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魔法少女と夢見る電気魔王 ~女神の異世界ITパスポート?~  作者: へるきち
1.RFI情報提供依頼書 ~システムエンジニアが剣と魔法の世界に転生して詰みましたわー~
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1-12. コミュニケーション能力とは異能

 情報を積極的にキャッチアップして能動的にアクションを起こせる人。

 

 ITの現場で求められるのは、そんな都合の良い人物です。コミュニケーション能力の高い人、という言い草も多いですね。キャッチアップとか言っちゃってる時点で、イカれてますよね。世間一般からかけ離れています。

 情報を与えず指示も出さないのに、他人が自動で思うままに動く。それも外からやって来た他人が、全てを察して何も言わなくても勝手にやってくれる。そんなミラクルファンタジーが当たり前の世界。IT派遣の現場は、異能で溢れていますね。IT派遣は人類の革新なのデス。


 でも、私が今居る場所で、そんなトチ狂った運用は通りません。


 知らされてない情報をキャッチアップすればスパイですし、命令以外の行動をとれば独断専行という重罪です。


 だって、ここ軍隊なので。


 私の異世界留学先である、猫耳少女の世界です。

 現在、絶賛大戦中。最前線で命がけの魔法学習です。命がけなので、魔法の学習が捗ります。だって、覚えないと死んじゃうので。どうせ死ぬんですけどね。

 そろそろ時間を越える魔法も習得したいですね。攻守共に役立つ究極魔法ですよ。さすがに、世の理に反するのか、難しいです。時間停止魔法だって、おしっこが近くなるという代償があります。なので、時間停止しても2度寝は出来ません。


 IT業界の毒電波に精神を汚染された私が軍隊なんかに馴染めるワケない。命令があるまで待機とか拷問ですよ。キャッチアップして能動的なアクションを起こす乙女なので。


 はい! というわけで、今回は魔法大戦の異世界で弩級戦艦を撃沈しますよー。いいね! よろしくお願いします! 星はひとつでも5つでもいいんですよ。見事撃沈したら、グッドボタンチャンスです。


「むーん。あのおいなりさんは、ふっくらふかふかですよー?」


 水平線の彼方に巨大な艦影が見えます。弩級戦艦です。魔法少女に代表される航空戦力が主力となりつつある昨今、大艦巨砲主義は時代遅れですが。ロマンに溢れています。魔改造して宇宙へごー!ですよ。第三艦橋は健在ですよ!


「つぶつぶおはぎが8に、こしあんが2です」


 猫耳の生えた美少女型の魔法少女。それが今の私です。

 聖国とかいう国家の海軍で魔法少女隊の隊長をやってます。魔法少女は外洋を進む空母に搭載されている最終兵器です。兵器ですが、その可愛らしい猫頭の中には、自律行動可能な脳がビルトインされています。沈めたいものがあれば沈めます。独断専行? いいえ、能動的なアクションです。


「ちょっと見に行っちゃいますか?」


 情報を積極的にキャッチアップしますよ! 能動的に出撃デス!


 部下2頭を弾除けにしながら、ホウキに跨って超弩級戦艦目指して飛んでいきます。


「朝ご飯のめざしですねー」


 我々魔法少女隊の3人の間で、言葉は通じてはいるのですが、何言っているかよく分かりません。

 同じ言語でも慣用句が異なると、さっぱりですね。企業や職場にある独自の隠語や造語と同じ。ヨソモノである派遣には意味不明な事が多いです。新しい現場は、言葉や風習を理解するだけで、最初の半年くらいが過ぎていきます。本人達は、それが常識だと思い込んでいるので、新入りに説明する気もないですからね。

 例えるなら、COBOLとJavaで会話するようなものです。んー? それは永遠に会話不可能ですね。津軽弁と薩摩弁みたいなものです。それも永遠に会話不可能ですね。


 弩級戦艦は対空砲火を装備していないのか、接近中の魔法少女を攻撃してきません。


「よーし。艦橋スレスレを飛んで驚かせてやりましょう。誰がもっとも寄れますかねー?」

「おお? 勝負ですかー?」

「トップニャンは私ですよ」


 私たち魔法少女は兵器ですが、中身は幼女なので、遊び感覚ですよ。

 逆三角形に並んだ私たちは艦橋に向かって音速飛行で突っ込んでいきます。まず、部下2頭が左右スレスレを掠めて通過です。衝撃波で艦橋が粉々になりました。やっちゃいました。多分これ旗艦ですよねー? 艦隊の指揮所を破壊です。戦線崩壊確定。最後に私が、艦橋にドーンっと突っ込みます。

