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魔法少女と夢見る電気魔王 ~女神の異世界ITパスポート?~  作者: へるきち
4.非機能要件定義書 ~この世界に必要なものとは?~
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4-4. お前の魂は何ビットなんだ?

「ふっひー! うまい! もう一杯!」

「好きなだけ飲むでござるよ」


 しりあなシスターに、ライブハウスでビールを飲ませています。

 カワサキニャングランプリの優勝商品として用意したビール一年分が余っていたので。幼稚園のドラゴン組のみなさんが優勝したので、渡せませんでしたからね。私は6歳幼女なので飲めませんし、タオルくんはシュワシュワしたのが苦手、ニートンもお酒は飲まないので。身近な大人であるシスターをアルコール漬けにしてみます。

 この村は社会保障が底抜けに手厚いので、ご飯はタダで食べ放題ですが。ビールなどの嗜好品は有料なのです。シスターがビール漬けになって、やめられなくなったら、このライブハウスの女将であるお姉様にぼったくられるのでしょうね。くくっ、堕落していく聖職者、オモシロイ。


「しかし、良く冷えたビールでござるな?」

「冷蔵庫あるからね」

「前の定食屋の頃は冷蔵庫なんか無かったでござろう? この村には電気すら無かったし」

「あ、そういえば。じいちゃんは蒸留酒に氷入れてたね?どうやってたんじゃろ?」


 このライブハウスには今でこそ私が調達した電気と業務用冷蔵冷凍車がありますけど。以前、じいちゃんが経営していた今は無き定食屋でも、ビールは良く冷えていたし、蒸留酒には氷が浮かんでましたよ?ちなみに、その定食屋はお姉様が跡を継いだ後に、私が全焼させました。なので、今のお姉様は、このライブハウスの女将で、ライブハウスは実質定食屋です。


「あれはね、じいちゃんが毎朝アルプスに氷を採りに行ってたんだよ」

「なんと、そんな苦労があったんじゃね」

「ニャアは昼まで寝てたからね。お店の手伝いもろくにしてなかったし。知らないんだね」

「ぶひぃ」


 じいちゃんは定食屋を畳んだ後で喫茶店を経営してましたけど。元来が武闘派なので平和な喫茶店経営に飽きてしまったのか、最近は山に籠もって木こりをしているそうです。なお、アルプスというのは勝手にそう呼んでいる近所の山脈の事です。標高3,000メートル前後なので、日本アルプスくらいだね。


「じいちゃんは山で木こりをしながら、来年の夏に備えて氷を作ってるんだよ」

「この村は、IT革命以前に、産業革命がまだなんじゃね?」

「そだねー。別に誰も困ってないからね。それでいいんだよ」


 なんて事ですか。IT革命を起こす決意をしたというのに、この世界には必要が無い?


「そういえば、タオルくんは最初に会った時スマホ作ってくれって、ゆってたじゃろ?」

「あー、ハマのシスターがそんなこと言ってたから、言ってみただけー。私自身は、未だにスマホが何なのかも知らないよ」


 魔暦前に日本を離れたはずのタオルくんがスマホを知っているワケが無かったね。携帯電話ですら知っているかどうか。ちなみに、魔暦とは1999年が元年だよ。常識だよね?

 この村でスマホが必要なのかといえば、要らないね? だって、私達ヒキニートなので、外に出ないし。


「やあ、僕はアール9801号だよ。アンドロイドだよ。スマホのOSじゃないよ」

「今日は、美少女型ボディに入って来たんだね、アールくん」

「そうだよ。ご飯も炊けるよ」


 美少女とご飯の関係は良く分かりませんが。産業革命前のこの世界に、IT革命よりも遥かに先進的な超高度AIを搭載したアンドロイドのアールくんという存在はどういうこと? どれだけ高度なAIかというと、人並みにマヌケなのです。この世界の合理については、理解しようとしても無理だね。


「そういえば、アールくんは、この村までどうやって来てるの?」

「地下鉄だよ。車両は超電動リニアだから、時速666キロだよ」

「え? この村に地下鉄あるの?」

「このライブハウスと君達の家の地下に駅があるよ。僕の秘密基地と魔王の家と直通で繋がっているよ」

「拙者達も乗りたいでござる。ビルとここの間の移動が楽になるでござる」

「定期券を売ってあげてもいいよ」

「お金とるでござるか?」


 私達の暮らしが楽になるのはいいけど。コインランドリーでもお金とられてるし、地下鉄でもお金をとられるちゃうの? サービスに対価を支払うのは当然の事だけども、この村がアールくんの植民地にされつつあるよ? そういえば、こいつも地球征服協議会の理事だったわー。侮れぬわー。


