3-1. ドラゴン牧場
カワサキ村は、ドラゴンヤキトリで発展しましたのジャガー。
ドラゴン肉はいつまでもありません。物質が倍々に増殖するような悪魔の魔法は存在しません。それは、この世の理に反するのです。
なので、村を発展させるため、次の手を打たなければなりません。一度盛り上がったものを維持するのは大変ですね。27歳に若返った村民が大繁殖中なので、増える人口を養っていくために、もっと村を発展させないと。エントロピー増大の宿命です。ムーアの法則なのデス。
ドラ肉は、半年で半身くらい消費したので、年一頭あれば足りそうですのジャガー。
天然のドラゴンは希少種なので、年一頭でも狩り続けていれば絶滅してしまいます。
減ってしまうのなら、増やせばいいじゃない!
ドラゴン牧場を作るのじゃー。
通信機器メーカーにレタスが作れるのだから、システムエンジニアにドラゴンが育てられぬはずがない。
今日から私は牧場経営者デス。村作りシミュレーションもしているし、芸人プロデュースもするし、もはやゲーム感覚で生きてますよ!
さいわい、村の外には広大な荒野が広がっていますので、用地には困りませんね。村の周辺一帯が私の領地なので、外交上の問題もありません。
まずはー、ドラゴンの生態について知っておかねば。ファンタジー動物の権威であろう魔王に教えてもらいましょう。牧場の従業員の確保についても相談するのデス。ドラゴンを育てるのは、ニンゲンには無理でしょうから。活きのいいヤツを紹介してもらえないかしら?
「遠い処まで、ようこそニャア閣下」
ドラゴンスレイヤーとして貴族になった私は、ニャアがメインの名前になりました。ドラゴン退治は空軍のニャア少佐として対応したので。ちなみに、軍の階級は大佐になりました。ニャア大佐デスのじゃー。
「10分もかからないのじゃデス。遠くはないのじゃー」
魔王の家まで2万キロありましたが、宇宙空間に出てから移動したので、最寄りのコンビニに行く程度の感覚デスよ。
「ドラゴンの養殖ですか? とんでもないこと思いつきましたねえ」
まずは、ドラゴンの生態について聞いておきましょう。
「ドラゴンの主食はニンゲンです」
ほっほー。ドラゴンを捌いた時に異袋の中から大量の人型のタンパク質の塊が出てきましたがー。アレはニンゲンでしたかー。とゆーことは、まずニンゲンを養殖する? うーん? それはもう村でやってますがー、アレを食わせたら本末転倒デスよ?
ジャイアントパンダは、ああ見えて実は熊なので、本来は肉食なのですが、何故か笹ばっか食ってます。
ドラゴンも何か沢山あるものを食わせれば食べるかも? たまに、邪魔なニンゲンをちゅるーっとおやつで与えれば粛清にもなっていい感じなのでは?
でも、味や効能が変わるかも知れませんね。いや、効能はむしろなくなった方がいい気もしますね。エサについてはトライ・アンド・エラーが必要でしょう。
「環境については、絶体零度で大気の無い環境でも育ちますよ。衛星の上にも棲んでましたから」
ほっほー。衛星というのは、空に浮かんでる月みたいなヤツのことデスね? この世界の月にはウサギではなくドラゴンが居るのデスかー。
いいですね。月面ならドラゴンが暴れてもニンゲンには被害が出ません。そうなるとー、宇宙空間で働ける従業員が必要デスねー?
「召喚魔法で魔獣を呼び出してみたらどうですか? やるなら私が立ち会いますよ。やばいものが出たら危ないですからね、単独でやるのはオススメしません」
「ほほん?召喚魔法はガチャなのじゃなー? 何が出るかは分からんちん?」
「特定のものを呼び出せる場合もありますけど。術者の意図するものとは限りませんね。私の場合ですと、何度やってもタワシしか召喚できません」
魔王にもそんなお茶目な部分があったんですか。万能エリートではないんですね。
なお魔獣は魔界に行けば居るそうですけど、ニンゲンが使役するのは無理だそうです。召喚魔法で呼べれば、絶対服従契約が可能なので、召喚してみては? って事です。
ここには、世界征服協議会事務員のタヌキ魔獣が居ますけどね。上司が魔王で、給料もいいので、言う事を聞いてくれるんだそうです。
私も、タダのニンゲンじゃなくてドラゴンスレイヤーの魔法少女なので、魔界で募集するのもアリかも。召喚魔法がダメならそれも検討しましょうか。
「じゃあ、召喚魔法をやってみるのじゃ」
猫耳部下を送還したイベント以来、猫耳世界のニャア大佐とは同期リンクが張られたままなので、あっちの私が新しい魔法をダウンロードすると、私も使えるようになるのです。家族メンバーでストアアプリをシェアする感じですね。その中に召喚魔法もありました。
巨大生物が召喚されると、魔王のお家が壊れちゃうので、荒野にやって来ましたよ。
「むむーん。むーん。ほにゃあああ!出でよ我が魔獣!」
7色の光が地面に魔法陣っぽい模様をグルグルと描き、その中心から人型の影が!!
「やったか! アタリか!?」
「人型の召喚に成功するとは! すばらしい!」
みょーんみょーん、と光がおさまっていき、そこに立って居るのはー?
「にゃんだー!? なんで、私が目の前に居るにゃー!?」
は?
猫耳のニャア大佐デス。
私、異世界の私自身を召喚してしまいました。
「あー、えっと。ごめん。自分で帰ってくれるかな?」
「いや、ちょっと待つにゃ。また呼ばれたら面倒にゃ。次の召喚に私も立ち会うにゃー」
「増えたりしないよね?」
「こわいこと言うにゃよ」
既に異次元同位体が同一空間に同時存在している状態デス。これ以上増えるのは世の理に反しそう。
「ここに移民せよー!我がラブリー魔獣ーー!」
今度は別系統の召喚魔法デス。どこか別の世界から移民してこい! 我がラブリー魔獣よ!
ぽすん
何ですかー? これはー?
「おい! コロコロコミックの創刊号じゃにゃいか!」
神具級の大当たりですのジャガー。今回欲しいのはソレじゃないですね。
「迷惑料として、コレ貰って帰るからからにゃ。もう呼ぶにゃよ!」
猫耳ニャア大佐はコロコロコミック創刊号を持って猫耳世界に帰って行きました。
もう一度レアグッズ召喚魔法を試してみたところー。
1954年製のテレキャスターが出てきました! しかも新品で! うひゃあああ。
次やったら1958年製のレスポールとか出てくるんじゃあ? 80年代のフェルニャンデスもいいね!
「もう辞めた方がいいですよ。召喚したものが大物過ぎます。これ以上やると魔力袋が破裂するかも知れません」
まじでー!? じゃあ、やめとこうかー。
「反動で14歳に戻るとかあるかも知れませんので、ご注意を」
ええ!? 6歳児楽なんじゃけどー。大人が甘やかしてくれるからね!
んじゃ、テレキャス持って帰るかー。
あ、牧場の従業員のこと忘れてた。




