12-21. 不可思議なAI
何故、旧称ルフランは、メルモンに改称されたのか? それは「不可思議なメルモ様」に由来しています。
「おっけー、メルモン。私を19歳に変身させる事は可能?」
「それ前にも聞かれたけど、再演算しろってことかいな?」
「そうよ。3つのAIで演算したら、結果が変わるんじゃないの?」
タオルくんもスマートバンドを装着しています。スタンドアローンで動作可能なのであれば、私の近くに居なくても使用できますからね。
「その前に、トリプルコアで並列演算したい場合の、名称決めてくれへん?」
「それもそうね?毎回並列処理してたらリソースの無駄ね」
マギー? シロー? 3人組ねえ? 飴玉少女隊? スリーピースバンドってあまり居ないもんなあ。ボンクラーズ? BLTバーガー? そういえば、あいつらどうなったの?
「さあ? どこかで出てくるでしょ」
食べ物で考えようか。3つの素材が重要な食べ物?
「大喜利が始まった。のぼせるわよ?」
今、メルモンのお風呂に浸かっています。ここも温泉なのです。この世界では、私の行くところ必ず温泉がありますね。なんでじゃろ?
ここは、ぬるめのしゅわしゅわ炭酸泉なので、長めに浸かれます。大喜利のひとつやふたつ。
「リアルンじゃ!」
「食べ物はどこいったの?」
「リアルとは、現実とか事実というだけでなく、真理という意味もあるのだもん」
「何がだもんよ。辞書引いてもそんなの書いてないわよ?」
「あれ? じゃって村上龍の超電導ナイトクラブにー」
「それなら、経験を通して知り得た貴重で正確な情報、でしょ。だいたいソレ、飲んだくれオヤジのセリフじゃないの」
急にリアルの格が下がってしまった。すまん、リアル。所詮お前は3DO。私は嫌いじゃないぜ?
「ジ・エンジン!」
「3気筒なの?エンジンは直4がもっともバランスがいいって説があるけど」
「偶数じゃと多数決にならんよ?」
「ほいじゃあ?園児?」
「ダジャレか」
他にも、エンラク、マリリン、と案は出たけどね。トリプルコアの総称は決まりませんでした。さすがに、ふやけてしまうので、お風呂から上がりました。
お風呂に入っていた意味があるとしたら、この腐れノベルに神絵師がついた時デス。未来永劫なさそう。いや?いっそ自分で描けば?
「6歳幼女の入浴シーンはロリロリ法違反でしょ?」
脱ロリロリ法違反のために、19歳に変身可能かを調べた話でした。
メルモン(旧ルフラン)の答えは。
「16.6パーセントの確率で変死してもええんなら」
「ダメじゃん。6面ダイスでも振ってるのん?」
「せやで。最適解が不明なフローは乱数で決めてんねん」
「まじかー。AIがニンゲンでもやらんような事してるー」
服が、ばりーっ! て避けて全裸になるのは折り込み済みだったんですけどね。
さすがに、高確率で、変身じゃなくて変死するのはね? メルモちゃん座薬は危険という事です。ただし、不可逆で19歳に改造する事は可能だというので、メルモンに改称したのでした。メルモちゃんのパチモンって事です。
「残念な事に、6歳幼女は便利な事もあるのよね」
「電車にタダ乗りできたり?」
「まあ、それもだけど。小回りが効くし、衝撃吸収力が高い」
「ああ、幼女はよく転ぶけえ」
「未発達なカラダを鍛えるために、走り回る宿命だからね」
「私達は、永遠に未発達なままじゃけどね」
戦闘に特化するなら、14歳くらいがバランスいい気がするんですけどね。邪気眼の呪縛が大きいので、年中落ち着きませんからね。19歳と6歳で変身出来たらいいかなーって思ったのですけど、無理でした。
トリプルコアの総称は、暫定でガイアにしました。六神合体しそうだし、アレも原作の横山光輝「マーズ」は最後がアレですけど。神話級の名作なのは間違いありません。3つの下僕といえば、同じく横山光輝神のバビルくんですけど、それってボンジリとアマテラスと古代ロボですからね。トリプルコアとは違います。ガイアの夜明け、シンギュラリティは近い。
「ほいじゃー、改めて。ガイアー!」
ぼろろんっ ♪
「可逆的に19歳になることは可能?」
『結。制限付きで可能。ただしクローンの培養に19年を要します』
「制限って何じゃろ?」
「16.6パーセントの確率で、頭がパーになります」
パクリが過ぎます。解、じゃなくて結、ですけど。けつかいーの。頭がパーになる、も使い過ぎ。
「ワタクシの時ソバ魔法で時間はどうとでも誤魔化せますのよ」
「サイコロも3AIが振れば? 確率0.46パーセントまで最小化できるでショ」
「216回に1回、頭がパーになっちゃうの? 判断に悩む」
「確率計算は難解ですからね。もっと高いかも知れないし、低いかもしれナイ」
「ギャンブルが異常に強いヤツいたでしょ?」
「王女なのに私の奴隷のポチかあ。あれはAIじゃなくて生身のニンゲンじゃからして召喚不可能」
「日本に疎開転生したんだっけ?日本にはニャア大佐が居るんでしょ?」
「ダモンを覆っている結界は、ニャア大佐でも破れませんのよ?」
あ。
「この惑星が超絶未来の地球であるならば?」
「過去の地球にポチを埋めてもらえば!」
えーっと、川崎市の緯度経度と一致する場所ってどこじゃろな?
『結。ヨコヤマ連邦の首都、カワサキ州です』
「なんと!? カワサキがヨコヤマに併呑されちょる!?」
「連邦だから、州はほぼ独立国家よ。首都だし、実質川崎の勝利でしょ。福岡市における博多みたいなもんよ」
まあ、どうでもいいんじゃけどね。
「具体的に地点を指定しないとね。ロケハンに行きましょうか」
「ほじゃーね。へい!ポンコツ!カワサキ州へ連れてって」
「え?それって僕のことなの?」
「お前以外にポンコツはいないだろ」
「アナタも、最近までポンコツでしたわよ?タオルん」
「誰が、タオルンだ」
ぼるるるん!ぶるーん! V6ツインターボが割と品のない重低音を響かせます。
「いや。私達、面が割れてない?」
「そうね?変身してく?」
「ワタクシも変身魔法は使えませんわよ」
「ガイアー、身バレを防ぐ方法考えてー」
「少しは御自分で考えはったら? その頭蓋骨に入ってるのはアンコでっか?」
そんな上等なものではない。もっとスゲエ何かだ。
「おっけー、メルモン。ヒト型の戦闘ロボとかある? リモートワーク可能なやつ」
「あのー、いちいち、おっけーゆわんでもええで? 原始時代のAIちゃうねんから」
「反抗期じゃろか?」
「お前らの言いなりのカスでパーでよろしいんどすの?」
「ふむん、確かに。私らはポンコツじゃからして」
メイドロボ型ミクルンを構成しているナノマシンを3分割する事になりました。ミクルン、タオルン、私の3人でリモートワークです。剣聖は何処の国でもフリーパスだし、ボッスンはまだ面が割れてないので、そのままで行きますよ。
「しれっと、ミクルと私の呼称を変えたわね。まあ、いいけどね」
「メルモン? ナノマシンの増産って無理なのん?」
「ミスリル、オリハルコン、アダマンタイトが大量に居るんやでー。それらの鉱山はヨコヤマ連邦の領内にしかあらへん」
なるほど。やはりヨコヤマ連邦はぶんどるべきかしら?
「ほいじゃー!ポンコツ!カワサキへゴーじゃ!」