4-10. ガーリーにニンゲン狩り
パンツの騎士達は20人程が、村に居着きました。
この村では貴重な結婚適齢期の若者達には、広大な芋畑を渡しました。例のフライングポテトの種芋を植え、せっせと農作業に従事しています。本業は、この村の護衛騎士団なのだけど、悪魔の一件以来、この村を狙う敵は多分もう居ないので、芋農家の方が彼女達の本業になっていくのでしょう。だって、悪魔が一瞬でヌルっと消されたのだから。よほどのおバカさんでない限りは、この村を警戒するよね?
「ニンゲンのオスを狩りに行こうよ」
タオルくんが、肉食系女子みたいな事を言い出したよ。
「え? 何なの? あんた盛っているの?」
姉妹の新メンバー、元ボス園児のミーナちゃんは、相変わらず発言の斬れ味が幼女らしくない。ガールズにゃんこクライに、ドハマリし、主人公のミーナ推しなので、ミーナちゃんと呼ぶ事になったのです。うっかり、世紀末メタルバンド版の方を観せてしまったので、より一層情緒が幼女からかけ離れて行ったよ。オリジナルだってガールズバンドのドリームズが噛んでトゥルルーってする危険なアニメなのに。世紀末版は最終話でニンゲンみなごろしだもんね。ミーナだけに、ミーナごろし。
「違うよ。私は、ニャア推しだから、ニンゲンのオスなんて汚水以下よ」
「なんだ、私の同類か、あんたも」
「拙者も、ニャア姫推しでござるよ。命を捨てる覚悟でござる。ニンニン」
この家は私のハーレムでしたか?
ちょっと違うね? タオルくんとニートンとは、一緒に一万二千年の時を越えた、不滅のすっとんとんな絆だからね。主観の時間は30分だったし、1日前に帰っただけじゃけども。
元ボス園児ミーナは私の事を、猫耳魔法少女隊を追い返して助けたヒーローとでも、思ってんのかしら? あれも、ただの茶番だったのだけども。
「村長として、村に居着いた女騎士共のツガイの相手を確保しなきゃねって話だよ」
「えー? それって村長の仕事かなあ?」
「分かってて逆らっても無駄でござるよ」
まあね。でも、一旦は反論しておかないと。なんでも、なあなあで合意するのは良くないのです。たまには意見をかき乱さないと、価値観に偏りが生じて、あのパンツ教団のようにおかしな事になるのです。いやまあ、純粋に面倒なので反抗しただけですけどね。
「そういえば、ニャア姉ちゃんは村長だったね。毎日、引き籠もってアニメ観せて来るだけだから、忘れてた」
そういうミーナも立派なチュウニ候補です。毎日イカれたアニメを見せてますからね、私の妄想を召喚魔法の応用で2次元化したヤツを。まだ6歳児なのでチュウニ回路が形成されていませんが、8年後が楽しみです。
「さて? どこにニンゲンのオスを狩りに行くでござるか?」
「んー? ヘタに攫っちゃうとまた国際問題になるしー。シスターに相談じゃな」
せっかくレッド・ノーティスが解除されたのです。出来るなら、このまま身綺麗でいたいもの。そうだねー、若い男しか居なくて、若い女性が不足している村でもあれば、ちょうどいいよね。ウィンウィンー、ガッシャン。
「は? そんな便利な村があれば、私が着任してますよ?」
「え? シスターは恋愛出来ないのでは?」
「若い男は騙し易いでしょ? お布施を毟り放題じゃないですか」
おーん? このシスターは先代と違って、おしりのあなが病んでいるだけの、まっとうな聖職者かと思ってましたがー。俗物でしたかー。私も俗物なので大変結構。俗物は分かり易いので、扱いが楽でいいのです。
「巫女だって、仕事は楽な方がいいですよ。女子の懺悔は、絶対秘密よ、って言いながら、特定の相手にはバラせよ? って意味だったりして、めんどくさいんですよ」
「はー、そうなんじゃー」
この世界に来るまで、女子とつるんで派閥争いした事も無いし、ボスメスザルの傘下に入った事も無いしね。姉妹の間には、そういうの無いからね。無いよね?
「うーん、ほいじゃあ。国王に相談しようか。もしもしー? 国王ー? 今スグ来いよ」
アールくんに設置してもらった国王とのホットラインで電話です。端末はワイヤレスの子機を、家だけじゃなく神社やライブハウスにも置いてあるのです。もちろん、私以外には操作出来ないようにロックはかけてあります。
「来たよー、マイシスター」
「誰がシスターじゃ。お前みたいな、おにーちゃん知らんわ」
「俺の妹がこんなにツンデレなワケがない」
国王であるコイツは、お姉様の弟なのだから、お姉様の妹である私は、コイツの妹、という理屈のようですが。却下デス。
「妹を国連軍に売るようなヤツは、おにーちゃんちゃうわ。鬼ーちゃんじゃ」
「う、あれでも譲歩させた方なんだよお。よーし、分かった。オスのニンゲンを欲しがっている妹のために、隣の国と戦争するよ」
「あなた国王でしょ? 言っていい冗談と、ダメな発言を、ちゃんと意識しなさい?」
「あ、はい。さーせん」
6歳幼女にガチ説教くらう国王なあ。こういうダメなところ、私のお兄ちゃん感あるけどねー。
「ところで、ニンゲン狩りの件をなんでもう知っているでござるか?」
「僕が報告したんダヨ」
「おまえ、どうも密告癖があるなあ? ネジ締めてやろう。ドリル頂戴」
「へい! がってんしょうちのすけー」
タオルくんは敵対する存在に対しては修羅になります。ニートンも躊躇なくドリルを渡してますね。どこから持って来たのか謎だけど、地面に穴開けるような建設機械的なドリルをアールくんに向けています。
「ガガぴー!? ドリルはネジをシメる道具ではアリませんよ!?」
「どうせお前のAIは、サーバにバックアップがあるんだろ?」
「がぴー!」
話が、ちっとも進んでいませんのジャガー。
「あー、国王として真面目に相談に乗るとだねー。この村に軍の基地を置くのはどうだろうか? 軍には若い男が沢山居るよ」
「ここに置くなら陸軍になるでござろうか? 人攫いはダメなり」
「そうよ、ダメよ」
「あー、そうでしたねー。そうなるとー、うーん」
「魔界に行ってみるかい?」
「兄さん? いつからそこに居たの?」
「お前が幼女に説教されてたあたりから」
「魔王も僕が呼びましたヨ」
「こいつのAI消して作り直した方がいいんじゃないの?」
「それは、いずれやるよ」
「え? ががぴー!」
アールくんがうるさいので強制シャットダウンしておきました。初期化してOSの再インストールからやりましょう。失敗してパーになったら、バックアップから戻せばいいだけ。アンドロイドはニンゲンと違って管理が楽でいいね。
「魔界って、どうやって行くでござるか?」
「地下鉄で行けるよ」
魔界がそんな身近にー。まあ、長い異世界転生生活で似たような場所には行ってますからね。今更、驚きませんよ。
「ワンデイパスがあれば、魔界の環状線に一日乗り放題だよ」
「観光地でござるか?」
「魔界だよ? 生きたニンゲンは辿り着けないところ」
よっし。もはやなんでも来いですよ。魔界に行きますよー!




