16-21. 終わらない夏は、まだ始まってもいない
「お前ら、おもしろいことしてんなあ」
猫耳のニャア大佐が、異世界からやって来た。
ニャアの送信したなろう小説を受信して、私達の愉快な状況を知ったのだそうだ。
私の送信していたやつは、届いていなかったのかな?
「ほら、これ観たかったんじゃろ。DVD持って来てやったぞ」
「なんで、DVDなん。ブルーレイじゃろ?」
「高解像度で観たいなら、もうちょっと頑張れ。変な世界作りやがって、このばかちんがー」
ららぁが … いや、これはネタバレか? ちゃんと百合じゃから最後まで正座して観ろ、と言いながら大佐は帰った。ネタバレやめて欲しい。ネタバレかな?
「この世界でも、どうにかすれば新作アニメが観られるみたいね?」
「ほうじゃのー。ともかく、DVD観よう」
私達は、大佐の持って来てくれたDVDを観た。ちゃんと正座して。
「やられた … 、あの猫耳もニャアなんだから、信じた俺がマヌケだった … 」
「なにこの、僕の考えた最強の一年戦争みたいなの?」
「一年戦争なのに三日で終わっちょるし」
「人と人は、分かり合えないんばい?」
いつだったかニャアもやらかしてくれたけど、DVDは海賊版だった。
まあ、百合ではあったけど。どうやって作ったのか、ムダに動きだけは良かった。
「やはり、自力で取り戻すしかないようね?」
「そうさのう… 。赤毛のアン全話観てからにせん?」
赤毛のアンは、この世界にもあった。全話配信で観る事が出来る。ただし、リメイク版は存在しない。
リメイク版は、私達老害にとっては、だいたい地雷だから、それはいいけど。
「これを全話イッキに観るのは、きついわね。間違いなく名作なんだけど、身を切られる思いがする」
「そうさのう」
私は、アンと違ってツラだけはいいけど、感情移入し過ぎてしまう。
「ねえ、アンがポンコツ教師を、一刀両断しちゃったよ!?」
「こんな話じゃったあ?」
「そんなワケないでしょ。私、原作の小説をシリーズ全部読んだけど、こんな展開ないわよ」
こんな教師、ぶっ飛ばしちまえ! と思ったものだけど、アンはやんないでしょ!?
ワシはEの付かないアンじゃあ! とか吠えてるし。誰、コレ?
そして、最終回で全員死んだ。監督が途中で変わってるし、打ち切られてるよ … 。
Eの付くのアンを取り戻さなければ! ある意味、名作だったけどね?
「過去の名作まで、改変されちょる」
「この世界を、どうやって修正すればいいのよ … ?」
この世界の鍵になる存在はなんだろうか? 本来の世界との致命的な差異、特異点はどこ?
「魔族ね」
私達は、魔族のラーメン屋に行った。
魔族達は、私の事を姐御と呼ぶけど、私はこいつらの事を知らない。姐御と呼ばないのも居るし。
なんでそんな事になっているのか? どうでもいいから放置していたけど。
こいつらと私の間にどんな因縁があるのか? それが、この世界の謎を解く鍵に違いない。
「姐御! しゃーっす!」
「すっすー!」
相変わらず、何言ってるか分かんない。5人揃ってから悪化している気もする。
「姐御、ちょうど良かったっす! 相談があるっす!」
「え? なに?」
仲間を探す旅に出たいから、しばらくラーメン屋を休業したいという。
まだ他にも居たの? アオイは、5体って言ってたじゃん! 合衆国の情報あてにならねえな!?
「いいわよ。ラーメンのレシピは、アオイと王女が習得してんのよね? じゃあ、こっちでやっとくわ」
「王女様は、レシピの開発者っす! あっしらよりずっとうまく作るっす!」
じゃあ、こいつら不要じゃん。もう用済みだから、帰って来なくてもいいわよ。
「あんた達、他に何匹居るのよ?」
「全部で13っす! ハマのキョウコシリーズっす!忘れたんすか?」
「ああ、あれか … 」
こいつらとの因縁は、この世界じゃ無かったかー。前世の異世界だよ。
いや、そうか?
あれは乙女ゲームの世界の事だったけど、あの世界にも神聖カワサキ帝国があったよ?
この世界は、あの乙女ゲームの世界なのかしら!?
もし、そうなのだとしたら、多摩区に行けば、答えがあるかも知れない。
行ってみるか、もう一人の私に会いに。
乙女ゲーム世界の話は、カクヨムで連載中デス
「お米がなければ、その辺の草でも食べればいいじゃない」
https://kakuyomu.jp/works/16818792439567020090