 

 私達は、弩級戦艦の艦橋を制圧しました。


「この戦艦動くぞ!? 5倍のエネルギーゲインだ」


 何基準で5倍なのか不明ですけど、戦術兵器を盗んだら、こう言っておくのがお約束。

 さあ、盗んだ弩級戦艦で走り出しましょう!

 

「どっちか船の操舵できるの?」

「私、元漁師なので、煮込んだ小豆です」


 漁船と弩級戦艦の操舵方法は同じなのでしょうか?

 まあ、任せてみましょう。タダで手に入れたおもちゃです。多少壊れてもどうと言うことはありません。部下に任せるのが隊長のお仕事です。丸投げとも言いますね。


 ちょっと巨大主砲を撃ってみたいですね。

 45口径46センチ3連装砲。ロマンしかありません。現代日本の技術を持ってしても、もう造れないそうです。知らんけど。

 ターゲットはー、そうですねー、さっきまで乗っていた空母にしますか。デカくて壊し甲斐がありそうです。あのヒゲちょろ艦長ムカつきますし。


「攻撃目標、聖国第7艦隊の空母! 撃てー!」


 弩級戦艦の超巨大主砲で空母を滅多打ちです。相手は主戦力である航空機を失っているので、なすすべもない。その主戦力は我々なので、ここにいますからね!

 ふぅ。壮大なトリガーハッピーを堪能しましよ。カイカンってやつです。水兵さんなのでセーラー服着てますし。セーラー服と445口径46センチ3連装砲です。

 空母は粉々です。聖国最大の第7艦隊とやらは、もうおしまいですね。


「とーりかーじ」


 トリカジってどっちに行くんでしたっけ?

 とにかく陸地を目指しますよ。


「私のおまんじゅうです」


 陸地が見えてきました。ここからはホウキで行きましょうか。戦艦は弾薬も尽きていますし、燃料も残り僅かです。もうゴミですね。証拠隠滅のため沈めましょうか。

 真ん中でへし折ってやりました。真っ黒な隕石を落っことす暗黒魔術ブラックスターで。くくっ、我に落とせぬ戦艦などない…。おはぎみたいな隕石でズドンしてやりました。この魔法は代償として、ものすごくおはぎが食べたくなります。


 戦艦を轟沈させ、上陸した私たち魔法少女を待っていたのは、一個師団の陸軍でした。

 私たち、国際指名手配されてました。さすが軍です、動きが早い。


 こいつらを殲滅したところで、私は力尽きてしまいました。


 … … … 


「おねえちゃん、何してるの?」


 さあ、何してんだろうねえ。私は知っているよ。私は公園のベンチに座って、ぼんやりと幼児の集団を眺めていました。こいつら、いつも公園で遊んでいるな。いいことですよ。どんどん騒いで、近所の老害達をノイローゼにしてやるがいいですよ。

 猫耳少女が死亡したので、転生してヴァルハラ村に帰還です。これで何度目ですかね? ここに帰って来るの。もう実家みたいなものです。できるなら公園じゃなくて、屋根裏部屋に出現したいものですが。


 さっきまで居た戦場も、確か2度目か3度目でした。どうやら、猫耳と屋根裏部屋の世界を往復していますね。こっちに戻って来た理由ははっきりしています。おかわりの一個師団にボコられて死にました。 


 分からないのは、こっちから向こうに行った原因なんですよねー。寝てる間に行っちゃったようなんですが。寝てる間に脳とか心臓が停止して死ぬのはよくあることですね。そんなところでしょうか。14歳児の体で起きる事とも思えませんけど。


 寝てる間にお姉様にイケナイいたずらされている可能性もありますね。なにそれコワイ。

評価はこの下にある星です。お願いしまう。

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