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魔法少女と夢見る電気魔王 ~女神の異世界ITパスポート?~  作者: へるきち
14. アプリケーション仕様書 -異世界統治 -
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14-1. 小学生からやり直せ

 タオルくんが、ちょんまげをしています。19歳乙女が、ヅラではなく完全に地毛で。


 出落ちで笑わせて勝つ作戦でしたね? 美少女がちょんまげで真剣な顔してると破壊力抜群です。セーラー服を着て、学校の教室に居るし。


 ヘルメットが無ければ即死だったぜ?


 1年ドラゴン組は猛獣しか居ないので、新担任の私は防御のためフルフェイスのヘルメットを被って来ましたが。やはり完全に不審者ですね。脱ぎましょう。私には絶対防御魔法のQTフィールドがあるので不要でした。


「あ、ニャア殿だったナリ!」

「気付けよポンコツ剣士」

「お前も、小学生からやり直せよ」

「ほうじゃね」

「え!?」


 剣聖は絶対強者。何故ならば勝てない相手とは勝負しないからです。そうだっけ? こいつ私に3回は負けてますけど?


「1年ドラゴン組に編入しました。スズメ・ニートン・チヨ・コレィト・スットントンです。特技は多重残像攻撃です。お前ら皆殺しナリー」

「はい、みんな仲良くしてやれー。先生は、今日から1年ドラゴン組の担任になった、ニャア・スットントン。特技と趣味は、人類滅亡。滅びたくなければ言う事聞けよー」


 剣聖は8年生に負けましたけど、8年生にならずに1年生です。担任の私が指名枠で獲得したので。


「ほいじゃあ、野球でもやろうか?」

「いいけど、2対2で野球って出来るの?」

「拙者なら、不足分の13人を出せるナリ」

「数合ってないよ? 剣聖はマジでバカなの?」

「これこれ、バカはいけませんよ。あんぽんたんにしときなさい」

「はーい」


 近衛騎士予備校では、授業内容は自由なのです。担任が決めてもいいし、生徒がリクエストしてもいいのです。優秀過ぎるので、教科書なんて読めば理解するでしょ、という前提です。このクラスは、担任含めて誰も教科書なんて読んでないし、何処へやったかも覚えてませんけど。


「ちょっと待って? 私のちょんまげはいつになったらイジってくれるの?」

「先生は、イジりも、イジメだと思います」

「お前がそれ言うか? これ、DNA書き換え型の魔薬使ったから戻せないんだけどー!? どうしてくれんだあ!?」


 自業自得じゃん。何やってんのコイツ。さては、バカだな?


「タオル姉ちゃんの頭をどうにかする実験をしましょう!」

「ほうじゃねー、頭の中をどうにかしたいみたいに聞こえたけど、髪の毛をね」

「そのままで、いいでござるよ?」

「え? そう?」

「首を晒せばバエるナリ」

「晒さねえ、てめえのクビ寄越せおらあ」


 仲は良いのに、殺伐としてんなあ。ホントに小学一年生のクラスですかね? ここ。


「殿下何してんですか? 校長命令で、あなたは小学一年生から異動不可です。朝礼で校長の話を聞いてました?」

「聞いてるワケない」

「あ、そう。とにかく席に付きなさい。ニャアちゃん」

「はい」


 この学校は、どんな理不尽でも暴力で押し通せる決まりですけどね。

 私は、システムエンジニアです。戦闘は専門外なので、大人しく従いますよ。


「こいつ、昨夜何したか覚えてないのか?」


 ミーナの仕業ですね。ここの校長はミーナの子分でした。校長命令を好き勝手に出せるじゃないですか。どうあがいてもミーナの手の平の上。いつまでたっても要件定義が終わらない。そんな案件は失注すべきでした。なんの話だ?


