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11-6. バッキバキの一年生

 伝説に残るであろう驚愕の入学式の後は、各クラスに分かれてのホームルームです。


 私達は、1年ドラゴン組です。クラス名は寮と同じ、クライメイトは寮生と同じ。針山ポタ男の学校と同じシステムですね。

 まずは、担任の小咄。担任の名前は、ユカリン・コアーラ。ニャモ先生は居ないのかな?


「つまりね、ハイジとクララこそ至高なのよ。究極はゆんゆんとめぐみんね」


 騎士の心構えとかじゃなかった。言いたい事は分かったし、異論も反論も無い。


「分かったかな?まあ、あんたらほぼ全員騎士になれずにアレでナニなんだけどね」


 あれ?こいつこんなのでもこの学校のOBなんだよね?9年間生き残ったエリートじゃん。まじかー。あの超高速観覧車に耐えたの?もしくは、うまいサボり方を知っている?そっちだな!よーし、仲良くしておこうか。私はコミュ障なので、タオルくんに仲良くしてもらおう。で、アレでナニって何だろうか。何としてでも3年以内に、脱走しないとヤバそうだよ。


「じゃあ、次は自己紹介ねー。やる気のあるヤツからやって頂戴」

「はい!」


 いきなり、誰か立ったぞ。やる気あるなあ。やる気以外のものが溢れてそうだけど。


「この中に神族、アンドロイド、異能力者、宇宙人がいたら、あたしのところへ来なさい!」


 そういえばハルヒも図書室にあったわー。キャラの属性や話の順番が違ったり、エンドレスエイトが全8巻だったりしたけど。うーん、それ全部会った事あるけど、私もタオルくんもちょっと違うなー。宇宙人の可能性はあるけど。そう言えば、寮の風呂で歌ってた異世界人は、このクラスに居ないね?姉妹とも1年生ではないのかも。それとも、もうどっかに転生したかな?あれ以来見ていない。


 意外にも、みんなやる気があるのか、先を競う様に自己紹介は続いた。リンリンみたいな貴族は2人だけだった。他は名字が無いことから庶民なんだろうね。髪の毛の色、肌の色、瞳の色、バラバラだ。猫耳獣人と、タヌ尻尾獣人がひとりづつ居た。自己紹介が正しいのであれば、ヴァンパイヤや異能力者、魔族は居ない。


「わいはチンチンポテト1世や。なんてなー、うそやでー」


 こいつが王女なのか?と思ったら、相部屋になりかけたインチキ関西幼女だった。結局、名前はなんなんだ?


「私は、アンジェリカ。名字は無い。得意技は、アハトライトスラッシュ」


 アンジェリカという貴族令嬢っぽい名前と裏腹に、名字は無いので庶民だね。そして、ツイン三つ編みおさげの地味モブ子。メガネかけてて、そばかすもある。テンプレの様な地味モブ子ちゃん。可愛い。私は、トゥンクした。アハトライトスラッシュにね。魔法じゃないだろうから、一瞬で八つ裂きにする剣技なんだろうなあ。こえー。


 さて、残りは私とタオルくんともう一人。タオルくんはもちろんやる気が無いので大トリで落とす気だろう。ほいじゃあ、次は?


「ちんは、王女コルサである。ちんちんはない」


 あっはっはっはっはっはー!!うひーひっひっひー!!


 ナニコレ!?クラス中が大爆笑でコワイ!

 私とタオルくんは、帝国の皇帝に散々ちんちんネタを聞かされたので、失笑すら漏れない。溜息しか出ない。ひとつ前の地味モブ子アンジェリカの「名字は無い」に微妙にひっかけたのかも知れないけど。インチキ関西人も軽く前フリにはなっていたけども。


「おい!バカ!笑っとけ!消されるぞ!」


 隣の地味モブ子アンジェリカが、鬼の形相で私とタオルくんを見ている。声に出していないのに、はっきりと心の絶叫が聞こえた。幻聴かしら?もしくは、こいつまじで魔法幼女なのか?そんなものは、この国には実在しないのでは?マナもカナも無いのだし。それだけ必死の心の叫びなのだろうね。

