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魔法少女と夢見る電気魔王 ~女神の異世界ITパスポート?~  作者: へるきち
3.PoC概念実証 ~IT派遣の発想の行き着く先には悪魔の罠があるのデス~

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3-12. 代償のすっとんとん

 無から有は生み出せません。それは、魔法が使えるこの世界でもそうなのです。質量保存の法則というやつです。チュウニが好きなやつですね。


 チョコレートを召喚した代償は、私の心臓と肝臓でした。

 重要器官を持って行かれると、いくら超絶技巧治癒魔法があっても、休息が必要。すっとんとんシスターズの3人でお風呂に来ましたよ。


「拙者達は、ニャア殿の心臓と肝臓をオイシく頂いたのでござるか?」

「心臓を分け与えるなんて、まるで神の使徒ね。くくっ、カッコイイ」

「召喚魔法の代償は、ランダムで持って行かれるからなあ。どうにかならんものじゃろうかー」


 こうやって重要器官が入れ替わると健康的ですけどね?

 プロジェクトから要員が抜けるのはITの現場ではよくある事ですが、代償として抜けた分の人工を数字だけ埋め合わせてもどうにもなりません。補充なしで突っ切るのはよくある事です。

 召喚魔法の代償はきっちりとオートで持って行かれます。分かり易くて確実なのは結構なのですが、ランダムで、というのは少々乱暴で困りますん。

 すっとんとんシスターズが、永遠にすっとんとんなのも、もしかして代償なのでしょうか? 別に困りもしないので、安い代償ですわ。


「まず、お供えをしてから召喚してみては?」

「ソレだ」

「今度は何を召喚してみるー? 消え物じゃないのがいいね」

「カカオの種、いや苗はどうでござろうか?」

「んー? いや、育て方知らんし。チョコレートの作り方も知らんでしょ?」

「この世界に無いものがいいんじゃないの?」

「うーん。なんだろう?」


 この世界には、お米もありますし、味噌や醤油だってあります。マヨネーズだってあるよ。異世界モノでは、日本の食材を手に入れるまでの試行錯誤も定番なんだけどね?


「まあ、今回は実験でござるし。育て易いお芋さんなどどうでござるか?」

「そじゃなー。じゃがいもなら調理も簡単じゃしね」


 定食屋の隣の空き地に来ました。

 ここに芋を植えるのです。この村は私の領地なので、好きにしてもよい、というか積極的に開拓しないといけないのです。ライブハウス建てて以降、何もしていないし、そろそろ格好だけでも何かしておかないとね。


 お供え物感を演出するために、簡易的な祭壇を作りました。

 イングヴェイ神の「Fire and Ice」のCDジャケットです。神がかりの象徴ですので。これは、以前に召喚魔法で取り寄せました。CDラジカセもミニコンポも無いので聴けませんが。ぶひぃ。

 CDジャケットの上に、供物として冷凍フェニックスを一羽丸ごと置きます。有機物の召喚には、有機物の代償が必要なので。


「じゃがじゃが!おじゃがー!おー! ジャガー!」


 ごろごろごろごろごろごろろごろん!!


「うわっ!山程出てきたよ!」

「じゃがだけでなくサツマ芋もあるでござるな」

「うひっ、焼酎作れるね」

「作り方分かんの?」

「水に漬けて適当に置いときゃいんじゃない? 腐らなきゃ発酵よ」


 タオルくんは造り酒屋の娘だったはずですが。まあ、そんなもんですかね。

 ともかくこれで、シンゾウとカンゾウという重要器官のニンニンセットを取られずに済みます。


「何個か食べちゃう?」

「いいね!」


 冬なので落ち葉が少ないですね。焚き火して焼き芋作ろうかと思ったのに。うーん、落ち葉のかわりに何燃やそう?


「教会でも燃やしちゃうー?」

「いいで、ござるな!」

「おまえら何でそんなに反社的なのー? テロリストですかー? それとも第六天魔王なのー?」


 こいつら維新の志士達の末裔なの? テロリストの血を引いているんだね。私は、同じ山口県でも周防側なので違うのです。もしくは、前世で何かやらかして来たの?


 破れたパンツとか、ギターの燃えカスなんかで焚き火を起こしました。


「火はいいねえ」

「ぼーっと見てられるでござるよ」


 なんてチルチルしていたのも束の間。フェニックスなんか供物にするから、とんでもない芋が召喚されてると思うじゃないですかー。その通りですよ。もうちょっと、ひねりのある展開にならないもんですかねー。


「ひねり? あんたを、ひねってやりましょうか?」

「あ、はい」

「はあ、もういいわ。叱る価値もないわね。3日だけ猶予をあげるから建て直しなさい」

「あ、はい」


 ゴウゴウと燃え盛る芋が、定食屋の建物へと飛んでいき、まさにフライドポテト、ははっ。

 私達のお家でもある定食屋の建物は全焼しました。


「いやあ、実にホットでスパイシーな焼き芋でござるな」

「うん、うまいよ」

「おいしいね」


 過ぎた事を悔いても仕方ありません。定食屋を全焼させた後に、フライングポテトは力尽きて死んでしまい、程よく焼けた焼き芋になったので、それをモシャモシャと頂きます。食べ終わったら、お家を建て直さないとですねー。


「厨房をどうやって作るでござるかー?」

「プロを紹介してもらおうかー。おいなりさんシスターに」

「そうね。いくら請求されるのかしらね?」

「お金はないんだよねー。私達」

「金策しないとー、あ! 村人ニャンワングランプリ! 忘れてたでござらんか?」

「ソレだ! 参加費用と観覧費用でどうにかしよう!」


 召喚魔法の代償はどうにかなりましたが、火遊びの代償が高くつきました。ぶひぃ。

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