12-12. 私達は、アタナ達をロックしまうー、永遠に
突然。辺り一面が真っ暗な闇に包まれた。チュウニ大好きダークネス。何事かしら?
くえー!
うにゃあーん
魂の奥底を揺さぶるスクリーミング・シャウト!?
「アマテラス!」
「ボンジリ!」
山を越え、大海を越え、結界も越え、私達の村へやって来た。
ドラゴンとフェニックスが、やって来た!
フェニックスアロー!
じゅぼわあああああああ!!
クエーーーーーッ!!
「あれは、大神獣フェニックスが、自らを炎の矢と化し自爆特攻する神話級の大技フェニックスアロー!喰らった相手は全滅する!」
「解説乙」
しかもフェニックスは文字通り不死鳥なので、死ぬ事もない。くくっ、カッコいい。ずっと、放し飼いじゃったのとゆうのに、忠誠心も神話級。
「にゃーん」
「アマテラス、ああぬくい」
アマテラスは結界の突破で力を使い果たしたのか、仔猫になってる。真っ黒なおはぎみたいな仔猫型アマテラスは、私の腕の中に転移して来た。
「おっと、こりゃやべえや」
スピンターンを決めたタクシードライバーは、魔獣キル・ザ・キングを私の側まで走らせてきて、ドリフトターンで、きゅきゅっと停めた。私をフェニックアローの衝撃から守るように。さすが、オトゥフゥの名は伊達じゃない。見事なドラテクだよ。
「みなさん!こちらで固まって下さい。ワタクシのQTフィールド全開で防御しますわ」
「1024重まで張るのじゃあ、ボッスン」
「イエス!マスター!」
ずっどおおおおおおおおんんんんん!!
どて、ぽき、ぐしゃ
うわー。フェニックスアローで最後に残されたミヤコの土地まで焦土と化しましたよ。
「いえ。フェニックスの加護で、魔法汚染された土地まで浄化されました。これから復興が大変ですよ」
「その前に、ヨコヤマ潰しじゃろうね。土地の奪い合いじゃわ」
「そうですね。まずは王宮へ帰って、体制を組みましょう」
「のじゃー!」
フェニックスのボンジリはピンク色のひよこになりました。大技フェニックスアローで、力を使い果たしたんだね。
アンを、おっちゃんのタクシーに乗せて、今度はフルメタルチャイルドシートなしで、魔獣ルーチェに乗ります。ミクルちゃんは運転席だよ。考えてみれば、王室すら私の配下なのだ、道路交通法なんか知ったことじゃないでしょ?自分の身の安全は、私を膝に乗せた剣聖が命と引き換えにしても守ってくれるもんね。
「いやー、爽快だったナリー!まだこの後、ヨコヤマとの合戦があるのでござろう?たまらんナリー」
「剣聖は、バトルジャンキーですのね?ワタクシは、魔法の特訓をする猶予が欲しいですわ」
「私も、メンテンナスしなきゃ。あちこちガタガタだわ」
「私はー、久々にアマテラスを丸洗いするかなー」
「仔猫だし、あまり洗わない方がいいんじゃない?」
「ほうじゃね」
ふむん。普通の幼女になったので、私だけ特にすることが無い?いんや?何かを忘れてそう。
「アンと別行動にしよう。学校に帰ろうよ」
「そうね。そうしましょうか」
「のじゃー!おやびん」
「承知ですわ」
「がってんしょうちのすけなりー」
ほいでー、私達は久々に学校に帰って来た。何日空けてたんだっけ?3日間程度か。お休みの日曜日と月曜日も挟んだから、ちょっと遠足に行ってましたでも通るな。実際、そのようなものだし。
「担任の剣聖が言いなりなのは、こういう時便利ね。クラスメイトは私とニャアだけだから口裏を合わせる必要もない」
「ははっ。アタシの事は、便利に使って下され。こんなに充実した体験をさせてくれる主君は初めてでござるよ。ニンニン」
「それは、よかった。主君としても嬉しいんよ」
ほいじゃあ、まずはお風呂だね。
「ワタクシは、ミクルちゃんとチヨちゃんと一緒に、ボンジリさんの鳥小屋と、アマテラスちゃんの寝床やおトイレの準備をしておきますわね」
「剣聖は木工も得意なんでござるよー!」
「あっしこそ何でも作れるやんすよー」
ありがたいわー。家臣に恵まれたねー。私は、お風呂に持って行くオモチャを用意しないとー。あ、そうだ。ルフランに貰ったスマートウォッチ的なリストバンドを着けてみよう。お風呂で水没するようだと使い物にならないから、早速テストだ。
「ふっひゅううう。学校のお風呂もいいねえ」
「そうね。王宮のお風呂は、真っ黒な川崎風で、あれもいいけど」
「湯温35度。幼女が入るには、ちと高いんちゃうか」
「あら。そいつ、そんな機能まであるのね」
「ほんまじゃ。ところでルフラン。もしかして結界消えてない?」
「んー、せやなあ?弱まってはおるかな?ドラゴンが破壊したんやろか?」
「ドラゴンに結界の破壊が可能であったら、もっと早く来てそうなものよね?」
「ほな、ドラゴンと違うかぁ」
「んー?ルフランにも結界の原理が把握できてないんじゃろか?」
「せやで。魔法でも科学でもないんちゃうかなー。ミヤコの陰陽師のドーマンセーマンとかいうアレちゃう?」
「それもあるんじゃろかー?でも、ミカドの寝所には簡単に侵入出来たんよ」
「ほな、陰陽師と違うかぁ」
「あんたじゃないの?ルフラン」
「あー、うーん?わいも確かに結界張っておるけどもお?」
「最初にすんなり入れた時点で違うような」
「ほな、わいと違うかぁ」
「ヨコヤマの異星人ロボじゃろか?」
「それだと、順番が前後してるじゃないの」
「ほな、異星人ロボと違うかー」
「ミーナが外側から何かしたんじゃないの?」
「じゃったら、デミヲ召喚にあんなに苦労してないじゃろ」
「ほな、ミーナはんと違うかぁ」
「おかんが言うにはな?」
「おかんって誰よ?暁の魔女?今、会話も出来ないでしょ」
「ほな、暁の魔女と違うかぁ」
さっぱり分からんちん?
