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魔法少女と夢見る電気魔王 ~女神の異世界ITパスポート?~  作者: へるきち
1.RFI情報提供依頼書 ~システムエンジニアが剣と魔法の世界に転生して詰みましたわー~

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1-13. 死ねば転生するのだから、不死身になったらどうなるの?

「隊長、それは私のおいなりさんです」

「え? じゃあ、私のおいなりさん食べる?」

「なんて大胆なことを。さすが隊長です。ホッケの開きとはまさに隊長のこと」


 相変わらず猫頭隊員の使う慣用句が意味不明です。

 私たち魔法少女隊は、食堂で朝ご飯を食べています。ビュッフェ形式で食べ放題です。こんな素敵な場所がどこにあるのかというと、監獄です。

 私たち猫耳魔法少女隊は懲役1万2千年で収監中なのです。


 第7艦隊壊滅、同盟国の弩級戦艦撃沈、隣国の一個師団殲滅。私たちのやらかした罪は、軍法会議スキップして死刑確定コースなのですが。私たち猫耳魔法少女は殺しても蘇ってしまうので、神話級の長さの懲役刑になりました。

 あの戦艦、同盟国のモノでしたかー。どうりで接近しても撃ってこなかったわけですよ。


 そうです、また猫耳魔法大戦の国に転生しています。寝ている間にガフッと死んで転生したようです。向こうの世界の私の体に一体何が?


 まあ、別になんだっていいです。原因を追求するとろくな事になりません。


 上流の会社に、障害の原因をどこまでも遡って追求され、全てに再発防止策を強要された彼は、半年間会社に来ませんでしたね。

 基本設計が間違っていたのは何故か?査読した人が気付かなかったからです。査読者が気付かなったのは何故か?そいつがバカだからだろ? つーか、お前の事だよ?

 あれはひどかったですね。どうやっても原因が上流の担当者に行き着いてしまうのですが、その報告書をチェックするのが、問題のそいつ本人なので、「お前こんなの客に出していいと思ってんのか?」って何度も修正させられてました。


 この監獄は、我々魔法少女隊が制圧したので、実質的には、ちょっと厳つい別荘みたいなものです。就寝時間も自由、ご飯は食べ放題、おやつも食べ放題、源泉かけ流しの温泉にも入り放題、なんだここもヴァルハラだったのか。

 艦隊を殲滅可能な最終兵器が大人しく収監されてるワケないでしょ。初日に、囚人ボスの縦ロールをモップしてにしてやり、看守は生きたまま蝋人形にしてやりました。


 今回はここでスローライフを送る傍ら、習得したい魔法があります。それは回復魔法です。治癒魔法と言った方が適切でしょうか。たゆまぬ努力が、上流工程魔法少女への道を開くのです。


 村の屋根裏部屋に暮らしている14歳の私は、寝てる間に死んじゃっているようなので、どこか重要な器官に問題がありそうです。それを魔法で治してしまおうという魂胆ですね。習得したスキルは魔法も含めて、転生後の世界に持って行けますからね。日記とかパンツとか物理的なものは一切持って行けませんが。


 次もまた、あの村の14歳に転生するのであれば、ここで習得した治癒魔法で完治させるのです。左脳かおしりのあなが悪いんじゃないかと思います。どっちも自分では見えないので、よく分かりませんけどね。


 さて、どうやって習得するか。

 こういうのは実地でやるのが一番です。新しいアプライアンスやサービスも、説明書を読むより、まず触ってみるのが理解するのが早いです。そんな感じですよ、きっと。


「ちょっと、治癒魔法試したいから、1ダースくらい活きの良いの見繕ってよ」


 看守に被験体をオーダーします。

 相手はどうせ囚人です、おもちゃにしてもいいでしょ? あはは! いろんな異世界で非道な目に会い続けてきたので、私の倫理観はもう粉々なのです。特に今は猫耳魔獣なので、ニンゲンなんて喋る生ゴミくらいの感覚です。


 部下のトップニャン2人にも手伝って貰って、実験開始です。

 看守に適当に見繕ってもらった囚人…じゃなくて所長ですねコイツ。あの看守やりおるわ。自分の上司を生贄に差し出しおった。


 まず、所長の腕を千切ってみます。ぶちっとね。子供の頃、トンボやセミの羽をむしったことあるでしょ? ないですか? 私はあります。羽むしって飛べなくなった状態で猫の前に置いてみたりしました。もしゃもしゃ踊り食いでしたね。ヒドイですね子供の頃の私。あんな感じですよ。


「これはもう煮過ぎた小豆ですね。隊長」


 やり過ぎちゃいました。食べもしない命を弄んではいけませんね。SDGsに反してます。でも、無駄ニンゲンを間引いたのでカーボンニュートラルには貢献しましたね。違いますか? 違うかも知れません。

 うーん。他人の体だと切迫感が足りませんね。虫けらの命なんて何とも思ってませんから。治療せねば! という意識がちっとも沸いてきません。こうなったら、自分の体でやりましょうか!


