4-9.. やりたい事と、できる事と、求められる事の狭間
「ニャアちゃーん? パンイチの連中が大量に神社に参拝に来ているのだけどお?」
「それで何故私のところへ来るの?」
「関係無いとでも?」
「ありますん」
パンツの色で争っていた女騎士共が、カワサキ村の神社を聖地と定めてしまったのです。
来るのは構わないのだけど。私が事の中心だとバレるのが早い。何故? むうう。全員、パンツが黄色いシマシマだから? 私と同じなのじゃと? あ、そう。なんで、おまえら私のパンツの色を。そりゃ知ってるか。一緒に風呂に入ってるもんねえ。
「アールくん。安くて大量に揃う服を今スグ届けて!」
「こんな事もあろうかと。大量のジャージを買っておきました。黄色いシマシマおパンツもセットです」
どういう予測をしたら、そうなるの?
大量のジャージとシマシマパンツのセットを神社にで販売すると、飛ぶよう売れていきました。これで後三年は戦えるわー! とシスターが喜んでますが、それはビール代三年分の利益が出たって事なんだろうね。シスターは、私達が飲ませて以来、ライブハウスのビールを毎日を飲まないといられない体になっているのです。なんかヤベえ物質入ってるのかな? お姉様の自家醸造らしいけど、あのビール。あと、ビールの飲み過ぎがおしりのあなに良くないんじゃないかなあ?
家にいると隣の神社が騒がしいので、ライブハウスに来ました。
当然ここにも大量の黄色いシマシマパンツの女騎士共が。いかん、騒ぎを起こすと、お姉様に殺される。比喩ではなく文字通りやる女なのです、アレは。
「あー、おまえら。よく聞くのじゃー」
「「「「はいっ!!」」」」
ほんとコワイ。何十人も居る女騎士共が、一斉にひれ伏しました。まるで、印籠を見せた隠居将軍の気分。ちょっと、カクサン巻き込まれてくれない? カクサン役のニートンに適当に言いくるめて貰いましょう。スケサンであるタオルくんは、今日はどこだー?ライブハウスには居ないね?
「あー、姫にかわりー、拙者から伝えるでござるよ」
「姫じゃねえ」
「このライブハウスでは、聖水を販売しているでござる。黄金の水ナリ。メニューにはビールと書かれているので、お間違えの無いように。いいでござるなー」
「ニートン、甘味も推しといて」
お姉様から、ちゃっかりリクエストが入りました。自ら巻き込まれに来るとは、さすがお姉様、剛の者ですよ。
「え? えーと、何にするでござる?」
今、適当に決めてるのがバレバレだけど、まあいいや。
「焼き芋と、ふかし芋ね。幼稚園で大量に採れ過ぎた芋を引き取ったから」
「あー、それでござる。食べるように!」
もちろん、ライブハウスにも空前の経済効果をもたらしたのです。こえーわー。こいつら全員同じジャージ着て、私と同じシマシマ黄色パンツ履いてるんだよ? こわー。ちょっと、お風呂行ってパンツ燃やしてもらおう。
「うーん。そりゃそうだよねー」
当然の如く、お風呂にもパンツの騎士達は居ました。しかも、私とおそろいで黄色いシマシマを履いていたタオルくんが囲まれていました。タオルくん! 今スグ、パンツを脱ぐのよ!
「おばちゃーん。この邪悪なパンツを薪と一緒に燃やしてー」
「ん? こりゃまた随分と履き込んだね? 新しいのを履きな。はいこれ」
「あざっす」
おばちゃんに貰った新しいパンツは、黄色と黒のシマシマでした。履くとミツバチみたい。
「ふっはー。今私達はパンツを燃やした火であったまっているんだね」
「そじゃーねー」
薪と一緒に燃やされたパンツは、サウナの蒸気を作るのに使われているのです。お風呂のお湯は源泉掛け流しで、ちょうどいい温度だからね。サウナも、パンツの騎士達でいっぱいです。こいつらには、風呂上がりの牛乳を強制しておかないと。観光客でも、この村のお風呂の入湯料はタダなのです。有料の牛乳を飲ませないと利益に繋がりません。先日から、悪魔関係の連中も来ているし、この村はすっかり観光地として盛り上がっています。
「いいんじゃないの? レッド・ノーティスも解除されたし。統治している村は栄えるし」
「そじゃーねー。IT革命は、ちっとも必要とされてないけども」
「自分に出来ることと、やりたいことは一致するものではないし。求められることだって一致しないものなのよ」
「はあ。まあ、そうなんじゃろねえ」
タオルくんは、ドリルの様なツイン縦ロールというチュウニですが。何百年だか何千年だかを生きてきた人生の大先輩なのです。彼女の言葉には説得力を感じます。
IT革命をいずれ成すのかどうか分からなくなって来ましたが。しばらくは、この世界で必要とされるものを観察していきましょう。隠居将軍のように諸国漫遊の旅に出るのもいいかも知れませんが、当面は向こうから勝手にいろいろとやって来るので。今まで通り、ヒキニートで居ればいいのです。なんだ、簡単なことじゃないの。
水風呂に行くと、幼稚園のボス園児が居たので、大怪獣大対決ごっこをして友好を深めました。お前やるなあ! お前もなー! ってねー。もちろん負けました。ぶひぃ。
パンツの騎士達に風呂上がりの牛乳を飲ませてから、お家に帰るとー。
ボス園児がついて来ていますよ? なしたの?
「幼稚園は辞めたわ。あほなガキしかいないし。保育士もあほだし」
「そかー。行きたくないなら、それでいいんじゃない?」
「それで、あそこって孤児院でもあるでしょ?」
「辞めると寝泊まりするところもない、と」
なるほど。平日の昼間から風呂でやさぐれていると思ったら、そういう事ですか。ほいじゃあ、家に居ればいいよ。私らも、この村ではみなしごじゃからして。中身は、子供ではないけどね。この子は、ほんとに子供なのかな?
「えー、何歳なんじゃっけ?」
「6歳よ。転生もループもしていない正真正銘の6歳児」
まっとうな6歳児かー。私の身内は10万6歳とか160億歳とか、でかい数字言えばいいと思ってるあんぽんたんしか居ないから新鮮だよ。
「ほいじゃあ。まずは基礎教養として、機動する戦士さんを見ようか」
「え? なにそれ?」
「と思ったけど、全13話のガールズにゃんこクライにしよう」
もちろん、猫耳ニャア大佐の召喚した世紀末メタルバンド版じゃなくて、オリジナルの方ね。あの後ちゃんと召喚に成功したのです。猫耳ニャア大佐は、まだ令和の地球に居るからね。そのリンクを使って。
おまえも、チュウニにしてやるにゃあ。