4-7. ガチャPing戦場チャレンジ
「ご相談があるナリ」
「この状況で相談することなら、さぞかし重要な事なんじゃろうね?」
私とニートンは砂漠の戦場に居ます。それも最前線です。
「拙者の呼び方の事でござるが。ニートンは飽きたナリ」
「ふむ。ちなみに今まで居た異世界ではなんと?」
「ロックンロール・クレジーナイトと呼ばれておりましたぞ」
重要な相談かしら? この世界の人達は固有名詞に拘りが無いので気にしてませんでしたが。戦線に動きが無く暇なので、ニートンの新しい名前を考えましょうか。
「Crazy NightじゃのうてKnightなのじゃな? そういえば最近はずっとジャージで刀もほったらかしじゃけども?」
「拙者、騎士は廃業したでござる。これからは、自由に生きるでござるよ」
「へえ、いいんじゃないの」
主君に断りもなく、勝手に騎士を廃業とか。まあ、こいつの主君になった覚えはないし、好きに生きればいいよ。
「昔の名前が第一期の名曲なら、第二期以降から拝借しようか?」
「拙者は第四期が好きナリ」
ラウドネスの音源は召喚に成功したので、ニートンも二期以降を聴いているのです。ラウドネス第四期は、アンセムのシヴァサタンがベースを担当している、まんが祭り状態の頃だね。もっとリアルタイムで聴いておくべきだったな、と今になって思います。老害は変化を受け入れるのが遅いので、気付いた時には、もう第一期メンバーに戻ってましたわ。
「四期か。外道マシーンでどうかな?」
「それは、アールくんの事なのではござらんか?」
「そうだね。その通りだね」
騎士を廃業して何になったんだろう。最近は、いつもジャージだけども。騎士だった頃はメイド服だったし。服装では判断がつかぬわ。ちなみに、今はギリースーツを着ているので、まるっきりムックです。そして私はガチャピン。いつもは女生徒Cとかコンビニの客Bとか、そういう役どころなのですが、珍しく主人公です。ガチャピンのチャレンジシリーズ戦場編です。
「あの、偽装してくるようには伝えましたけど。何故、ぬいぐるみを?」
「は? これはドラゴンの抜け毛で作ったぬいぐるみ。伊達や酔狂で着ているわけではありませんよ?」
「えー? そうですかー?」
困ったことに、この戦場に同行しているのは、身内はニートンだけなのです。後ろで偉そうにしているのは、国連軍から派遣された立ち会い人です。今回の戦場派遣は国連軍の依頼なので、リリース作業に立ち会う顧客担当者みたいなものですね。
無駄に細かいのが来ると厄介なんですよねーアレ。「今、エンターキー押しましたけど? それ手順書にありますかね? 無いですよね?」とか。うっさいんじゃー、エンターキーくらい好きに押させえや。
技術に詳しいのが来ても困るんですけどね。急にアクロバティックな手順で作業指示してくるから。事故った時に責任とらないくせに。
「そのぬいぐるみ、というか着ぐるみ? ニャア臭がすごいナリ。家の屋根裏部屋のベッドで寝てる気分になるでござる」
「そりゃ、毎日毎夜アマちゃんに包まれて寝てるからね。私の分身みたいなもんよ」
ドラゴンの幼体であるアマちゃんの抜け毛で作った、このぬいぐるみは、怪獣の格好をしています。子供を食べちゃうアレです。食ーべちゃうーぞー。ちみみにですね、特撮やヒーローショーで着込んでいる怪獣のガワの事は、一般的には着ぐるみといいますけど、プロはぬいぐるみ、と呼ぶそうですよ。へえ。
「しかし、暑いね。日中の砂漠でコレは」
「でござるなー。拙者もギリースーツを脱ぐでござる」
ところで、やっと本題ですけど。今日のお仕事は、この近辺で繰り広げられている宗教紛争の鎮圧です。報酬は、私の国際指名手配の解除。妥当なような、安いような。私を収監出来る国家があるなら、タイーホしに来てみろってんですよ。いつでも、おロープ頂戴してやるわよ。もちろん脱獄するけど。
「残像のフライングぶっひぃ」
「それは、呼称というより、二つ名ですな。明らかにふざけているので却下でござる」
「残像のにんにん」
「二つ名としては採用したいでござるが。もう、ニートンでいいナリ」
名前はある事が重要だからね。良し悪しも大切だけけどね。電気と書いてピッカチュウって読むとかでなければ、みんなが認識したものが名前になるのです。他人が認識出来ないものはダメだと思うんだけど、これも老害なのかしら?
「しかしー、騎士でも無い拙者を戦場に駆り出されてもー、困ったナリ」
「何を今更。私だってシステムエンジニアなんだよ。今のニートンは騎士じゃないなら何なの?」
「ニートなり」
「ジャージは正装だったかあ」
ちなみに普段の私は相変わらず園児服を来ています。そろそろジャージを着るべきなのでは? ニートとしての正装に着替えるべき?
それは戦場から帰ってからですね。私、この戦争が終わったらジャージ買うんだ。フラグじゃないよ?
しっかし、宗教の紛争というのが実に難儀ですね。
こんな面倒な戦場に投入している戦力がニート二人に、立ち会い人が一人だけって。国連はあほなの? あほなんだね。
トラブルシュートには全戦力を投入するのが鉄則です。出し惜しみをしてはいけませんのジャガー。
これが分かっている組織というのは意外に無いのです。日本時代に派遣だった私はいろんな会社に居ましたけど、どこもみな初動対応の戦力をケチって二次被害、三次被害と悪化させていくのです。そうして致命的な状態になってから、慌てて他部署まで巻き込んで大騒ぎをするのですのが。この段階でも、まだ要員をケチって派遣だけで済まそうとするのです。いきなり初見のコンフィグをチェックしろって言われてもねえ?知らんよ、よそのシステムのあるべき姿なんて。犯人探しと、責任の押し付け合いに躍起になって、何も解決しないのです。
「国際指名手配犯に過剰な戦力を持たせて、国外に出せるワケないでしょうが」
という理由で、この構成らしいですけどね? いっそこの惑星を支配してやろうかしらねー? うちの国王を傀儡にして。カワサキ帝国を建国してやりましょうか?
私から戦力を取り上げるなんて不可能なんですよ。アールくんはナース型のボディに入って待機中なので、携帯型ナースコールのボタンを押すだけで飛んできます。このボタン、どういう通信プロトコルで何処と繋がっているのか謎ですけど、惑星の裏側からでも駆けつけてくれるそうです。
ドラゴンのアマちゃんとの間にには不変の絆があるので、脳にダイレクトメッセージを送れます。アマちゃんだけでなくタオルくんとお姉様も、フェニックスのボンジリに乗って駆けつけてくれるでしょう。
静止衛星軌道上にある対地攻撃兵器に至っては、地上の何処にいようが、私がスマホをすいーっとするだけで、惑星を丸焦げに出来ます。そういえば、今思い出しましたけど、静止衛星軌道上には宇宙戦艦ヤマトナデシコだって待機しているのです。あれを落とすだけでも、人類の半数はアレですよ。自らの行為に恐怖するわー。
「あ、戦場に動きが」
「うわ、めんどくせえ」
「どっちの軍隊もまとめて殲滅するでござるか?」
「それでいくかー」
「ちょっと! それはダメですよ」
一気に片付けようとしたら、国連軍の立ち会いから物言いがつきました。
はあー? どうしろってゆうの? 国連も、まとめて殲滅してやろうかー? 私はシステムエンジニアなのに、なんでここ最近は戦闘ばっかりなのよ?




