4-8. 真っ赤な幼女
「国連の人、斥候代わりに特攻してきてよ」
「は?」
「拙者達は帝国の王女と近衛騎士でござるよ? 国連の少尉風情は格下でござろう?」
「命令違反は、そきゅしゃしゃちゅ」
「ええ?」
国王に貰っておいた仮初の権力を振りかざして、国連軍の立ち会いを特攻させました。
「し、死んだかと思いましたよ!」
いや、実際死んでたよ。心臓は止まってた。ぎり脳死前だったから、私の超絶技巧治癒魔法で助かったんだよ。
「で? 斥候の結果は?」
「え? えーっと、黒が8に白が2でした。繰り返します! 黒が8に白が2!」
「なんで繰り返したのかはいいとして、なにが黒と白なの?」
「兵士のパンツの色ですけど?」
戦場で戦っているのは全員クルセイダーの女騎士に見えるけど、何が起こっているのが全員パンイチなのです。あれかな? 治癒魔法師が肉体の損傷は治せるけど、武装は直せないってやつ? ファンタジー小説で読んだなー、ソレ。
「いえ、そういう事ではなくてですねー。あれはパンイチ教の内部抗争なんです」
「はぁ!? パンツの色が黒か白で争っているナリ?」
肌の色で争うのなら、よくある事でしょうけど。パンツの色かー。どっちでもいいんだけどなー、当人達は真剣なんだよなあ、きっと。
「全部脱がすナリ」
「そうね。こっちは黒でも白でもない、真っ赤な幼女じゃああ!レッド・ノーティス舐めんな!」
おーいえー。聞こえてるかーい? 砂漠のみんなー!
今日は、ライブハウス砂漠へようこそ! そんなイカれたお前たちにこの歌を送るぜ!
おーいえー、パンツー、パンツマンレディー、ゴーゴゴー!
即興のロックンロールです。ロックはいつだって自由でなければならぬ。故にパンツなどいらぬ。よって、争っている女騎士共のパンツを魔法で剥いでやりました。
「どういう理屈ですか!?」
「20万人くらいの女騎士が全裸でござるなー」
「クッコロ! ってここまで聞こえるねー」
「あのーこれで解決するんですかね?」
は? 知らんよ、そんなん。おもしろそうだから、やっただけじゃし。
この物語が、どこかのイカれた異世界ではアニメかラノベになっているのであれば、このシーンの作画担当は、どんな気持ちなんでしょうかねえ。
「んー、どうであれ戦場が膠着状態じゃね? チャンスなのでは?」
よーし! いでよー! アマテラスーーー!!
「にゃーん」
「クエックエー!」
マッハいくつで飛んできたのか、アマちゃんを背中に乗せたフェニックスのボンジリが一瞬でやって来ました。タオルくんとお姉様の姿が見当たりませんが、落としてないよね? 最初から乗っていないのだと信じたい。
「ちょっと、私を乗せて、あの肌色多めの地面に降りてもらえる?」
「くえー!」
「にゃあ」
巨大なニワトリと大きな猫にしか見えないけどね? 伝説の聖獣だからね? フェニックスとドラゴンは。狂信者なら、少しは神々しさを感じるでしょうよ。
「汝らよ、今何時じゃと思うておるのじゃ。愚かなニンゲン共には罰を与えるのじゃ」
魔法で脳に直接ささやいてやりますよ。
全裸の女騎士共が砂漠にひれ伏します。今、正午頃で陽は真上だから、砂があっついだろうなあ。
「そのまま一生全裸でいるか。女神である私を崇めるか、選ぶのじゃ」
かくしてー。
パンツを崇める邪教徒共は、ジャージ教に改宗させました。めでたし、めでたし、おしまい。
「えー!? これでいいのでしょうかー?」
「はあん? おまえも全裸にしてやろうか?」
「ひぃ!」
国連軍の少尉にトラウマを植え付けつつも、私は見事に宗教紛争を鎮圧したのです。
後で聞いた話だと、パンツの騎士達の土地に伝わる伝承の通りの光景だったとか。
「そのものは、園児服を来て、巨大なニワトリに乗り、大きな猫を連れて、ダジャレを言いながら砂漠に降り立つんよ! その場に居た全裸の聖戦士共は、地上に現れた女神に魂を洗われたのですー」
なんともカジュアルな伝承だね? まごうことなくピッタリ一致しているし。これ、時空を越えて見て来た事書いたでしょ? 誰が? 私かも知れないね。だってダジャレが私っぽいよ。なんだ、神話級の壮大なマッチポンプでしたかー。
いつか、1万2千年前の過去に行って、諍いの種を撒いたうえで、預言を残して来なければ? ほっとくとどうなるのかしらね?