 アンジェリカって長いなー。アンでいいだろ。アンとは仲良くしておこう。

 ちなみに、私の席は窓際の一番後ろ。その前がタオルくんだ。タオルくんが勝手に確保した。

 ん?王女の自己紹介はもう終わりか?私とタオルくんは、さらっと王女の取り巻き連中を敵に回した気がするけど。もう手遅れだろうなあ。新入生代表の座を奪った上に、姫呼ばわりされてるし。


「おい、次こそ姫だぞ」

「おう、どんな自己紹介なんだ?」

「注目だぜー?」


 おい、期待すんな。何のネタもないぞ。ハルヒネタならもうやられたしな。いや、さすがにアレをやるほどにメタルハードじゃないわ。うまくいったらグッドボタンチャンスですよ!


「ニャア・スットントンだー。言っておくけど、私は姫じゃないからな。もっと凄え何かだ。それは言えねえから、勝手に想像して震えて眠れやぁ」


 静まり返った。狙い通りだね。スベったわけじゃありません。これでもう姫じゃなくて、もっと凄え何かの名で呼ばれるだろう。

 さあ、ラストのタオルくんはー?どう落とすのか!?今度こそグッドボタンチャンスですよ!


「あー、だりぃ。タオル・スットントンっすわー。ちぃーっす。よろぴくねー」


 やる気の無さが溢れ出てるわー。カッコいいっすわー。イイネ!おにゃしゃす!


「あ!こいつら同じスットントンだぞ!」

「双子なの?」

「でも、全然似てなくなーい?」

「夫婦なんじゃないの?」


 バカな男子小学生なら、囃し立てたところでしょうけど。

 この国では、6歳幼女の夫婦が本当に成立するのでしょうか? どゆこと?


「あ?夫婦で悪いか?俺の旦那をいじるヤツは、毒の草を、しりのあなから食わすぞコラ」

「あ、はい。ごめんなさい」

「元気があっていいわね!先生のおしりのあなは病んでるから、毒の草食わせないでね」


 ユカリンもおいなりさんじゃったかー。隙を見て治して恩を売る、わけにいかないのかー。この国には魔女は実在しないんだもんなあ。「おしりのあななおーる」は魔薬にも無いんだけどもー。その辺の毒の草を代償にして、召喚魔法で作れば、当家に伝わる秘薬ですって誤魔化せないかな?


「ユカリン。おしりのあなを治したいなら、スットントン家の秘薬があるんでー。うちらの寮の部屋に来るといいですよー」

「え?ほんとに!?あの伝説の!すぐ行きましょう!はい、解散!授業は明後日からだからなー、遅刻3回連続でしたら、死刑だからなー」

「はーい!先生あでぃおーす!」

「あでぃおーす!」


 え?アディオスが帰る時の定番の挨拶なの?ふざけてるのかどうなのか分からないなあ。

 ユカリンは「あの伝説の」とか言ってるけど、まさかこの国にスットントン家が実在するの?没落した地方の貴族って設定だったっけ?


「あ!主君待ってー。一緒に帰ろー」

「剣聖はタオルくんと一緒に行ってて。カオリンも先に行っててー。私は、ちょっと寄るところあるから」

「校舎の裏にサボテンが生えてたから、アレがいいと思うよ」


 タオルくんは私のやろうとしてる事がお見通しのようです。さすが我が妻だね。

 んで、剣聖は一緒に帰るってどういう事なんだ?ま、後で分かるか。


 ほいでー。


「ふんぎゃああああああああああああああ!!」


 私達の部屋に、カオリンの絶叫が響き渡った。

 サボテンのトゲトゲを活かしたままで、大きめの座薬を作ったのだ。即効性のおしりのあなの病が全快する、魔薬だ。こういう荒唐無稽なシロモノも想像通りに作れるのが私の召喚魔法だ。


「ああ!ほんとに治ってるー!ありがとう!ニャア様!」


 ちょろいな。担任は入学初日で支配完了だぜ?


「きたねーしり触ったから、お風呂行こうー」

「そうだね。風呂上がりにご飯食べたら昼寝しよう。疲れたわー」


 疲れた時は、魂の丸洗いですよ。

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