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10-7. 働き過ぎる人達

「こいつのレーザー砲はデカ過ぎるわね。私の右腕には仕込めそうにない」

「ほじゃーの。おしりにも無理じゃね」


 タオルくんと一緒に、ダンボー型宇宙服を着て、対地攻撃人工衛星を見に来ました。こいつのレーザー砲をサイボーグ戦士タオルくんの武器に流用できぬものか?と。でけえ!って事だけは分かりました。

 ミクルちゃんの解析によると、こいつのレーザー砲はコボルとも違うそうで。さっぱり分からんちんという事です。コボルよりも強力なのは確実ですけど。コボル砲を砲台ごと蒸発させちゃったので。


「ミクルちゃんにも理解出来ない古代技術じゃとゆうとるし。移植は諦めた方がー」

「そうねえ、強過ぎるのもねえ。この惑星の人類が滅んだのは1回じゃないのかもねえ」


 リバースエンジニアリングで解析する事も可能でしょうけど。無敵過ぎる戦力もね。ロマンがありませんから。やはり、世代遅れのCPUと少ないメモリを、ソリッドな設定で使いこなすのがIT派遣の戦いです。なんで、派遣にはボロクシャPCしか貸与しないのん?派遣に貸与するPCのスペックで、その企業の勢いが分かったり分からなかったりします。


 私達の目の前で動くはずのないレーザー砲が突如発射されちゃうとかー、私達以外居るはずの無いこの空間に誰かが居るとかー、そういう事件も起こらず。もはや、私達はこの惑星で最強の存在になってしまった?もし敵対する者が居るとしたら、それは未来か異世界の私達自身か、神?うはー、静止衛星軌道は神的な視点で惑星を眺めてしまうので、そんな事考えるとガクガクぶるっちょです。もう帰りましょう。


「ほいじゃー、帰ろうか。タオルくんキミは何処に落ちたい?」

「何処にも落ちないわよ。転移魔法覚えたんだから一瞬で帰れるでしょ」

「少佐ごっこも楽しいのじゃけどもー」

「私が大気圏で燃え尽きるの?嫌よ。にゃあしょうしゃー!減速出来ますん!」

「無駄死にじゃあ、あっはっは」


 大気圏突入もスリリングで楽しいんですけどね。うっかりすると一瞬で蒸発して死ねちゃうので。どんな絶叫マシーンも比較にならんよ。


「もう4千年は生きて来たけど、まだまだ死にたくはないわねー」

「ほじゃーね。私は、まだ100年くらいじゃけども」


 100年も生きていれば、ここで人生が突然終わったとしても、ニンゲンとしては長生きな方なのにね。ヒトの欲望にはきりが無いと言う事でしょうかね?もしかしたら、私達は延々死後の世界を生きているのでかも知れないけれど。


「ただいまんがん」

「おかえりちうむ」


 地上に帰ると、1万年経過してるとか、古代人類の世界だった、とかも無く。あっさり無事に帰れました。何も事故が起きないと不安になるのは、炎上案件ばかり参画していた弊害ですかね。


「何か収穫はあったの?お姉さんも宇宙に行きたかったのだけど」

「お姉さんは、まずおしりの病を治してからじゃ。気圧の変化で、しりあなバーンしてもええの?」

「うひぃ!」


 お姉さんは、飲んだくれてたせいか、しりあなをまた患いました。

 アルコールを抜かないと治癒魔法が失敗して死んじゃうかもー、と脅したら禁酒を始めましたけど。まだ2週間程度です。いつまでも遊んでいるわけにはいかんのんよ。


「転移魔法の練習にはなったよ。あと、久々に神の視点的な風景を堪能した」


 この小さい球の上で、常在細菌みたいなニンゲン共がうじゃうじゃと揉めてるんだなーっと思った。滅ぼせばいんじゃね?以外の感情が沸かなかった。神の視点やべぇ。


「その視点は分からへんが。戦力的には元から十分やろ」


 村の危機は回避されましたが、所詮は対症療法的な暫定措置に過ぎません。やり過ぎると、旧ヨコハマのようにもなりかねませんし。

 根本対処としては、帝国を復活させるしか無いんじゃないの?と。この村を以前のハイジ村に戻すには、相対的な価値を下げるしかありません。そのために周辺を繁栄させるのです。なので、帝国の再建プロジェクトの検討を始めたのですのジャガー。


