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7-13. 女神の顔もサンドまで

「リブートといえば、最近は以前あったイベントの使い回しが多過ぎじゃない?」

「使い回しって、そんな神を冒涜するような」

「この世界にもし神が居るなら、あんたみたいなマヌケね、きっと」


 確かにー?

 過去イベントの復習が復讐のように繰り返される。最終回が近いんですかね?


 観光客が増えると、マヌケもやって来るのです。フードコートで暴れてるじじいが居ますよ。いつか見た青い空ですね。


「女将を出せ!こんなロールキャベツが食えるか!」

「はあ、何かご不満でもありますの?ここで、そんな騒ぎ方すると奴隷にされますわよ?」

「よく見ろ!この店では客に虫を食わせるのか!」


 ポチは料理無双を活かしてフードコードで働いてます。ドラゴンベーコンを巻いたロールキャベツを作っているのもポチだよ。そのポチにじじいが絡んでます。

 嫌がらせですかねえ?この村のキャベツは虫には食べられないので、混入しないでしょ。

 あ、女騎士が調停に入ってくれるようです。ひと安心ですね。女騎士はフードコートのお給仕さんと、用心棒を兼ねてますからね。


「あ?昆虫食舐めんな。黙って食え。その虫は家畜のエサにもしないけどな」


 ひと安心?

 

 いやー、あんなじじいは私のハーレムには不要なので奴隷にはしませんよ。なお、ハーレムとはこの国の慣用句で姉妹の事だそうです。なるほど?。あなた大佐が曲がっていてよ?


「座布団あげてもいいナリ。その度胸に免じて」

「あざます」

「曲がった大佐って何よ?そんな事より、アレほっといていいの?」

「うーん?女騎士ちゃんも、ポチも修羅じゃからして?」


 じじいは虫を無理やり食わされて、ビクンビクンしてます。あの虫、毒持ってたのかな?病原菌のキャリアだったのかもな。


「私も鬼じゃあないんよ。魔王なんよ」

「ついでに言うと、コイツはもっとたちの悪い女神でもあるわよ」


 じじいを治癒魔法で半分だけ治してやり、ヤクザみたいな説教をしました。でも、バカには何を言っても無駄でしたわ。虫も食わねえキャベツなんか云々言い出しました。

 うっとうしいので放置しておきましょう。誰かが始末するでしょう。お掃除魔法ならキレイさっぱり消えるかもね。


「こんなチンピラみたいな事してないで、やっぱり形だけでも仕事したら?」

「ジャガーに乗った幼女が村の巡回をするのも立派な仕事なんよ」

「そりゃあ私も宇宙海賊のコスプレして、肩にフェニックス乗せてるけどね?」

「オメエドコチュウダー?」


 フェニックスのぼんじりはオウムになりました。宇宙海賊タオルくんの肩に乗るくらいの。先日巨大化して大騒ぎになったのは何だったのか?

 それはいいけど、オウムには、もうちょっと品のある言葉を覚えさせてはどうだろうか?


「ククー、ワレノミギメガーウズクンジャー、メガーメガー!」

「そのオウムうるさいな?焼いて食ったろか?」

「ヒトガゴミダー」

「食べてもいいけどさ、復活するから」

「サアボクヲオタベー、クエー!」

「もうちょっと頑張って漫才したら?オウムと」

「ソレだ!じゃあ私は特訓のため引き籠もるから、じゃっ!」


 そういえば以前、インコの時にアレ食べたけどさ。クエー!って鳥的な鳴き声じゃなくて、食えー、だったの?いつもそんな事言ってたの?あの鳥、ちょっとこわいかも。


 やはりアレですよ。建前だけの職業といえば、探偵事務所ですよ。

 私はハードボイルドでヘヴィヅーチーな探偵になります。


「噛んでるじゃない。向いてないんじゃないの?お姉ちゃんに探偵は」

「そやで。それに話題の転換が急すぎてこわいで」

「違うんよ。タオルくんの使い魔が漫才の相方になるんなら、私の相方は名探偵になるんよ」

「そらたしかにー?猫が名探偵な小説読ましてもろたけどな?これドラゴンやろ?」


 思えば、猫のアマテラスは、これまでこれといった活躍がありません。異世界ものと言えばドラゴンの大活躍は必須なのに!

 ドラゴンと言え、今は猫です。いや、ジャガーですのジャガー。お猫様こそが、真のへぶーずーちーなハードボイルドなのです!


「ところでニートンどこいったん?」

「あれは今、ミカンになってギターの猛練習してるよ」

「引き籠もりしかおらんなー、この姉妹」


 ミカンはついに本物の54年製ストラトキャスターを手に入れたのでギターヒーローさんになってしまいました。猫耳ニャア大佐に地球のUSAで買って来てもらったのです。

 ストラトキャスターを制するものは世界を制するのだそうです。だったら引き籠もりをやめて家から出ろよ、というのはオールドタイプさんです。いまやネット界隈だけで世界を制する事も可能。なんなら妄想の世界だけなら、いつでも我が王国ですよ。


 金塊はニャア大佐に預けてあります。なんでも向こうでは金の価格が高騰しているそうで。しばらくは色々と買って来て貰えます。異世界間貿易も定番だよね。時をかける魔法まで駆使してやりたい放題。54年製ストラトキャスターだろうが、レスポールだろうが、ジャパンビンテージだろうが、当時の質屋に行って激安で購入してくれます。

