1-14. 超絶未来世界も技術が進化し過ぎでポンコツシステムエンジニアのお仕事はありません
2025/2/19 少し修正と加筆
明日からがんばる。
今日はだるいのでー、って寝てると思うじゃないですか?
ところが、気がはやって眠れなかったので、深夜の内に村を旅立ちました。
超絶技巧治癒魔法でも心の問題までは治せないみたい。心なんて脳内のシナプスがシナっとプスプスしてるだけじゃないんですかね? イカれたハートは治癒魔法では治っていませんでした。
私は長年のシステムエンジニア生活で、ハートがデストロイしているので、一度テンションが上がると、無駄に行動的になるのです。突然の深夜リリース作業敢行です。
とゆーわけでやって来ましたよ。メトロポリスに!
異世界といえば中世ヨーロッパ風味だと思うじゃないですか?
そんな事ないんですよ。最近の私が実家同然に暮らしている村は木造家屋に畳に襖と障子ですよ、純和風ですよ。テレビもないしラジオもありませんし、車なんて見たこともない文明レベルだし、村人全員顔見知りになるような、小さな田舎の村ですけどね。中世ではあるかも知れませんが、定番のヨーロッパ風ではありませんね。
だいたいがですよ。中世ヨーロッパって衛生観念が未発達ですからね。何故ハイヒールなんて拷問器具みたいな靴が生まれたのか? パラソルみたいなロングスカートは何を隠すものなのか? そういう事です。そんなの嫌ですよ。私は、シャワートイレがないと、おしっこも出来ないのです。村には、ラジオすら無いのにシャワートイレがあって、水洗で下水も完備されています。文明レベルが謎です。シャワートイレは手動ですけどね。
中世日本風味の世界があるならば、現代日本風味の世界や、近未来世界だってあるはず。そう思ってはいましたが。
この街は、超未来都市ですよ。
まさか、ペーターがヤギを飼っているような村と同じ世界に、こんな大都会があるとは!
畳に乗って空を飛び、6時間ほどで辿り着きました。文明格差が半端ない。
もしかして、うっかり時空越えちゃいましたかね? 無事帰れるのかしらん?
大型家電量販店の店頭には、テレビやラジオはもちろん、アンドロイドまで売ってますよ。スマホのOSではありません。ぼくロボットじゃないよ、アンドロイドだよ、の方です。自らを実演販売してらっしゃいます。家事をしてくれるんでしょうかね。メイド服着てますし。
「掃除、洗濯、炊事の家事全般から、育児、子供の教育まで。あなたのぼんくらな子供に帝王学を仕込んで、この世の覇権をとりませんか? 10年後のあなたが国王になるために、是非私をお求め下さい」
すごいですね。潜入工作や暗殺、テロまで出来るとか言ってますよ。この国の工業規格はどうなっているのですか? 安全管理基準とか無いのかしらん? アンドロイドが世界征服を目指しているところは、まるで日本で読んだマンガですね。
他にも、耳に差し込むうどんみたいな翻訳機とか、燃やしても復活するエレキギターとか、いろいろあります。うーん、どれもこれもまるで魔法。高度に進化した科学は魔法と区別がつかないって言いますけどね。こんなの仕入れて売ったら魔法使い認定されて、またエライ目にあいますよ。
ゲーム機もありますね。平成日本のやつと比較して極端な進化はしていないですね。2Dの画面に精細なグラフィックが表示されています。立体表示されてもいませんし、ゲームキャラをもみもみ触れたりもしません。クンカクンカも無理です。そういう進化はしてませんね。
試遊台があるので、ちょっと遊んでみましょうか。
おやー?
このシスター服のいきった女キャラ見覚えがありますよー? じいちゃんに駆逐された俗物シスターじゃないですか?どこかに逃亡したのではなくて、ぶっ殺されてゲーム世界に転生していたようですね。ゲーム世界に転生するのも定番ですからね。私も、極悪令嬢の乙女ゲーム世界に転生したことあります。女生徒Cの役で。
このゲーム買って帰りましょう!
でも、ゲーム機とモニターも必要なので買えませんでした、ぐぬう。
「このゲームなら携帯ゲーム機でも遊べますよ」
親切な店員さんに天啓を授かり、携帯ゲーム機を中古で2台買いました。シスターの取り込まれたゲームは、通信で協力プレイも出来る仕様なので2台買いました。悪どい商人を丸焼きにしたりして稼いだお金が全て消えましたが、お金ならまたぶん取ればいいのです。
お家に帰って、早速タオルくんとメイド騎士と遊びます。奇跡的にちゃんと家に帰れたのは、ゲーム脳のおかげでしょう。ゲーム脳って、なんかの異能ではないんでしたっけ?
「くくっ…これは確かにあの俗物シスター…ウケる」
「へー、こいつがシンちゃんを売り飛ばした奴ですかー?」
ゲームはオープンワールド系で、シスター以外のキャラも選べますが、まずはシスターを選んで単体で遊びます。代表して私が操作しますが、やることは3人で決めて遊ぶ感じでいきます。
「こっち見てるよ、こいつ。うわっきも!」
「他人に操作されるのってどんな感覚なんでしょうね?」
私は、悪役令嬢のゲームの中ではNPCの女生徒Cだったので、好き勝手に行動していましたが。プレイヤーが操作するキャラだとどんな感覚になるのかは想像するしかありません。きっとコワイでしょうね。
まずは、恥ずかしい事をさせましょう。
パンツ脱いだりは無理でしたが、適当に思い付いた一発ギャグをさせる事が出来ました。
「これは、俺の紅生姜なんだぜ?」
そう言いながら、自分の左乳首をつまみます。右目のウインクも組み合わせてみましょうか。カッコつけキザボイスで言う所がポイントです。案外、おもしろくないですか? うーん、放送禁止かも。
このゲーム、操作の自由度が高過ぎます。もしかして脳波を読んでますか? さすが超未来の科学技術です。
怪人シスター女は屈辱を感じているのか、顔を真赤にしてプルプルしていますよ。
「そろそろ、死亡遊戯をさせようか」
14歳児はまだまだ大人にはなりきれていないので、平気で残虐なことします。我々すっとんとんシスターズは、異世界渡りの過程で倫理観とかぶっ壊れてますし、なおさらです。このシスターには恨みもありますからね。非道なプレイが始まりました。
画面の中のシスターは、もう50回は死んだでしょうか?
盗んだバイクで暴走して交通機動隊に突っ込んでみたり、ドラゴンの口の中に寝そべってみたり。半裸でビルの屋上の縁をうさぎ跳びさせた時は、見てるこっちも怖かったです。グラフィックがリアルなので。
ゲームの設定で何度死んでも蘇ります。ちょっと所持金が減るだけで、病院からやり直しが出来るのです。ヤツの心は完全にデストロイでしょうね。
「さすがに飽きてきた」
「このキャラは削除しちゃいましょう」
キャラ選択からやり直すためシスターは削除しました。それ以降選べなくなってしまいましたが、奴はどこへ消えたんでしょうね。異世界転生は、こういうハズレ世界の方がずっと多いのです。
私は、あたりの世界をひきあてて、本当に良かったですよ。