「帝国の領土を武力で取り返すのは簡単なんやけどもなー」


 帝国の核になっていた部分が失われてしまったのです。

 魔女教の教義を信じ、富を独占することなく世の中へ全て還元していた奇特な人達。帝国で貴族とか王族と呼ばれていた人達は、クーデターで粛清されてしまったのです。なので帝国を同じ形で再興するのは、多分無理。布教活動は大変なのです。

 

「どこかの異世界に、似たような集団居ないの?」

「まあ、心当たりはあるんじゃけどもー」


 この世界に辿り着くまでに、12か13かそれくらいの異世界を渡り歩きました。その中には、魔女教そのものな世界もありましたが。そこも、甘やかされた庶民がつけ上がって崩壊寸前でした。私は、その世界では孤児院でカサカサに干からびて餓死しました。

 宗教も哲学もなくヒトの国が発展してしまうと、旧ヨコハマのようになってしまいます。いや、あそこにも「24時間働いて死ねばヴァルハラに行けると」という宗教みたいなものがありましたね。


 帝国の跡地では、集落が連邦を形成しつつありますが、勢いがありません。地下工場で囚人が作っていたスマホの売れ行きもイマイチでした。連邦に輸出しても、買える人が少ないのです。地下工場はカジノの負け客で溢れてしまったので廃業して、収監していた囚人は旧ヨコハマの土地に放流しました。地下鉄も、村にある駅は封鎖しました。村は静かになりましたが、観光客は激減です。周辺の経済が低迷しているので、金の価値も下落、村の金鉱山も今は採掘を止めています。外貨をいくら稼いでも、外から仕入れるだけの価値を持ったモノもありませんし。村は食料自給率が高いので、移民が流入して来ない限り破綻する事もないのですが。


「村を鎖国するしかないんやろか?」

「思考がループしちゃってるカナ?」

「村人の流動性が落ちると、少子高齢化社会に逆戻りですわよ」


 元皇帝に、元国王、さらに元王女まで揃っていて協議しても答えが出ないのです。オタクでヒキニートなすっとんとん姉妹に何が分かろうものか?


「ニンゲン共は滅ぼせばいいナリ」

「どんぐりを使って、3周目だか4周目の人類を作っちゃえば?」

「それしか思いつかんのじゃろか?」

「何度繰り返しても同じ事するんじゃないの?ニンゲンなんてゴミだし」


 私達自身もギリ人類なんですけどね。かなり特殊な仕様ですけど。魔暦前は人類が滅亡しちゃうフィクションが多かったからねー。チュウニ期に刷り込まれた価値観は、なかなか修正出来ません。


 とりあえあず世界の事は放っておいて、私達すっとんとん姉妹がこれから何をするかです。旅館は1年で借金を返し終わったので、適当に維持しておきますけど。富裕層は世界の何処かにはまだ居るらしく、宿泊客は途絶えないので。


 試しに地球のAIに聞いて見ました。魔法使いと、騎士と、サイボーグ戦士の少女3人が異世界で働く小説を書いて、と。その小説の著作権はAIにあるので、転載はしませんけど。その小説の中で少女たちが選んだ職業は「何でも屋」でした。私が選んだ探偵と変わらないですね。村長の依頼で魔物を退治しに行き、圧倒的戦力であっさり撃破、何の脈絡もなくミスリルの山を発見して、報酬で美味しいもの食べてウマーっていう展開でした。まるで私達の人生ですよ。この世界にもし神が居るのならば、そいつはGoogle Gemini 2.0 Flash相当の創作能力って事ですよ。


「じゃあ、また探偵やるの?」

「うーん。どうじゃろかー」


 旅館にオモシロイ客でも来ないですかねー?ハードボイルドSFを目指しつつ、スチャラカSFに落ち着くのが今の目標です。

実際にGoogle Gemini 2.0 Flashに小説を書いてもらいました。作中通りの内容でしたよ。もっと綿密なプロットを与えればオモシロイもの作れるかも。負けるとくやしいですが。小説のリライトも可能だそうで、設定の不整合や、ストーリーの矛盾点など修正してくれるそうです。この小説をリライトしてもらったら原型が残らない予感。

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