「ボッスンが引き起こした大厄災ゲロローンだっけ?それが、結界の発生器を破壊したけど、まだ何処かに同じものが残っている、ってとこじゃないの?」
「ソレだ!」
だとすると、ヨコヤマかダモンの何処かにまだあるんだ。どんなものかも全く分からないけども。
「わいの演算によるとやなー、その仮説に立った場合、わいの知らん世代の古代遺跡ちゃうかなー」
「なるほど。まずはダモンの地下ダンジョンを調査か破壊?」
「ヨコヤマを叩くのが先じゃろね?ヨコヤマは、それを理解して発動させた可能性が高い」
「ああ、そうか。国連の怪人安スーツ男に会う直前まで、転移で村と往復出来てたもんね」
「ミヤコにあった同等品は、勝手に動いとったんやろか?」
「ヨコヤマの工作員が動かしたと考えるのが妥当なんじゃない?」
「せやなー。つまり、その仮定は、けったいな問題を孕んでるんちゃう?」
「ダモンにもヨコヤマの工作員が居る?そりゃまあ居るでしょうねえ」
「私は、おっちゃんのタクシーにダモン神獣のツノ短剣を忘れたマヌケがアヤシイと思っちょる」
「じゃあ、まずは王宮に行くの?」
「うん。でもそれは明日以降じゃね。さすがに疲れたびー」
「そうね」
「今夜は、ゆっくり寝たらええよ」
寮の私達の部屋には3つの個室がある。剣聖チヨちゃんは不寝番の役目があるし、昼間学校で寝るというので、個室は1つ空いていた。そこにはボッスンが入る予定。
「あ、マスター。考えてみたら、ひよこの小屋なん不要ですし、アマテラスちゃんは、外で勝手におトイレしちゃうんでしょ?」
「ほうじゃね」
「ですよね。ワタクシ達も、お風呂入ってまいりますわね」
「いってらーん」
ボッスン用の部屋は、畳敷きの和室だ。押入れもある。
「押入れを見ると、ニートンを思い出すわね」
「ほうじゃね」
私達すっとんとん4姉妹が日本に居た14年間。コロナカの期間は、ニートンは押入れに籠もって、ずっとギターヒーローさんを目指していた。日の目を見る事は無かったけども。夜は、上の段でまるでドラえもんの様に寝てた。
私も、ニートンの真似をして、押し入れの上の段に、寝転んでみる。タオルくんも、隣に来た。幼女2人なので狭いけど、並んで寝られなくはない。こんなに密着したら赤ちゃんできちゃうん。
「できないわよ。あら?あれは何かしら?」
「おんやあ?」
押入れの天井に絵が一枚張ってある。私はそれを剥ぎ取って見る。絵の内容に驚愕しながら。
「4人の少女がステージ上で演奏しているわね。ジャガーに乗った幼女がうろついているけど、これはあんたね?」
「ほうじゃね」
ああ、涙が溢れて止まらない。この、異常に線の多い書き込みは、間違いなくニートンの筆致だ。あいつも、ここに居たんだ。ちゃんと転生して、ここで私達の事を想い出していたんだ。この寮は、何万年前から此処にあるのよ?
「あいつ、なんでこんなに金にならない事ばかり得意なのよ」
そう悪態をつくタオルくんも、涙でぐしゃぐしゃ。
「ねえ?裏に何か文字が書いてない?痛いポエムかしら?」
ニャア殿
きっと見つけてくれると思って、ここに残すナリ。
4姉妹で暮らした生活は、拙者の輝ける暗黒の伝説でござる。
拙者は姉上と楽しく暮らしているナリ。
だからニャア殿もタオル殿と楽しく暮らすといいナリ。
遥か彼方の時の向こうから、うぃーうぃるろっきゅー!ござる。
すっとんとんふぉーえばー
イモータル・イモートここに記す
ニンニン
「痛いポエムね。こんな黒歴史、絶対に消してやんないんだから」
「ほうじゃね」