12-15. 学校の妖怪
「お姉様、嫌ですわ。そういう事は、ちんちん生やしてからにして下さいな」
「ウケケケ」
私とタオルくんは、ダモン近衛騎士予備校に復学したのですのじゃがー。
「妖怪ミツバチ痴女が出たぞーーーー!!3年生以下は退避ーー!!」
「最上級生が居ない今、学校の秩序は8年ユニコーン組で守るぞ!やれー!」
「7年ペガサス組も参戦しますわ!!」
「6年ジャイアントパンダ組、後方支援にあたります!」
「奴を殺せーー!!」
「女神が妖怪に落ちやがったぁああ!」
何の騒ぎが起きているのかと言えば。
妖怪ミツバチ痴女が学校に出たのです。ミツバチ痴女は、生徒のジャージを脱がして、ブルマに履き替えさせるという、とんでもない妖怪です。
「中身は、あんたの行動を学習したAIだし。外側は、あんたと同じ素体なんでしょ? ほぼ、あんたが痴女って事なんじゃないの」
「あれはあくまでもコピーロボですん」
ダモン王宮の地下ダンジョンには、なんと! 私の容れ物である素体が、1体眠っていたのです。ニャアシリーズのシリアルナンバー1。どこに刻印があるかといえば、おしりのあなです。うーん、シリアナンバー?
私のナンバーは9。やべえ、こんなのが後6体も何処かに眠ってるかも知れないんだ。もう1体は、異世界漫遊中の女神、ミラおばあはんでしょうね、ヤツのナンバーは0だと思う。おしりのあな患いの治療した時に「これ数字カナ?」って見た覚えがあります。
あら?0があるのん?後7体もあるんじゃん。一桁表記なので10以上は無いと信じたい。
ナンバー1には魂が宿って居なかったので、リモートコントロールの肉人形にしてみました。
脳波コントロールです。いっけー!ファンネル! かつて迷い込んだ超未来都市の市民達がやってたスタイルの模倣です。ニンゲンは、カプセルホテルみたいな巣でスヤァと眠り、脳波でアンドロイドを動かしてリモートワーク。
危険作業に使えるかなーって、軽い気持ちで始めたのですのじゃがー。
脳波コントロールは欲望剥き出しで暴走しちゃいました。私が「やっちまいてえ」と妄想したことを、そのまま実行しちゃったのです。
脳と肉体の間にあるべき何かが抜けてるんですねー。人体って不思議ー。
ほいでー、脳波コントロールで行動を学習させたパターンをナンバー1のAIにして学校に放ってみたところ。
妖怪ミツバチ痴女がニューリリース!ってわけですわ。あっはっはっは。
「どういう動機で、こんなことしたのよ?」
「代わりに登校してくれたら、寮で寝てられるじゃろ?」
夏休みの工作の練習も兼ねてます。でも、こんなの発表出来ないなー。
「夏休み前に、退学になるんじゃない?どう見てもアレあんたそのものよ」
「むむっ。そりゃいかんばい。タオルしゃん。生死は問わない。むしろ証拠隠滅のために、アレを消し去って」
「無理なの、分かってるでしょ?剣聖とボッスンが王宮から明日来る予定だから。それまで待つか、あんたのトンチで処理しましょ」
「ぶひぃ」
実は、タオルくんは素のニンゲンに戻ったのです。不老不死幼女なので、素のニンゲンとは言い難いですけどね。もう彼女にはビーム砲も加速装置も内蔵されていません。ルフランの科学力では、それが可能だったのです。失敗したら頭がパーになる危険性もあったけどねー。テヘペロリン。
何故、タオルくんは素幼女に戻ったのか? 飽きたからです。チュウニのやることなんて、そんなもんですよ。私も魔力袋をボッスンに移植して、素幼女ですし。素幼女同士お揃いです。
戦争なんて消耗品であるXY染色体にやらせとけばいいのです。私達は、小学生としてのほほん生活を送るのです。
「ここは近衛騎士予備校じゃからして、先輩達に狩られるんじゃないのん?」
「やべえ、大怪獣大決戦じゃん! 見物しよ!」
「のじゃー!」
これは由緒正しい伝統的な学園モノなのです。ジャージ脱がしなど、あって当然。学園といえば、ハレンチなものなのです。これは起こるべくして起きたイベント。私は悪くない。おささっただけ。ハレンチ学園のような最終回もドンとこい!
