表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法少女と夢見る電気魔王 ~女神の異世界ITパスポート?~  作者: へるきち
3.PoC概念実証 ~IT派遣の発想の行き着く先には悪魔の罠があるのデス~
32/295

3-6. チキンの丸揚げで大炎上

 定食屋のチキンフェアは中止になりました。


 お姉様が解凍を省略して、冷凍のまま丸揚げにしようとしたところー。

 

 飛んで行っちゃったのデスよ!?


 ボウボウと燃え盛りながら、バッサバッサと羽ばたいて。失われたはハズのクビも生えちゃって。コレって、アレですわー。


「フェニックスでしょうね」


 不死で炎耐性が高い生物、ってゆーか自身が燃えてた。


「クビを刎ねて丸焼きにしてマイナス60度で瞬間冷凍したんですよね?」

「ほうなのじゃ」


 ファンタジー担当の魔王に相談しに来たんよ。答えは想定どおりでしたよ。


「コールドスリープ状態だったのでしょうね。じわじわゆっくり解凍すれば死ぬみたいですけど。耐性の高い高温に晒したのでは」

「生き返ってしもうたかあ」


 まさにフェニックス、不死鳥デスわ。どえらいもん食わしてくれたのう、ニャア大佐はん。


「ニンゲンがフェ肉食べると、どうなるん?」

「不死になりますね。村人達が食べたのですよね? そいつらの心臓に杭を打ってみれば分かりますよ。クビを刎ねてもいいかも知れませんね」


 ああ、なんてこと。村人達が、ドラ肉で若返り、フェ肉で不死になってしもうたわ。うちの村がエターナルー。えぇぇぇ、村長の私もエターナルだから、丁度いいかもね? いやいや、あいつら絶賛繁殖中だし!


「この惑星は、カワサキ村に占領されて、やがて自滅するでござるなー」

「いや、宇宙に進出するのでは? 不死ですからね。惑星からはみ出しても生きていけますよ。宇宙の膨張速度と勝負ですねー。ははっ。なんて事してくれたんですか? あなた、地球征服協議会の理事ですよね?」


 あれじゃん、バインバインの栗まんじゅう状態じゃん。

 地球征服協議会とは、地球を征服するための組織ではなく、誰かが地球征服するのを阻止するために存在しているからね。理事が組織の理念に真っ向から対抗しちゃダメじゃん。


「あのー、どうにかならんじゃろうか?」

「暗黒隕石魔法ブラックスターでござったか? ソレを落として村を滅ぼせばいいでござるよ」

「一瞬でチリにすれば、フェ肉接種者でも死ぬでしょうね。いいんじゃないですか?」


 そんなんあり? サーバの余計なサービス停止するのが面倒になってミニマムインストールからやり直すようなものじゃん? ああ、そういう感じ? じゃあ、それでいっちゃう?

 ちなみにニートニンニン、ニートンも一緒に来ていますよ。こいつ暇だなあ。私もだけどね。


「ええ? シスター的には困っちゃうんですけどぉ!? あ! でも、ブラックスターは食らってみたいわね。おしりに是非!」


 しまったー。おいなりさんシスターも同行させてました。

 遊びに行くんなら牛乳仕入れて来て頂戴って、お姉様かあちゃんが言うから、仕事ですけど? って建前のために連れてきたんだった。私の居る国は宗教国家なので、シスターは村の代官なんだよね。村の危機を解決するための相談に同行して当然なのです。こんなのでも。おしりにブラックスターねじ込むのはいいけどさ。むしろ、ねじ込みたいけどさ。


「よーし分かった。しり出せ」

「それは後にして下さい。村の危機なんですよ? 殲滅以外の対策を考えましょう」


 巫女ちゃんの方は、まともだわー。ほんとに転生者なのー? あー、でも毒を食べたがってたし、意識がどっかフライハイしてんね、こいつも。


「村人達の不死能力を失くすかー、もしくは繁殖能力を止めるかー、でござろうか?」


 倫理感は粉々のニートンだけど、知能は高いんだよね。王国の近衛騎士をやっていた前世があるとか。近衛騎士にならないと餓死するしか無かった、とか言ってた。それで近衛騎士予備校に入学して9年間必死で学んだのだと。こいつも非道な異世界転生してるわ。まじめに勉強したところが私と違うけどね。ぶひぃ。


「それは簡単よー? ドラゴン肉とフェニックスの卵で親子丼を作ればいいのよ! 他人丼というべきかしらね? それを食べれば不死能力は消えるわ!」

「なるほど。その手がありますね。よくご存知でしたね?」

「月刊シスターのバックナンバーで調べたわ」

「なんと、魔導書のような月刊誌ですね!? 私も定期購読したいのですけど」

「シスターか巫女になれば勝手に送られてくるわよ。購読料も勝手に給料から天引きされるし…高いんだよなぁ…おもしろいからいいけど…」

「魔王がシスターか巫女になるのは無理ですね。現在は、転生者枠しか空きがありませんので」


 なんだよ。もっとブレストしようぜ? 何もう答え見つけてんだよ。無駄に会議して時給稼ごうぜ? なあ?


