12-9. 私は手に入れたぞ!
汝、今何時じゃ… その魂を今スグ手放せ… … ニャアの素体を我に寄越せ… …
えー、嫌じゃー、この、ロリロリつるりんボディは、ちんちん生えてないけど、私のものなのじゃー
よくお聞き… … クサクサ大天使が、ビッチビチ天使の大軍勢を引き連れて … … うぐっ もう、らめー … ちんちんなら生やしてやるからさあ…
要らんし
なんやそれ!
「ちょっと?どうしたのよ、ニャア。あほ丸出しでうなされてたわよ」
「あ、タオル姉ちゃん。私のニャア姉ちゃんを独り占めしないで。殺すぞ?」
「は?なんであんたが、ミーナが裏で私に言ってた事知ってんのよ?」
「ありゃあ?」
表でも言ってたと思いますん。
あ、あたまがー!ねえさん!あたまがー!たまがー!
「ちょっと?今日のあんたは、特に病んでるわよ?」
大丈夫。みんな病んでて、それがいい。だって、人外じゃもの。 ダーン・ミッツロー。
(お姉ちゃん…聞こえますか? …私はミーナ、時をかける魔女… 今、あなたのおしりのあなから、ちくびに直接語りかけていまうー… 私は、もうダメです … あとは、任せたよ、お姉ちゃん … お姉ちゃんの、おしりのあなで魂のゆりかごとなります … shutdown /h スリープモードに入ります … スヤァ)
ちょっと!?ミーナちゃん?そんなことこで寝ないで。せめて、脳幹まで辿り着いて!
(う … おう … おぅふ … もう、らめー … スヤァ)
トゥンク!
ざわ… ざわわわわ …
テッテレー!
「私は、手に入れたぞ!
悪魔の力を手に入れたぞ!
私は、
怪人あくま幼女だ!!
地獄へ落ちろ!ニンゲンども!!」
「はあ?さっきから何ひとりコントやってんの?」
「あ、うん」
ミーナちゃんの魂が転移魔法で、私のカラダに特攻して来ました。
私は、ミーナちゃんとのデュアル魂のカラダを手に入れたのです。
「それ、なんかの役に立つの?」
「左脳が私で、右脳がミーナ」
「逆の方が良くない?」
案外そうでもないです。言語機能は左脳ですし、空間認識は右脳なので。
「なるほど?うまく得意分野を分担してるわね?自我はどうなってんの?さっき混濁してムカつくこと言ってたけど」
「幼女の甘えじゃろ?気にしいさんな」
「それもそうね?」
ミーナちゃんの中身は、1万歳越えたひよこババアだけどね。見た目だって、最後に見た時は27歳バージョンだったし。全然、幼女じゃなかった。
「来たのは魂だけなの?」
「ほうじゃね。肉体は向こうで腐敗しちょるんじゃないの?」
「冷凍保存くらいしてるんじゃないの?ミクルちゃん居るし」
「んー?それはそれで、うっかりスっぽ抜けて戻った時に、即死じゃない?」
「案外、危険ねえ?」
肉体と魂の融合が危険なのはニートンの消失で目の当たりにしたでしょ?
転移魔法だって、ビット欠けのリスクを伴う危険な行為です。私とミーナちゃんは、異世界で一卵性双生児になった前世があるので、適合率が高いのでしょう。一卵性なのに、かたやアイドル級美少女で、私は貧相なすっとんとん、っていう不思議な双子でしたけど。
「じゃあ、あの子のカラダはもう無いしのかしら?」
肉体なんて魂の容れ物に過ぎません。洗って返せば、また別のを貸してもらえます。ん?洗ってはいるだろうけど、返した事になるのかな?腐って大地に還えればガイアの元には召されるでしょう。知らんけど。
「ミーナ自我は寝ちゃったから、自己分裂のおそれはないかな」
「能力だけは貰った感じになるの?」
「高度な演算能力と、空間認識能力が、私にアドオンされた」
「それって、随分と高性能なんじゃない?」
「うん。もはや無敵。天上天下唯我独尊、怪人あくま女じゃけ」
「悪魔マンじゃないんだ」
「おまんじゅうみたいじゃない?ソレ」
「少し早いけど朝ご飯にしましょうか。おまんじゅうは食べないけど」
「肉まん食べる」
私達は、昨夜ミヤコを落とした後で、ルフロン型古代遺跡に帰って来て、そのままルフロンに泊まりました。ホテル設備まで備えていたので。ルフロンはもしかして、登録商標かなあ?他の名前を考えておきましょう。アゼリアはツツジだから問題無いね。
「ルフラン?フランスで、テンドンって意味ね」
「んー、人は誤った歴史を繰り返す。いい得て妙じゃろか?」
「それで、いいと思いますわ」
「ここの施設の名前ですか?この後、初期設定をするんですよね?」
「後で、リネームできるでござろう?」
ござろう?剣聖がニートン化してる。一度は魂が融合したのだから、汚染されちゃったかな?
「ニートン殿は、ヤキトリかスズメちゃんなのでござろう?神話のお話とはいえ、騎士としては拙者の大先輩ナリ。汚染でも名誉でござるよ。にんにん」
「本人が、いいならそれでええけど。あれは近衛騎士最弱じゃろ?」
でも、神話の中ではござーる語使ってなくない?え?あの神話、つづきがあるの?女神様の諸国漫遊記?それは、読まなきゃ。
「ほならー、準備はええやろかー?」
ガシャコンガシャコンと、メタルマリオみたいなのが、やって来ました。今日のロボはこれですか。シルバーメタリックのツルンっとしたボディが、にゅるんっとヒト型をしています。
「歩行音がうるせえ。こんなのが集合住宅の上の部屋に住んでたら、殺しちゃうなあ」
「え?あ、ごめんやで」
ターミネーターみたいなロボは、にゅるんっと波打つと、メタルスライムになりました。
「僕、悪いスライムだよ!」
「いさぎいいな」
一発芸だったらしく、にゅりゅりゅっと、テーブルの上に乗ると、ノートパソコンになりました。メタル筐体の極薄型です。足の甲に縦に落っことしたら重症負いそう。カミソリくらいの薄さだから、足の甲をサックリ切断しちゃんじゃないの?
「当施設へ、ようこそ。初めてご利用のユーザーには施設紹介が」
「スキップ」
初期設定中に出てくるガイダンスって邪魔だよね。
「まずは、ルートのユーザ名を」
「ニャア」
「ニャアの生体情報をスキャンして登録しました。魂が入れ替わっても、生体情報しか認識しませんので、ご注意下さい。ルート権限には自爆コマンドも含まれます」
あ、勝手にやってるけどいいよね? みんな、うんって頷いてくれたので、このまま私主体で進めますよ。
「ホストネームを」
「ルフラン」
「以上です。操作方法などは、manコマンドを打鍵いただくか、音声入力でどうぞ」
「はやっ」
追加で、標準ユーザも登録しておきました。私も常にルート権限では危険なので、昇格時にはタオルくんの同意を必須に変更しました。追加ユーザーはタオルくんと、ボッスン、剣聖の3名のみ。これはダモン王国の資産ではないので、アンは対象外です。入館許可証はアンにも発行しました。
「ダモンの資産にされても困りからね。管理しきれません。必要な時は協力してもらえますよね?」
「ほらもう。じゃって、ダモン王室はニャアの配下なので。ちゃんと面倒みますん」
テッテレー!
「ニャア様は、わいらの初めての管理者様や。初回特典ボーナスがあるで?」
「ほう?」
ここで、あざとく次回へと続きます。