4-2. ITインフラの社会的な意義ってなぁに?本当に人類は幸せになれるん?
「ヘイ!おしり!」
「がピー。僕ハ、その様な名前ではアリません。アールくんとお呼びクダさい」
そうね。あしりのあなは教会のシスターだったね。
「ところでアールくん。今日の素敵なガワはなんなの?」
「これは伝統的なアナル型アンドロイドなのデス。あ、失礼、アナライザー型ナノです」
「しょうもないギャグをかますなんて、高度なAIだね」
最近は、タオルくんまでニートです。それも引き籠もりのヒキニートです。
ずっとホームシアタールームに引き籠もってチュウニアニメを観ています。うーん、ITは人類をダメにする悪魔の道具なのでは? 本当に必要なのかしら? すっとんとんシスターズの誰もパンツを洗わないのだけど。タオルくん一人に家事を押し付けていたのが悪いんよね。ぶひぃ。ITインフラよりも先に洗濯乾燥機が必要かもね。
「ヘイ! アールくん。洗濯乾燥機の作り方教えてー」
「がーがー。ぼろんっ。何を言っているのか分かりまスん」
「ほんとにAIなのコレェ?」
「まあ、こんなもんじゃないかな。このAIは高度過ぎて人並みにマヌケじゃもん」
「洗濯乾燥機が欲しケレば、アールくん洗濯乾燥機を注文して! と言って下さい」
「完全に、アレの草じゃん。草生えとるわー」
「まあ、いいじゃない。おやつ食べに行こ? おまんじゅうが食べたい」
我々にはITインフラとか高度なAIはまだ早いのかも。まずは外にお出かけしましょう。14歳児と6歳児らしく外で遊ばないとねー。
「アマちゃんどこいったー? おやつ食べにいくよー」
「にゃあ」
にゃあ?
「ドラゴンのヒヨコが猫になっているのよ?」
「昨夜、ニャア殿の枕元でトランスフォームして、布団に潜り込んでいたでござる。気付かなったナリ?」
「ああ、そういえば、今朝布団がぬくかったわー」
ニートンは私を守る騎士なので、たまに起きて見回りをしているそうです。布団を蹴っ飛ばした私を布団に押し込むのが主な任務だけどね。昨夜は、たまたまドラゴンファンタジーの現場を目撃した模様。
「よう分からんのジャガー。猫の方がぬくいのでええな!」
「にゃあ」
ヒヨコは一緒に寝ると、ぶちゅっと潰しちゃいそうだけど、猫なら一緒に寝れるねー。やったー。私は、6歳幼女なので猫を潰す心配はない。むしろ逆かも。
「うー、まだ寒いっすわー」
「昨日はぬくかったけどねー」
「そろそろ桜の咲く頃じゃねぇ」
ということは、私達がこの異世界で出会ってからもう1年経つということ? 2年だっけ? そろそろ、ここは異世界じゃない、ホームって認識になってきたよ。日本の方が異世界だわー。
「寒い上にライブハウスが家から遠いのじゃあ」
「少しは運動になるからいいじゃない。私もライブハウスのバイト再開しょうかなー」
「拙者は、毎朝鍛錬をかかさぬでござるよ」
「イメージトレーニングだとか言って、2度寝してるだけじゃん」
通勤というのは意外と運動になるよね。今の私は、データセンターでのお仕事をしてはいるけども。家からエスカレータかエレベーターで降りるだけ。お家とデータセンターは、同じビルの中にあるからね。たまには階段で6階と地下1階を往復しようかしら? もっとも作業はリモートで出来るから、データセンターに行く必要無いんだけどね。
「幼女用電気自動車を作る話はどうなったでござるか?」
「ライブハウスを、うちのビルに持ってくる方が早い気がするにゃー」
「村の北の外れだから、お客さんが困るでしょ」
「そうじゃにゃー」
「にゃーにゃー言ってると猫耳の方のアンタと区別つかないわよ?」
「しばらくは来ないはずにゃー、あっちの私は」
私の猫耳同位体は、今は令和日本でコンビニバイトをしているらしい。無茶しよんなあアイツ。絶対向いてないよ。だってコミュ障の私と同じ中身なんだから。ガワは猫耳美少女魔獣だけどね。
令和日本は同期通信の圏内にあるのか、通信の範囲が広がったのか、猫耳同位体を通じて令和日本の最新情報が入ってくるのは嬉しい。
「はい、今日のおやつはおまんじゅうよ」
「あざますっ」
ライブハウスの店主はお姉様です。私達の里親2代目です。初代里親のじいちゃんは今は山に籠もって木こりをしています。
「何故、拙者達の食べたいものが分かるナリ?」
「あんた達の事なんてお見通しなのよ。私が何年生きていると思っているのよ」
「10万6歳でござったか? そろそろ10万7歳?」
「そのネタは、もう飽きたんじゃ」
「ネタじゃないんだけど。おまんじゅう要らないのかしらね?」
「あ、いやさーせん」
年齢に関しては私も還暦越えの幼女だし、ニートンは160億歳だと言い張っているし、タオルくんも数百年は生きていそう。ニートンとタオルくんは14歳児にしか見えないし、お姉様は27歳にしか見えないけどね。
「アールくんも、おまんじゅう食べるの?」
「この装備の時ハ、食べマせん。がーぴーごろごろー」
「壊れてそうな音してるけど大丈夫なの?」
「だめかモ知れマセん。ちょっと実家に帰っテ、美少女型に換装して来まス。ぴーひょろー、ぼっこん!」
ネジをコロコロばら撒きながら、アールくんは帰って行った。大丈夫なんじゃろか?
そういえば、アールくんは妹が居るとか言っていた様な? どんなのかしらね? 姉があれじゃあ、期待せずにはいられない。
「みんなに相談があるんじゃけどもー」
「なあに? 一向に進まないIT革命のこと?」
「うぐう。その通りですじゃー」
この世界にITインフラを普及させる! と決めたのですジャガー。
需要が無いんだよねー。そもそもがですよ?あれは人類に必要なものなのでしょうか?
令和日本では歩きスマホをするクズばかりで、害悪でしか無いですよ! 電車は満員だし、仕事の納期はやたら早くなったし。リモートワークは夢幻の如しだっだしー。
「動画配信サーバ以外、特に興味ないよねえ?」
「そうでござるなあ」
「そうじゃよねー」
計画の建て直しが必要ですよ? 要件定義書から策定のし直し … 、は面倒なのでアジャイルで行きましょう。ウォーターフォールとかもう過去の遺物デスよ! ははっ。行き当たりばったりで、動くものを作りながら、トライアンドエラーで直して行くのデス。