 自分の乳首を千切ったり、鼻の穴をひとつに繋げてみたり、腸を取り出して結んだりしている内に、覚醒しました。いくら、死んでも蘇るとは言え、痛いのは嫌ですから。

 どんな損傷も魔法でスルスルっと治せます。痛みを感じする隙もないほどです。心臓に杭を打ち込んで死にません。試しにクビを落としても、絶命する前に治りましたよ! しかも、オートで治癒魔法が発動するようになりましたよ。治癒魔法の常駐プロセス化に成功しました。カーネルレベルで稼働しています。


 なんということでしょう。私は不死の体になってしまいました。


 死んでも蘇るよりも上位のステージに突入ですよ。もうこれで2度と異世界転生もしませんね。ついに異世界転生のゴールに辿り着きましよ。この厳つい別荘で1万2千年暮らしますよー。刑期が足りなくなることはないでしょう。今日も、いろいろやらかしましたからね。


 でも一度だけ頑張って死んでみましょう。屋根裏部屋に暮らす14歳の私の壊れた脳を治しにゴーダーイゴー!


「おねえちゃん、何してるの?」


 さあ、何してんだろうねえ。またこいつか。

 目的の世界へ転生できたので、早速自分の全身に治癒魔法をかけます。オート発動も有効にします。よしっ、ちょっとだけ左脳の血の巡りが良くなった気がしますね。フリーお風呂に行きましょうか。毎回転生直後は全身くっさくさです。ドログチャの生体実験したせいですかね。


「くっはぁ」


 やっぱ、ここの風呂はいいですねぇ。猫耳世界の監獄風呂も良かったですけど。


「しんちゃん、久しぶりだねー。またどっか行ってたの?」


 屋根裏部屋の同居人、ソウルシスターズのタオルくんとメイド騎士が、お風呂にやって来ました。

 メイド騎士も、すっとんとんですね。我ら、すっとんとんシスターズです。

 20年以上に及ぶ異世界生活で、はじめてのお友達です。この世界でずっと生きていくのもいいですね。

 私は超絶技巧治癒魔法の効果で、もう死ぬ事がありません。右脳が一撃で完全破壊された場合は死にますけど。右脳がアクティブなら蘇生可能です。左脳だけの破壊なら温泉に浸かれば治ります。

 なので、今後は他の異世界へ転生することがありませんね。この世界がゴールです。この世界で右脳が一撃で破壊される事なんて、まず無いでしょう。

 治癒魔法で老化も防止出来るようなら、永遠にこの村ですっとんとん14歳児として生きていきます。


 聖国プリズンも捨て難いですけどね。特に、猫耳モフモフ抱き枕。こっちの世界でも何処かに居るかも知れませんね、猫耳モフモフ。いつかとっ捕まえて抱き枕にしましょう。


「しんちゃんは、お仕事見つかったの? トラック野郎ブラックスターになるとか言ってたけど」

「あー、あれなぁ」


 トラック野郎の仕事は信用が無いと出来ぬという話でした。

 だがしかしですよ? 客なら自前で確保すればいいのでは? 私、システムエンジニアになる前は営業職でしたからね。飛び込み営業もメタルハートでばっちりですよ! コミュ障ですけど。営業は努力と根性なので。スキルとかいらんし。

 いや? そもそも他人の荷物を運ぼうという発想から間違っていませんか? 例えば、この村では塩は外から買っていると言ってました。であれば、どこかで塩を仕入れてこの村まで運べばよくないですか?


 私が商人になればいいのですよ!


 商人といえば、異世界転生モノの定番ですよ! 右から左に物を流すだけでウハウハ大儲けですよ! 飛行魔法でひゅんひゅん運べば、あぶく銭がざっくざっく!


 明日から商人になりましょう。明日からがんばる。

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