4-11. 魔界で聖地とは?
「まるでカワサキの駅前ナリ!?」
「でも、サイカ屋も丸井もないよー?」
「ガールズにゃんこクライで見た川崎とは同じよ?」
魔界は、まるっきり神奈川県川崎市のJR川崎駅の駅前でした。
平成初期の川崎しか知らないタオルくんには違和感があるようですけど、ここは令和の川崎なんでしょうね。駅前の百貨店は無いし、西側にはラゾーナがあります。ラゾーナの中央広場も、あのアニメの聖地だね。
ラーメンシンフォニーがある辺りに地下鉄の駅があって、そこから上がってくると、いつかどこかで見た風景だったわけです。うーん、川崎市は魔界だったの?
「6話で入ってたお風呂に行ってみたいナリ」
「最終回で焼き討ちされた神社も近いんじゃないの?」
「ここから一番近いのは牛丼屋さんだと思う」
聖地巡礼に来たわけじゃないよ? それに、ここは魔界であって川崎市ではありません。道行く人々は少ないし、多分魔族だし、路上に車は走ってません。この世界を創造した神が居るならば、そいつ日本からの転生者じゃないの? 難解な非機能要件書を渡されたような気分。IT革命家の視点で見れば、この世界は非機能要件の塊だね。私は、早々に理解を諦めた。魔界が川崎市にソックリなのも、何か仕様や設定に基づいているんだろうけど、知ったこっちゃないわ。
「魔王の城は何処なのじゃ?」
「え? 城とかないよ? 僕の家ならワンルームのマンションが近くにあるけど。散らかってるから、案内できないよ」
「へ? 魔王なのに、ワンルームマンションなの?」
「独身だし。ほとんど家には帰らないからね。いつも世界征服協議会のオフィスに居るし」
魔王がいつも居るのは世界征服協議会の事務所なんだけど。あれも雑居ビルの一室じゃったよ。魔王が小物感漂ってて、いかにも私のお兄ちゃんって感じだわー。
「あ、そういえば。協議会はもう解散するから、ニャアちゃんのビルに引っ越そうかと。いいかな?」
「いいよー。いつでも来るがいいよ。国王も引っ越して来るゆうちょったばい」
「協議会解散するナリ?」
「だってもう身内しか居ないんだよ? 理事からヴァイラスのマッドサイエンティストは抜けちゃったからね。名簿に載ってたメンバーは君達が滅ぼしたり食べたりしちゃったし」
魔法瓶に入った危険なヴァイラスは、お姉様がうっかり開けちゃった事で、すっかり無害化されてしまったのです。カワサキ村の大気にはフェニックスやドラゴンから溢れ出るマナだかカナだかが満ちておるそうで、邪悪なものは浄化さちゃうのだとか? それって、私の身も危ないのでは?
その時間軸は消えたはずなのに、ヴァイラスが無害化された事実だけが残ったそうな。そんな、少し不思議なイベントが秘かに発生していたのでした。結果として、世界征服協議会の理事は、私達すっとんとんファミリーだけになったのでした。今後は、世界の脅威については家族会議で協議されます。
あのマッドサイエンティストは、また何か作りそうな気がするけどね?
「そろそろアールくんの電源入れてみない?」
「そじゃーの」
魔界には生きたニンゲンは入れません。私達はニンゲン枠では無いので入れました。ぶひぃ。
普通の6歳幼女のはずのミーナも、私の影響で魔法少女になりかけているそうな。こいつも、6歳から成長しないのかなー?
アンドロイドのアールくんは、前回来た時にAIが汚染されたとかで。もっと汚染させれば一周回って浄化されるのでは? という目論見の元持って来たわけです。道中は電源を切ったままでしたが。
「ボロンっ! ががぴー!」
「さあ、どうなるでござるか?」
「悪化するようなら破壊すればいいわよ」
「これ燃えないゴミなの? 産業廃棄物ってやつなの?」
「燃やせば燃えるゴミでしょ」
タオルくんとミーナちゃんの発言が区別つきませんね? ござーるござるのニートン以外にもキャラ付けが必要かも。見た目は、ツインドリルと、小さいツインおさげで全然違うけどね。まず年齢が違うけど。
私は肩までくらいの長さの髪に特に何の加工もしていません。面倒なので。よって何の特徴もありません。
「御主人様、ご命令を」
お? 勝手に自律行動するAIから、コマンドプロンプトで待機するAIになった? これはこれで寂しい気もするけど。
「こいつ擬態してんじゃないの?」
「が、が? ピピー!? 何を言っているのか分かりまスん」
「まあまあ、別に悪事を働いてるわけじゃありませんし。大した事も出来ませんから、そろそろ許してやっては?」
「魔王がそう言うなら、しばらく様子を見ようか」
「がピー」
なんだかんだで、タオルくんとアールくんは仲良しだね。けんかするほど仲が良いってやつ? そのけんかが少々物騒ではあるけれども。
「本題に入りましょうか? オスのニンゲンの群れは何処にいるの?」
「そもそも、ここ魔界でござろう? ニンゲンが居るナリ?」
「それニハ、僕がお答えしましょう。魔界二生息していル生物は、大半は魔獣ですが、ちょっと異能があるだけのニンゲンも居まマす。そこの魔王も、ソウです」
「異能のものでござるかー」
「そんなことだろうと思ってはいたけど、異能はもう十分よ。却下ね」
ほいじゃあ何しに来たの? 聖地巡礼ですか、そうですか。そうですよね。
「くえー!」
「ありゃ?空を飛ぶ影は、ボンジリ?」
「ここは異世界じゃないの?」
「地下鉄で来たでしょ? 地続きの世界なんじゃないの?」
もう何でもいいよ。IT革命に微塵も近づかぬまま日々が過ぎてゆくー。ぐぬう。
その後、ガールズにゃんこクライの聖地を巡礼してから帰ったのでした。どこまでも川崎市にソックリな街だったので、聖地巡礼気分をちゃんと味わえました。まるで、大江戸温泉物語みたいなテーマパークだね。また、来ようかな。温泉もあるそうだし。