「休戦協定を提案する」

「同意」

「どれだけ戦っても勝負つかないもんね」

「四姉妹で仲良くするナリ」


 修羅の国、川崎市で、システムエンジニアとして一緒に働いた仲です。誰にも引き裂く事は出来ません。これだけは、この世界における絶対不変の真理です。


「タオルちゃんの頭を何とかしましょう。中身は無理ですけど、せめて可愛い外面は保ちましょう」


 私は担任を即日解雇で、チューブスクリーマー先生とマフ先生のダブル担任になったんですね。どっちが力の1号で、技の2号ですか。


「スケサンとカクサンでもありません。おかしなラベリングをしないように」

「その頭は、丸坊主にすれば?」

「やってみましょうか」


 ダブル担任は、見た目は全然違いますけど、発言内容は区別出来ませんね。区別しなくてもいいですね。チューブスクリーマーは名前が長過ぎます。家名のバニーちゃんと呼びましょう。


「こええよ!?」

「動くとクビを刎ねるナリ」


 剣聖の剣技バリカンで、タオルくんを坊主にしますよ。そこに私が魔法で髪の毛を生やします。DNA情報をキャンセルする髪の毛が生えてくるハズです。それは既に証明済みですからね。絵面がイジメか罰ゲームなんですけど。


「だから! なんで草生やすんだ!」

「げははははは!」

「おねしょ丸はウケ過ぎだから!」


 うん。やりとりの品の無さが、完全に小学生女児です。情緒を獲得しつつあるのでは?


「うーん? こういうのは小学生男児なのでは?」

「こいつら魂はオヤジなんじゃないの?」


 どういう原理なのか、一旦草生やしてから、それを髪の毛に魔法変換したら、サラサラロングヘアになりました。縦ロールもアホ毛もなし。武装が解除されちゃいましたね。

 しかし、マジ美少女。肉体年齢は19歳なので、少女ではありませんけど。めっちゃペロペロしたい。


「部位によってはいいけど、ここじゃダメだよ」

「腹減ったね」

「会話の繋がりがあるんだか、無いんだか」

「あほな事やってる内に、今日の授業は終わりです。明日は自由研究の中間発表してもらうから、準備しといてね」

「ういっす、ほいじゃあ、先生アディオース!」

「アディオス!」


 どうやら別れの挨拶は、その日の日直のアドリブみたいです。挨拶で大喜利をする運命ですかねえ? 全員苦手なのに。


「この後何するー?」


 食堂でお昼ご飯を食べながら、相談です。

 私達は、情緒の形成のために、最下級生らしく、隅っこの長テーブルで食べる事にしました。この方が、周囲に先輩が集まり易くていいですね。情報の仕入れや、相談ごとに便利です。


「殿下達は、自由研究何してんの?」

「ダンジョンの効率のいい構造とか、帝国支配に、戦後の食料問題とかー」

「ほんとに一年生なんですか?」


 こいつらポンコツのマヌケだぞ? って事がアッサリ浸透したお陰で、下級生扱いしてもらえるようになりました。肩書だけはとれないので仕方ないですね。

 口調が丁寧な上級生が多いのは、貴族だからです。この国の貴族は、封建社会のヤクザやチンピラ風情とは違います。身分を盾に威張ったり、相手を見下したりしません。実力だけが序列を決めます。雑魚や弱者には容赦無いですけどね。

「先輩共は何してんだ?」


 タオルくんは、腐った国の王族が前世なので、態度も腐りきってます。平然と他人を見下します。たちの悪いことに、実力もあるので、誰も逆らえませんがー。それも昨夜までの事。


「お前は口のきき方がなってないな? そのサラサラヘアを燃やすぞ?」

「あ、はい。すみません」

「ぶぐぐ、ウケる。タオル姉ちゃんマジワロス」


 昨夜の大浴場での戦闘には2ランド目がありあました。タオルくんは、湯船にプカーっとしてるところを叩き起こされて、上級生全員にボコられました。そういうのは卑怯にならないんです。敵地の只中で伸びてるマヌケが悪いので。

 ちょんまげはえーるも、上級生に無理やりねじ込まれたのでは? どこに在庫があったんだろう? あの魔法座薬。


 そうだ、人数が増えたので、今度こそ普通の野球が出来ますよ。学園篇で野球は定番です。やらねば。

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