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魔法少女と夢見る電気魔王 ~女神の異世界ITパスポート?~  作者: へるきち
2.提案書 ~IT奴隷が新しい世界でこの先生きのこるために~
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2-4. ITスキルしかない私が剣と魔法の異世界に転生して詰む話だったのでわー?

「魔法少女に、お話があります」


 教会の懺悔室。

 今日の私は、懺悔する側ではありません。鉄格子の向こう側に居るのは空軍の大将だそうですよ。軍の人攫いを2人焼いた件で、ついに追っ手が来ちゃったみたい。それもトップに近い奴が。


 むう、儚い夢でした。ガールズバンドで天下をとるはずじゃったのにー。ぶひぃ。


 こいつも、こんがり焼きましょうか?

 いえ、暴力では何も解決出来ません。暴力は、更に強力な暴力を呼ぶだけです。現に、こいつが来ています。暴力のインフレは作者が連載を投げ出すくらいにきりが無いのです。

 ところでシスター側から見ると、懺悔室の中に居る人丸見えじゃないですか!? 懺悔は匿名でやるものなのでは? うーん、それは異世界の宗教の話でしたかね?


「私は、友好的な話をしに来たのです。できれば、懺悔室ではなく、穏やかな空間で話したいのですが」

「軍人の言う事なんか、あてになるもんですか」


 お姉様が、珍しく好戦的です。空軍大将のおっさんを懺悔室に押し込んだのもお姉様です。お姉様以外にも、シスターとメイド忍者が、この場には居ます。タオルくんは定食屋で店番です。


「あんたも軍属なら暁の魔女のことくらい知ってるでしょ?」

「いえ、なんですかそれ?」

「あら? ほんの二千年前のことなのに。ニンゲンは物覚えが悪いわね」

「帝国が建国される前の神話の話ではないですか…」

「生意気な事言ってると、また滅ぼすわよ?」


 物覚えとかいうレベルじゃないでしょ。というかですよ? 暁の魔女ってお姉様の事デスか!? くくっ、カッコいい…。


「拙者のあるじに何の用でござるか?用件次第では斬るナリ」


 いつ私はメイド忍者を従者にしたのでしょうかー? また、適当になんか返事しちゃったんでしょうねえ。私の、やりそうな事だわー。

 メイド忍者は、王女を守る近衛騎士のように、私の脇に直立不動で待機してます。一言命じれば鉄格子ごと空軍大将のクビを刎ねそうな気配ですよ。

 忍者なのか洗面器で作ったロボなのかよく分からん言動ですが。


「待って下さい!まずは、先日陸軍のやらかした罪を代理で懺悔させてください!」

「さっさとアナタの罪を数えなさい」


 先日の人攫いは陸軍だったんですねえ。

 そして、シスターも軍属をよく思ってない模様。随分と軍は嫌われてますよ。そりゃそうだ。若者は男女問わず戦地から帰って来ませんでしたから。公園で遊んでる幼児達は、全員戦災孤児です。


「陸軍のバカどもには魔法少女の価値が分かっておらんのですよ! 空軍なら貴方に相応しい待遇が出来ます!」

「はあ? 寝言は寝ても言わないでもらえる? 血ぃ吸うたろかあ?」

「ぶふっ」


 ヴァンパイアのお姉様が血を吸うと死んじゃうので、実に凶悪な恫喝なのですが。シン喜劇みたいなので、日本出身の私とメイド忍者のツボに入ってしまいました。緊迫した場面でやられると、つらいですね。

 誰ですかー?お姉様に師匠の決めゼリフを教えたのはー? 私でした。けつかいーの。いえ、おしりのあないたーいの、でしたねお姉様は。


「ほほう。私に相応しい待遇とはー? 寝ててもお給金いただけるとかー?」

「魔法少女は最終破壊兵器です。出撃するのは万が一の有事の際のみです。存在を秘匿するためにも普段は戦場には出るべきではありません。今まで通りの暮らしを続けて下さい。士官待遇で毎月報酬をお支払いします。軍属は年金も手厚いですよ。どうでしょうか?」

「そんな事言って、私には年金くれなかったじゃないの。お前は、年とらないから老後もないだろって」

「いや、だから二千年前の事を言われてもですね…」


 なるほど。私もお姉様と同じく不老なので年金貰えませんね? いえ? 一生現役でお給金を貰えるということです? しかも、寝てるだけでよいとな?


「士官待遇でござるか?」

「はい。少佐の階級を用意しております」


 少佐ですかー。私、猫耳異世界では大佐なんですけどー。いやでも、何の戦果もなしに少佐とは破格ですよ? 手を打つには悪くないですね? 合法的に魔法をぶっ放すチャンスもあるかも知れませんし。何よりも、魔法少女である事を隠す必要が無くなるのは大きい。


「万が一の有事とは?」

「まず起こらないと考えて頂いて結構です。そのような事態にならぬよう努めるのが我々軍人の責務ですから。巨大不明生物でも現れない限りは魔法少女の出番はありません」


 なんだかそれはフラグなような気がします。でも、巨大不明生物となら戦ってみたいかも! ロマンですねー。


「つまんない事で呼んだら、おまえのしりの穴増やすからな?」

「暁の魔女とは、どんな能力者なんですか? 承知しました、私の穴に賭けて誓いましょう。つまらぬ事ではお呼びしません」

「手を打ってあげてもいいんじゃない? おしりのあなを賭けるなんて相当よ?」


 三百年間しりあなを患っていたお姉様から見ればそうでしょうね。私にも、その気持ちはよく分かります。


「陸軍のバカと、あと海軍は抑えられるんでしょうね?」

「空軍は最大勢力ですので、その点については確約しましょう。これからは航空戦の時代ですので、軍内で勢力が覆る事もありません」


 空軍のおっさんの持ってきたこの話。異世界留学で魔法を得たのに使い所が全く無かった私には、都合のいい落としどころでしょうね。


「分かりました。空軍のしょうしゃ…そうしゃ…ちょうしゃに、なってあげてもいいんだからね!」


 噛んでしまったのでツンデレになってみました。しゃあしょうしゃー!


「ただし、報酬はいらんので。そのかわり有事の時もベストエフォートでおにゃしゃす」


 お金貰っちゃうと義務が生じるからね! 寝てて給料は魅力だけども。不老不死の体でも死ぬのいやじゃもん。拒否権は、確保したい。


「承知しました。それで十分です。では、名簿に登録するのでお名前を頂戴したい」


 私の名前ですかー? すっとんとんシスターズ内ではシンちゃんって事になってますがー。うーん、軍専用のハンドルネームを付けておきましょうか。普段は別人として暮らしたいので。そうだ! 猫耳異世界の大佐の時の名前にしておきましょうかね。


「ニャアです」

「ニャア少佐、今後共よろしくお願いいたします」

「ぐふっ、ニャア少佐っ、ベタ過ぎでごさるよ、ぶぐっ」


 今日からアタイは、にゃあしょうちゃでちゅ!

 猫耳少女だから、ニャアだったんですがー。やらかしたかも知れぬわー。ぶひぃ。

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