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11-10. 桜の花は敵の血を吸って咲く

「おい!みんな出てこい!やっちまうぞ!」

「「「「「へいっ!!」」」」」


 なんと、101人の新入生に囲まれてしまいました。新入生のほぼ全員が私を狙う刺客でしたかー。101人も一瞬で数えられるワケねぇ、オマエは日本野鳥の会か?って思われるでしょうけど。参加していない方を数えたのです。


「殿下!助太刀しますか?」

「やめておくのよー、きなことあん。めがみさまにすけだちなどふそんなのよー」

「確かに!これは神話に残る戦です。目に焼き付けておきましょう。姉さんアンコ餅食べてる場合じゃありませんよ」


 とかなんとか言ってる、王女とその従者、というか本物の近衛騎士ですね。王女と一緒に入学するために一度死んで6歳児になったそうです。輪廻転生で記憶と経験を引き継ぐのがダモンの近衛騎士なので、そんな事も出来るのです。

 それと、隅っこでガクブルしているインチキ関西弁幼女。こいつは刺客ではないのでしょうか?寮に入った初日に、タオルくんにトラウマを植え付けられたので、動けないのかも。もしくは、すべての記憶を無くしてしまったか。


 この4人に、私とタオルくんで6人。今年度の新入生は108人なので、残りは101人というわけです。


「102人じゃないの?」

「パンクレディーの妹が新入生なんじゃけど、異世界転生してもう退学してるから」

「あ、そうなんだ」


 あの異世界転生姉妹は、牧場でアルバイトしていて、牛に潰されてしまったそうです。牛相手に何をやらかしたんだか。私の異世界同位体なので是非もなしですかね。寮長のリンリンが教えてくれました。

 この学園村は自給自足なので、いろんなアルバイトがあるんですね。そのうち、やってみるのもいいかも知れません。


 こいつら、何処から差し向けられた刺客なのか知りませんけど、私の真の身分が、オタマ村の御老公だと知らぬようです。思い知らせてやりましょうか。今、作った設定なので、私しか知りませんからね。


「スケサン、カクサン、やっておしまいなさい」

「どっちがスケサンなの?」

「タオルくん」

「分かった」


 なんか知らんけど、正解を引き当てたようです。知能のスケサンと暴力のカクサンでしたっけ?力のスケサンと技のカクサン?水戸黄門を見てたのは、主観時間で100年近く前なので、よく覚えてません。最後は皆殺しだったのは、確かだと思います。


 タオルくんは残弾が勿体無いので、何もしませんでした。だって、カクサンが剣聖なので。私が与えた魔刀ジャキー・ガン、違うな?マジェ・スティックでしたっけ?ドラゴンスレイヤー(仮)で、なで斬りにしちゃったからです。見た目には、1回しか刀を振ってません。


「剣聖はキナコ姉さんよりも強いのかも」

「私の3倍長い時間修行を続けてますからね」

「2万7千年ですか!?王国が出来る前からじゃないですか」


 あれ?剣聖の自己申告だと2万6千年でしたけど。仕方ないですね、そんな大きい数を正確に数えるのはムズカシイですよ。少なくとも私は無理です。王国歴以降なら暦で分かるでしょうけど。王国歴にしても、1万2千年以上、誰も間違えずにちゃんと記録しているかどうか。


「ありゃー、今年の1年生がほぼ全滅しちゃいましたねー」


 お?今度こそ新キャラですか?校長ですね。入学式で見ました。こいつは、カオルくんとシンちゃんはBLではありません!とかいう挨拶してました。本命はカジさんですとか。その掛け算は、どっちを前にするかでも殺し合いになるので、女の園での話題としては、アンタッチャブルだと思います。こいつは今のところモブなので名前はありません。


「まあ、いいですか。こいつらは全員普通科なので、入学金貰ってますし。チヨ先生、片付けておいて下さい。他の教師や職員を使っても構いませんから」

「へーい」


 ほほう。剣聖は他の教師や職員を顎で使える立場ですか。年俸2億円とかメジャーリーガーみたいな契約みたいだし、この国でもホントに剣聖なんですね。なんだ、ちゃんと配下として役に立つじゃないですかー。