おぅふ。死屍累々。
ブルマを履かせる余裕は無くなったのか、パンイチの先輩達が、倒れています。
「戦うセンパイは何人居るんだっけ?」
「ボッスンは今ここに居ないのじゃからしてー、8人じゃね」
「なるほど。もう半数が死んでる」
「いや、生きちょるんよ?」
「下級生にパンツ脱がされた騎士なんて死んだも同然よ」
「ほじゃあね。後半おしり丸出しじゃけ」
余裕が無くなって来ているのか、逆に調子に乗っているのか。後者でしょうねえ。じゃって、あれは私のコピーロボなので。
「ニャアと同じ肉体なのに、なんであんなに俊敏に可動するのよ?」
「騎士と渡りあっちょる。私は、魂が鈍重なんじゃろか?」
生命の不思議は尽きぬ、という事ですよ。
「ウケケ、ケケ」
「どうやら、妖怪ミツバチ痴女は大脳言語視野が皆無のようね?」
「シリーズ全体でリソースの奪い合いでもしちょるんじゃろか?」
「そうなのかもね」
「なるほど?」
すてぃぃぃいいいいる!!
IT奴隷は気合と根性! ヤツの運動能力を奪えええええ!!
「気合と根性なんて、ITの対極じゃないの?」
「そうでもないんよ」
その辺については、この腐れ小説の5章6話などに書いておりますので。是非、ご参照下さい。宣伝乙。
「気合と根性とか言ってないで、リモコンで操作すれば?」
「ソレだ!」
我、本日もマヌケなり。スマホのアプリでもリモートコントロール出来るんでしたわ。
「おっけー!るふろーん!ナンバー1にコマネチさせて!」
「え?そないな行動は非推奨やで?ニャアはんが思てるほど、おもんないわ」
「やかわましいわ!」
コントロールをルフロンのマザーAI経由にしたのが仇になりました!AIのくせに私よりも、遥かに良識があるんよ!
「くせにとかー。AI差別でーす。訂正を求めまーす」
「むっきー!正論モンスターめー!」
「騒ぐほどの正論でも無いでしょ。あ、上級生が全滅した」
ぐるんっ!
「あ、やべっ。こっち見んな」
妖怪ミツバチ痴女が、パンツを脱がせたそうにして、こっちを見ています。
(アクション選択メニュー)
たたかう
にげる
なかまにする
▷人類を滅ぼして全て無かったことにする
「Killナリ!」
ざんっ!
妖怪ミツバチ痴女は、縦に真っ二つになりました。
「結局最後は、インチキ暴力かー。この世界いいかげーん」
「アタシの暴力がインチキですって!?剣聖差別でーす。訂正してくださーい」
「やかましいわ」
「マスター、そんなにパンツを脱がせたいのであれば、ワタクシのをはよう!」
「いや、どんだけ脱がしても、ちんちんが無いのは、もう理解したので」
「ここは女学校なのよ?あるわけないでしょ」
「はよう!」
「お前も、やかましいわ」
王宮で湯治していたはずの、剣聖チヨちゃんと大魔女ボッスン。ボッスンの転移魔法があれば、一瞬で来ちゃいますよね。
「言いましたわよ。呼ばれなくても好き勝手に駆け付けると」
「主君のピンチを勝手に察するとは、マジマジョ」
「ほうじゃね」
この子達をヨコヤマ連邦にけしかれば、それだけで戦争は終わりなのでは? 国境警備隊が失業しちゃうん。
「あの、ボスちゃん。私のジャージとパンツを取り返して欲しいのだけど」
「私のもお願いしたいのだけど」
「アナタ達どちら様ですの?」
その2人、赤ジャージだから、あんたのクラスメイトでしょ?知らんの?
赤ジャージの上だけって、なかなか、むふう。
「やっぱり、あんた痴女でしょ」
「違いますー、大変な変態さんですー。変態差別でーす。訂正してくださーい」
「やかましいわ」
私は、自分からパンイチになったり、? なったりしますね。痴女でした。
「チューブスクリーマー・バニーズだよ!」
「マフ・エレクトロだよ!クラスメイトになって8年目なんだから、いい加減覚えろよ!」
「はあ。ワタクシ普通のニンゲンには1ビットも興味ありませんのよ?」
「ふんぎゃああああ!」
ふむん?8年生のフルネームはどうでもいいですけど。妖怪ミツバチ痴女の剥ぎ取ったジャージは、何処へ行って、履かせたブルマは何処から来たの? 宇宙の真理的な謎です。
「んー?妖怪腹巻きの中には無いですね」
「それは四次元腹巻きなの?」
「さすがにそんな不思議道具はルフランにもありませんわ」
「だったら、そんなとこにあるわけないでしょ」
「ほじゃーね」
まあ、いいか。コレは全て妖怪さんの仕業なので。私悪くないだもん。おささっただけ。
「教師総代であるアタシが、どうとでも処理するわよ」
「とりあえず、この真っ二つの死体は、ワタクシがどんぐりにしておきますわ」
「ニャアの学内の信用はガタ落ちね」
「むしろちょうどいいわ。最下級生なのにお姉様って呼ばれるのは、いやじゃけ」
「それもそうね」
今回の件は、むしろ「最下級に遅れをとるとは何事か」と、上級生が罰を受けたのでした。山の上の巨大観覧車が超高速で回転し、のどかな春の空に黄色い悲鳴が響き渡ってました。