「残念ながら、その他人丼は無理でござる」

「そうですか? 復活したフェニックスは捕獲に成功したのですよね? フェニックスは単体生殖するので、一羽だけでも確実に産卵しますよ」

「問題はそっちではござらん。ドラ肉の在庫でござる」

「今朝タオルくんが、ドラ肉はみてたって言ってたっけ?」


 みてた。マリア様が、じゃなくて。山口弁で「残量がエンプティです」の意味です。タオルくんも私と同じ山口県生まれなのです。上京して川崎市に住んでたとこまで同じ。ニンニンも同じ。すっとんとんシスターズは川崎という絆で結ばれた、トゲトゲロックガールズなのです。いぇい。熊本と北海道と神戸出身だったら完璧にパクリでしたね! いえ、オマージュですよ?


「え? そこで寝てるドラゴンでいいでしょ?」


 え?ヒヨコのアマちゃんのこと?


「これドラゴンなん? フェニックスじゃのうて?」

「おしりの上辺りに逆鱗無いですかね?」


 お? 魔王がおもしろいこと言い出しましたよ? 私には、ドラゴンもフェニックスもニワトリにしか見えませんけど?


「おや? 尻尾の付け根になんかあるでござるよ?」

「多分、触るとマズイやつだから。触っちゃダメだよ」


 あれ? でも私もう触っちゃったかも。お風呂で丸洗いした時に。


「マズイというか。最初に逆鱗にタッチした生物を親として登録しますね」


 なにそのスマホの指紋認証みたいなの。私、アマちゃんの親ですか? 6歳幼女なのに? 自分がまだ飼育されてる最中なのに?


「いや、ちょっと待て待て。我が子の肉を食べるなんて無理無理、やーめーてー」


 私にも母性本能がありました! うっそーん。こぼしたパン屑の数くらいのニンゲンを殺してきた私なのに!


「治癒魔法で治せば、ちょっとくらいはいいでござろう?」

「えー? あーん、うおー? 村人滅ぼした方がいい」

「さすがに、そこまでオニーちゃんなのは、いかがなものでござろうか」

「あ! そういえばドラゴンは単体生殖するの?」


 殖えるならね? ちょっとくらいはね? 食べちゃってもね? オイシイからね?


「いえ。そもそもドラゴンは繁殖しません。寿命が尽きたら次の代に引き継ぎます」

「なんとー? そんな落語家みたいなシステムだったの?」

「ええ?落語家ー? んー、いやーそんなもんですかね?」


 そうかー。殖えないかー。唯一無二の存在なんだねー。天上天下唯我独尊、まさにドラゴンですわー。私達が食べたドラゴンも、どこかで次世代機が生まれてんのかしら? あれはドラゴンといっても、ワイバーンだから違うのかな?


「ほいでドラゴンの寿命は如何ほど?」

「惑星と同じくらい、だと言われてます。惑星に比べれば我も若輩者です故、そこまでのスケールになると伝聞でしか知りません」

「んー? だとするとヒヨコから成体になるのも時間かかるんじゃあ?」


 アマちゃんからお肉を採取する前に村が自滅しかねないのでは?


「さあ、どうでしょうか? ドラゴンのヒヨコなんて見たこともないので、分かりませんね。食べるならヒヨコの状態でも丸焼きにすれば」

「ころしあげるぞ! われえ!」


 あら、わたくしとしたことがはしたない。これが母の気持ちなのね? んー、我ながら低能ね。母親は子育てに脳のリソースの大半を割くため、感情面がアッパーになるって研究があるらしいけど。それね、きっと。いやー、もともとこんなんでしたわー、私。


「あ、はい。すみません。失言でした。えーっと、ドラゴンの母親ともなると、平の理事というわけにはいきませんね」

「へ? 世界征服協議会の話? あと、そんなにビビらんでも、私6歳幼女よ?」

「確実に世界を滅ぼせる人相手なんだからビビりますよ、そりゃ。ニャア大佐には、世界征服協議会の理事四天王に入っていただきます。ちょうどヴァンパイヤ姉さんの枠が空いてますので」

「なんじゃそれ?」


 そうかー。ドラゴンは人類を滅ぼせる最終兵器だもんなあ。それの親となれば、そりゃもう地上最強の一角ですわー。そろそろ、協議会から追放されて駆逐されちゃうのでは?


「明日、四天王の会合がありますので。ここに来て下さい」

「あ、はい」


 なんで面倒なイベントまで起きてんのー? 私、どうなっちゃうのー?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