「どうやって片付ける?あんた、ポチみたいな生活魔法は使えないんでしょ?」

「ほじゃあねえ」


 実家に残してきた王女のくせに私の奴隷のポチなら、お掃除魔法で血の一滴も残さずにクリーンに出来るんですけどね。ポチも、ここには居ませんし、呼ぶことも出来ません。

 はてー、どうしたものかー。


「チヨちゃんさあ。時速88マイルに抑えて風起こせないの?」

「そんな無理を言わないで下さい、殿下」


 こいつ力だけか。むーん、終身名誉王女みたいなパチモンじゃない、ほんとの王女殿下に頼むかー。


「私でよければ。いえ、むしろ修行の一貫として、やらせて下さい」


 国家の敵を排除して頂いたお礼もしないとって事で、王女は快諾してくれました。何言ってるか分かんなかったので、王女の代理執行権を持っている近衛騎士隊長のキナコさんと会話しました。


「そういえば、近衛騎士隊長が、こんなとこに居ていいの?女王とか王様の護衛は?」

「ああ、帝国の方なのでご存知無いのですね。ダモン王国の王室は王女様だけですので、むしろ私はここに居るべきなのです」


 なるほど。神話の世界とまんま一緒だね。もしかしてここは、あの世界の1万2千年後の世界だったりするのかな?だとしたら、もっといろいろ居るはず?

 まあ、いいか。同じだと思い込んでたら、思わぬ罠にハマるかも知れない。気をつけよう。


 キナコ隊長の超絶技巧うちわにより、ピンポイントで変身腹巻きに時速88マイルの風を送り込んで貰って、マナカナフルチャージです!腹巻きを外して、アン副隊長に持って貰ったので、今度は誰も吹き飛ばされませんでした。


 さてとー。ほいじゃー片付けますかねー。今日はあったかいので、そろそろ腐敗が始まります。


「うーん?100体しかないよ?」

「ありゃ、あとひとり誰じゃろ?」


 あいつかな?ハルヒ女。あんなネタかましておいてハルヒ感ゼロの、私と同じ女生徒Cセグメントの幼女。図書室に籠もってるんですかね。よく見かけましたよ。


「見事に脳を破壊されとる」

「いやあ、こんなにサクっと頭骨を貫ける剣は振ったことないので、つい楽しくなっちゃって」


 そりゃあ、ミスリルとオリハルコンとアダマイトの合金の刀身ですからね。こんなものは、魔導金属がゴミ扱いのこの国にだってありませんよ。

 一振りにしか見えなかったアレで、100人の頭骨を貫いてグリっと回したんですか?何億年修行しても出来る気がしない。魔法で時間を止めれば可能ですけど、絶対途中で飽きる。私、ぷちぷち潰すのも、一気にグリグリってやっちゃうので。それでも途中で飽きるし。


「これはー、私の魔法でも蘇生は無理じゃねー」

「あー、100体のゾンビは勘弁よ。試さないでね」


 以前に、タオルくんが剣聖とその手下2人をボロクシャのクッシャクシャにした時は、剣聖だけは右脳が無傷だったので蘇生出来ましたけど。手下2人は、脳もボロクシャだったのです。そこで、過去から無傷の脳を召喚してみたのですのじゃがー。

 ゾンビと言うのもおぞましい、恐ろしい生物と化してしまったのです。骨も残さずに焼き尽くしましたよ。生命を弄んではいけませんね。


「あの時みたいに焼くの?」

「伝説の樹に引火しちゃったら、国賊になるんじゃろ?それはダメじゃけ」


 今度こそ敵の血を大量に吸わせたので、剣聖の血を吸わせてしまった罪はチャラだと思います。ここで余計なリスクは背負えません。


 ふぁいあー! すべてを燃やし尽くせー!


「結局、燃やすんかい!」


 お、インチキ関西弁幼女が天然のツッコミ回路のお陰で、トラウマを克服したようです。大変、結構。6人しか居ない貴重なクラスメイトです。廃人だとさみしいですからね。


 ちょっと呪文の選択が不適切でしたが、呪文なんて飾りでしかありません。実際に発動したのは召喚魔法です。100体の刺客の体を贄に、どんぐりを召喚!


 ころころころっ。


 なんと、100体もニンゲンを捧げたのに、どんぐりは3個だけです。死んでたから?ふむー?という事はー?逆にどんぐりから人類を創造する場合、3個あれば100人作れちゃう?究極はアダムとイブの2匹でいいんでしょうけど。確実に、インブリードになるよね?それどうなん?


 女神的な心配をする前に、結界を突破しないとですが。なんかもう、このままここで小学生やってようかなって気になってきましたよ。

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