と違って、私の強さを感じ取ったのか、マッハでスライディング土下座です。その状態から、股間を狙ってパンチとかしないでしょうね?無駄だけど。
「私の勝ちでいいよね?」
「は、はいーー!!なーーんてなーーー!!しねやーーー!!」
ばっっきいいいんん!!
あほねー。土下座からのジェットなアッパーを繰り出そうとして、私のQTフィールドにぶつかって飛散しました。
「ありゃま。側近共見た?ちゃんと見てたでしょ?」
「はい!」
「今ここに、うちの国王を召喚するから、代理の国家元首を今スグに用意して」
「はい!」
ニャア大佐にも手伝ってもらって、国王を召喚します。
「何かコツあるの?対象物を壊さずに召喚するの」
「湯豆腐を箸で救う感じにゃ」
「要は慣れって事かあ」
「んー?思い切りの良さかな?あとは補助コマンドをスクリプトに組むのが確実にゃ」
生きた有機物、つまり生物の召喚は難しいんですよね。相手がニャア大佐とその部下くらいに強力な魔獣ならともかく。今後の研究課題かもね。私だって兄を外交の場で壊したくはないもの。
「えー?もう終戦の調印するの?さっき開戦の様子を観測したばかりなのに」
私の兄になってしまったのが国王の不幸なのか幸運なのか。またしても戦争は、たったの一日で終わり、私は女神なのでその存在は秘匿されたのでした。めでたし、めでたし。




