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魔法少女と夢見る電気魔王 ~女神の異世界ITパスポート?~  作者: へるきち
1.RFI情報提供依頼書 ~システムエンジニアが剣と魔法の世界に転生して詰みましたわー~
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1-2. IT奴隷の行き着く先

 ヴァルハラはありました。


「小さい子には、うれしくねえかもな」


 そう言って定食屋のおっちゃんが供してくれたのは、ブリ大根定食!

 う、うまい…。ぶりの味しみしみの大根が、うまい。

 異世界メシについては、孤児院で餓死った回が最底辺かしら? 今回の異世界メシは至高にして究極ね。今までのブラック異世界を脱して、ホワイトすら通り越して、いきなりプラチナ異世界ですよ。私の異世界転生ITパスポートがプラチナクラスに昇格しました! これからは上流工程、いずれは大魔法使いですよ。


 IT業界に上流工程よりも更に上のランクがあります。

 派遣に仕事を丸投げして、自分はトイレに籠もってソシャゲのガチャを回すような連中が居るのです。

 ソシャゲのイベントだから、と客先の重要会議をさぼり、ぼく稼働調整だから、と障害対応をシカト出来るプラチナランク。

 こちとらIT奴隷様は、ゴールデンウィーク返上でデータセンターに監禁ですよ。私、引っ越しするって言ったよね? 連休の中日は有給とるって言ったでしょ? なんで、過労死ライン越えて働いているの?


 はあ、思い出しただけで、頭の後ろがざわつくわ。ここ、脳のどの部分なのかしら? ここが壊れたらパーになっちゃう?

 まあ、つまりよ。商流の1次請けするだけで、受注金額の半分をごそっと持っていくくせに、何もしない組織がIT業界にはあるのです。あそこの正規雇用になれば、そこがヴァルハラってことよ。


 私は、結局そこに辿り着けずに、異世界でも奴隷ですわー。


 でも、今回はついに辿り着いたのかも。19年もかけてやっと。


「うまそうに食べるなあ。ほら、プリンも食え」

「お父さん、その子お腹壊すわよ」


 おお! 定食屋のおっちゃん、あなたは神か魔王か!? お給仕さんは、おっちゃんの娘さんらしいね。彼女はきっと女神か魔女ですね!

 しかも、この神メシ、お風呂と同じくフリーなのだという。

 この世界は、共産主義とか社会主義なの? それともヒッピーがハッピーなあれ?


「シスターが迎えに来てくれるそうだぞ。アイスも食べるか?」


 え? シスター? まさか、今度こそ奴隷商人ですか!?

 ああ、せめて今のうちにアイスを堪能しておきましょう。出来れば良く冷えたビールも飲みたいけれど。今の私はロリっ子なので無理ですね、ぐぬぅ。


 シスターのお姉さんに連れられて教会の懺悔室に来た。

 なぜ懺悔室?

 懺悔することなら、山程ありますけど、白状する気はないわよ?


「あなた、何が出来きますか? 得意な技術はありますか?」


 うーん。まるっきり派遣の面接。いえ、職場見学ですね。コンプライアンス的にはそうです。


「そうですねー。クラウドの構築とか出来ます。一番得意なのはネットワーク設計ですねー」

「はあ? 何言っているかさっぱり分かりませんが、この世界の言語を理解出来るのは分かりました」


 軽く圧迫面接だよ。格子挟んだ面接なんて異世界の19年間でもなかったよ。もちろん日本でIT派遣やってた12年間でもね。

 通じるわけないの分かっててITのスキルを語ったけど。そりゃ通じるわけねーわー。この世界スマホどころか、テレビも無いもん、多分。定食屋にもお風呂にも無かったよ。ITなんかあるわけないよね?


「19年間も異世界でやってますので、いろんな言語が得意です。Pythonもいけます。あ、Javaは、ちょっと苦手ですけど」


 嘘です。はったりです。着任してから必死こいて習得するのがIT派遣の流儀よ。


「19年前は、どちらに居られましたか? 日本ですよね?」

「あ、はい。川崎に住んでました」


 おや? これまでも異世界を理解する世界はあったけどね? 異世界を肯定している世界は初めてだよ?


「川崎ですか。私は横浜です。前世ですれ違うくらいはしたかも知れませんね」


 まじかー。日本からの転生者に初めて会ったわー。


 面接の結果、教会を追い出されました。

 自宅警備員希望って言ったら、「クズが」って吐き捨てる様に言われた。あのシスター、般若じゃん。神に仕えてねーわ。クズが。

 でも、困ったことがあったら来なさいって言ってくれた。川崎も一応日本だから、同郷のよしみだって。今まさに困ってますけど? 今夜は野宿ですかねー。あと、横浜は山ばっかりのくせに潮風吹かせすぎなんですよ。横山に改名すればいいよ。


 季節は秋ですかねえ。日が暮れると風が冷たいです。お風呂に入りましょう。あのお風呂はフリーで入り放題です。ただより高いものは無い、と言いますが。お風呂で死ねるなら本望。


「くっはぁ。ふっひぃ」


 いいですねー。何がいいって無期限フリートライアルなのもそうですけど。ここ温泉なんですよねー。真っ黒いお湯。川崎国民の私には懐かしさもあって、最高ですわー。


「おばちゃーん。あれ、おらんな?」


 さっき入って来た時から、番台には誰も居なかった。ねえこれ、治安は大丈夫なの? まあ、今の我はロリっ子なので。いや、特殊な性犯罪者の餌食に? むーん。魔法が使える世界に一度でも行っておればー。ファイアーボールで、股間のボールをクラッシュしてバーンなのに。

 転生で物質は持ち越せないけど、習得した技術は持ち越せるのです。魔法もきっと持って行けるに違いない。持ち越せない物質には、自分に体も含むよ。転生すると毎回違う肉体に入っています。


「あら、あんたさっきアイス食べて、おはぎも食べた子じゃない」

「ういっす」


 定食屋のお給仕女神様だ。この人もすっとんとんだ。お姉様とお呼びしてもいいですか?


「あんた、行くあてあるの? 今日寝るところは?」

「ないです。おいらは宿無し」


 このロリっ子をお持ち帰りしませんか? だめですか? この世界の多様性は如何ほどかしら?


「ちょっと天井低いけどねー。私が子供の頃使ってた部屋だからさ。子供用の家具もあるし、便利だと思うよ。そこの窓から月もよく見えてきれいでしょう? 今夜は私もここで寝ようかしら?」


 私は、まんまとお姉様にお持ち帰りいただいた。

 しかも、憧れの屋根裏部屋ですよ! ジジとキキの魔導大戦で見たやつ。私ここで飛脚便でもやろうかしら?


「明日から、お店の仕事も手伝ってね。少しづつでいいから」


 やったー!

 あったかいお風呂に、お腹いっぱいのご飯、ぬくぬくのオフトン。三種の神器コンプリートよ!


 魔法使いになれなくてもいいから、この世界に正規雇用されたい。

 この物語をここまで読んでしまったアナタ…。

 評価がまだなら、星1つでいいのでするのです。さもなければ、システムエンジニアに転生する呪いをかけます…。

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