「ほーん? この村は私の領地なんじゃけども。地下鉄を敷設した用地の使用料を貰ってないんよ?」

「あっ、払いますヨ。いかほどナリ?」

「そじゃーのー」


 こういうものはー、地下鉄の利用料金から逆算して利益が出る範囲じゃないとー? といっても、誰も利用してないのだから、大赤字路線確定じゃない。決めかねるわあ。

 そもそもが、この世界って、ほとんどお金使わないから、貨幣価値がよく分からないんよね。定食屋の皿洗いを一日やって、大きい銀色のコインが一枚だったような。携帯ゲーム機は大きい金色のコインが3枚くらいだった? でも、あれは1万2千年前の世界だったもんなー? あれ? 1万2千年前と通貨が変わっていないの?


「こいつの着せ替えボディを全部徴収したら? お金より現物でしょ」

「地下鉄も、まるごと接収するでござる。この村はニャア殿の独裁政権ナリ」

「ほいじゃあ、それで」


 タオルくんもニートンも修羅の世界を転生して来ているから、こういう時に容赦がないね。私もだけど。


「ガガぴーっ! この村を侵略するつもりが、逆に僕が乗っ取られたナリ!?」

「ほいじゃー、接収した地下鉄で早速こいつの本拠地に乗り込もうかのー」

「行くでござるー。にんにん」

「おもしろくなってきたよ!」


 ニートンは普段はニンニンチュウニだけど、異世界で1万回死んだ女騎士だからね。暴力のプロだよ。

 タオルくんもチュウニのツインドリル縦ロールだけど、フランス革命を起こしたのも、起こされたのも私よ、とか言ってる元革命家で治世者で論理のプロだよ。

 力の1号と、技の2号なんだよ。そして、私は元システムエンジニアの魔法幼女ぶひぃスリー。くくっ … 、なんぴとたりとも、我らすっとんとんシスターズには逆らえぬ … アンドロイド風情のおまえなど通信会社の香辛料くんと変わらぬ…。


 はい。とゆーわけでね。今日は、超高度AIアンドロイドの秘密基地を制圧するよ!

 見事に制圧成功したらイイネ! よろしくおにゃしゃす。


「この動画、何に使うでござるか?」

「いつか異世界のゆうつべにアップするんよ。撮影しちょいてー」

「がってんしょうちのすけー、でござる」


 異世界からアップロードしても銀とか金の盾送って貰えるのかしら? ニートンがアールくんの秘密基地を制圧する様を、動画撮影中だよ。デジカメはビルを召喚した時に、ついでに召喚して入手済み。


「んー? これがR9821号カナ? アールくんの妹だねー?」

「あっ、妹は寝てるから、起こさないで」

「破壊しとけば? こいつの妹なんだから危険ロボでしょ」

「ボンジリに食べさせるでござるか?」

「くえー!」


 フェニックスのボンジリは飼い主のタオルくんの気配を察知して、アールくんの秘密基地までマッハで飛んで来ました。その際の衝撃波で、既に秘密基地は半壊しています。


「アマちゃんの静電気で破壊してもええな?」

「にゃあ?」

「あ、ごめん。パチパチするのは嫌なんじゃね」

「あっあっ、サーバルームにモフモフの獣を入れないで」

「ははっ。アマちゃん、そこの巨大サーバの中に入ってやるがいいのじゃ」

「あっー!」


 アールくんと妹のアドミン権限を、私に書き換えるという条件で許してやりました。私は寛大な幼女なので。


「ねえ? これがアールくんを開発した博士ってヤツじゃないの?」

「うわー、分かりやすく試験管の中に脳みそがプカプカしてるでござるー」

「ほーん? ずっとスリープ状態なんじゃったかねー?」

「それはもう僕達のアドミンではないので、好きにしていいよ」

「血も涙もないわね、このポンコツロボット」

「ロボットじゃないよ、アンドロイドだよ」


 この脳みそは仮想マシンでしか無いからね。破壊したところで、データは複数バックアップやらクローンがあるんでしょ。いつか使えるかも知れないから、生かしておこうね。


 うん。今日は久々にITっぽいベントの日だったね?

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