3-8. 緊急メジャーアップデート
「帰りが遅いから様子を見に来たよ」
タオルくんが、世界征服協議会の事務所にやって来ました。
定食屋からは2万キロもあるのですのジャガー?
「ここまで、どうやって来たでござるか?」
「フェニックスに乗って来たよ」
「へ?」
スケールが大きすぎて視界に入ってはいたけど認識出来てませんでした。
タオルくんの背後には巨大なニワトリが。トサカはありませんね。もしあったら、お姉様にシメられてましたね。ああ、でもフェニックスは雌雄同体だから性別が無いのかな?
「燃えてないでござるが?」
「燃えてたら乗れないでしょ? 躾けたんだよ」
フェニックスはニンゲンに躾けられる程度の知能があるんですねー。
「ええ? フェニックスをテイムしたんですか!?」
「あー、こりゃまた史上初の最強兵器使いじゃないの。これで私四天王抜けていいよね?」
ヴァイラス女が四天王から逃げようとしていますよ。このままでは、ほんとにすっとんとんシスターズが四天王になってしまいます。それはそれで良くない? うーん?
「いえ? 七天王にしましょう。今日からは世界征服四天王は、セブンスケーニヒです」
英語とドイツ語の組み合わせ、魔王もチュウニなのー? というと違います。日本語訳した私がチュウニです。
「何故に7人なのか、一応聞いておきましょうかね」
「すっとんとんシスターズと、名誉理事のヴァンパイヤ姉さんを加えたからですね」
「いやー? それマズイですよー? お姉様の権限が過剰です。相互破壊確証も共倒れも機能しなくなるよ?」
「そうですか? ニャア大佐なら、お姉様に勝てるはずですけど」
「そういう問題じゃないんですよ。魔王はニンゲンの情緒を理解してませんね!」
「分かりました。そういうことなら、私達ジンジャーズも参加しましょう」
「は? 雑魚は引っ込んでて下さい」
おいなりさんシスターと巫女が入っても釣り合わないでしょうに。
「あんた分かってないわね? 定食屋の女将が逆らえない唯一の存在が教会なんですよ?」
「逆らえないというと語弊がありますが。私達の権限で定食屋の主はクビをすげ替えることが可能なので」
「そ、それは失礼いたしました! えーっと? 教会なのにジンジャーズでよろしいので?」
「名前なんて飾りでしょ? なんでもいいわよ」
おーん? おいなりさんシスターは、おしりのあなの病を完治させた私に頭が上がらないので、最強は私? いや、これはジャンケンと同じですね。なんてこと、世界征服協議会の理念に適った人事ですよ。
「おしりのあなの病なら、またかかったのだけど? 治さなくてもいいわよ? これはこれで案外イケるから」
「えーい!」
「あっ! また一瞬で、しかもノータッチで治しましたね!?」
別に、殉教者がドエムだろうが、おしりのあな愛好者だろうが、なんでもいいけどね? こいつらの宗教の戒律はどうなってんの? 多様性に寛容過ぎじゃないの。DEI極めてんじゃない? 地球人類には到達出来ない次元ね。良いのか悪いのか、よく分かんないけど。
「ところで、定食屋の女将の職を失するのが、そんなに脅威なんですか?」
「あー、うん。ドラ肉とフェ肉のせいなのか、お姉様はもう血を吸えないカラダなのです。あれはもう、不老不死というだけのニンゲンのメスです」
「だけってことはないでしょうけど。なるほど把握しました。ジンジャーズも加えてナインスコーズとしましょう」
「ナインスは9音からなる和音ではないでござる。セブンスに長9度を加えた5音でござるよ?」
「まあ、すっとんとんシスターズと元ヴァンパイヤ姉さんは一体なところありますから。いいじゃないですか」
「かっこいいからいいでござるよ? 異論はないナリ。にんにん」
「何の話ー? よく分かんないけど、今日からは私は不死鳥のノイン … くくっ … 滅ぶがいい人類共 …」
「滅ぼしちゃダメなんだよ? タオルくん」
「あ、そうなの? 滅ぼす気なんかないよ?」
「うん知ってた」
タオルくんは、そろそろ20歳になりそうなくらい成長し続けているのに、まだチュウニでしたね。すっとんとんと同じでチュウニは永遠ナリー。ちなみにニートンの成長は17歳で止まっています。どういう差なんだろうね? まあ、どうでもいいけど。
この世界に転生してから、合理で説明の付かない事象ばかりで、システムエンジニアとしての情緒が崩壊寸前ですよ。ま、いいよね? 転生モノなんて、「主人公が転生者である意味なくない?」っての多いもんね。
「さっきからウマソウの様子がオカシイんだよ?」
ウマソウ? ヒヨコの事でしたっけ? ドラゴンのヒヨコだから、ウマソウどころかウマイゾーなんだけど。タオルくんは、ウマソウって呼んでたね。
「げるっ。ごえっちょ」
毛玉吐く寸前の猫みたいになっちょるんですのジャガー?
「成体フェニックスの出現に影響されましたかね?」
「え?」
つまり?何が起こるのかというとー?
ぴろんっ
トサカが生えました!!
「さすがに、急に巨大化はしないんだね?」
「フェニックスは、寝て起きたらこのサイズになってたんよ?」
「どういう原理なの … 。質量保存の法則は、このファンタジー世界でも有効だったんじゃないのー?」
「んー。近所のヒマラヤみたいな山が一個消えてたよ。あれを消化したんだね、きっと」
「それは村の気候が変わってしまうのでは?」
「うん。急に乾燥して寒くなった。ペンギンが踊れそうなくらい寒い」
「もしかして、それを伝えてに来たでござるか?」
「そうだった。忘れてたんよ」
カワサキ村がピンチなのです!
「ナインスコード全員で向かいましょう。すっとんとんシスターズの拠点のピンチは、この世界のピンチと同義ですから」
わー、もうわやです。私のIT魂はもう砕けました。この世界は、不合理に過ぎます。
しかし、チュウニ魂は全開ですよー!いっけー、QTフィールド全開!!