 私も、よつばとの16巻を買って来てもらいました。でも、17巻はまだダメだそうです。不確かな未来に行くのは不可能だそうです。よつばとってそんなに?なお、江口寿史の新刊に至っては、探そうとするだけで、時空が崩壊するそうです。是非もなし。


「お姉ちゃんも、異世界貿易無双すれば?」

「それはダメ。異世界インチキをやり過ぎるのはニャア教7つ大罪のひとつなので」

「その7つの大罪ってなんやねん?最近、急に言い出したけど」

「聞いちゃダメよジョン。どうせ7つも考えてないんだから」

「その通りですのジャガー?それがなにかー」

「ひらきなおっとる」


「ところでさー。未来に行くのって簡単なんじゃないの?理論的には」

「せやな。うちも聞いたことあるで。過去に行くのは不可能かも知れへんけど、未来に行くのは寝てればええだけやって」

「それは帰りが考慮から漏れているわね。往復するなら未来に行くほうが遥かに難易度が高いわ。だって、過去は確定しているけども、未来は常に不確定なのだから」

「未来へ行って戻ってきたら、不確定なはずのものが確定してしまう?むう、大いなる矛盾ね?」


 このブログは、ローファンタジーのタグを付けてますのジャガー。ハードSFにしてもよいのでは?


「無理でしょ。マヌケファンタジーでしょ」

「マヌケジクウー」

「タオルくんは漫才の特訓諦めたの?」

「探偵再開するんでしょ?そっちのが面白そうじゃないの」

「おやびーん。お客様がきたでやんすよー」

「え?もう?はやっ」

「ニャア教の女神ニャアが、ニャア村で探偵やるんや。そら客がくるやろ」


 ふむ。ついに私もこの村の絶対無敵の究極アイドルさんですか。では、依頼人の方どぞー。


「一姫二太郎三ナスビってゆうやないですかー?」

「ナスビは知らんけど、子供の産み分け方を知りたいと?」

「せやでー」


 第一子が女の子で、第二子が男の子、確かそういうヤツ。娘一人に息子二人でも、どっちでもいいけど。

 ミクルちゃんのインチキ未来技術か、こややし製薬の魔薬を使えば出来そうだけどね?

 古代のミラクル技術を使っちゃうのも、異世界貿易と同じで、大罪なのでダメです。私が都合よく使うのは、自分の物をどう使おうが勝手なのでいいのです。


「ダメです。子供は親のモノではありません。独立した命です」

「おやびん?あっしもおやびんのモノではないでやんすがー?」

「アンドロイドはモノやろ」

「そうでやんすねー?」


 ゆうてもおさまりそうもないので。アレですね。伝説のお昼の番組のお守りみたいなものを、さらさらっと作って神社に卸してお布施と引き換えに売ってもらいました。


「あのー、シリアナさんは殉教者として詐欺の片棒担いで平気なの?詐欺は7つの大罪じゃないの?」

「シリアナちゃんとしては、詐欺にならないわよ。事実としてニャアちゃんはニャア教を興した教祖にして女神そのものだから」

「それ自体が詐欺なんじゃあ?」

「詐欺は騙される方もマヌケじゃろ」

「この女神ひどいやんけ、ウケる」


 元皇帝のジョンは、パンイチ教の初代巫女の直系の子孫なのだそう。ニャア教の教義は全肯定のモンスターです。私は、とんでもない事をやってしまってますねー。そりゃあ、私が何やっても皇帝時代のコイツが赦すワケですわー。10年以上前にいい加減に建てたサーバが、未だに商用で動いているのを知った時以上の衝撃。しかも、それのリプレースを別の派遣先で請けて「あー、セキュリティ設計がなってないんで、見積もりにプラスしますねー」とかやってる感じ。なってないのは私です。

 何しろこっちは国家規模の自作自演なのだから。ウケる。


 それはそうと、あの腐女子メガネは1万2千年に返さないとまずそうですね。この時代の役目はもう終わったでしょう。


「おーい、巫女ちゃーん。あんたの新しい仕事だよー」

「え?はい、女神様。何なりと」

「ほいじゃー、行こうかー」


 適当なオスのニンゲンが居なかったので、さっき虫喰ってたジジイを代償に、巫女ちゃんの書いた薄い本の中から召喚しておきました。自分の書いたキャラなんだから文句ないでしょ。文句があるなら、好きに書き直してちょうだい。


「こいつとツガイになって、ばんばん子供作って育ててねー」

「え?あ、はい。分かりました」

「ほいじゃねー。問題があったら石板にでも彫って未来の私に伝えてー、おおむね無視すると思うけど」

「あ、ご達者でー、女神様ー」


 しっかし、あの巫女は何でまた私なんかに従順じゃったのか。死にかけてたとこに、お芋さん出してやったからかなー。めっちゃむせてたから、牛乳を飲ませたのも大きいんじゃろなー。喉もカサカサの状態で、ふかしたお芋さん食べたら、そりゃむせるよね。そこに無敵の牛乳じゃもん。とぅんくしてしまったかー。飲ませたのがミロだったらどうなったのか。


「お帰りー、姉ちゃん」

「おかえりでやんす、おやびん。あっしの超時空観測でも過去改変は発生してませんよ。巫女の里帰りはシナリオ通りっすねー」

「超時空観測とか、インチキにも程があるなあ」

「そっすねー、あっしもそう思うっす」


 他に締めくくる言葉がないので「世はなべて事もなし」と。


 そしたらー、めんどくさい歴女に絡まれました。お前は信長様の事なんか何も知らないニワカだ!と。そうですけど、それがなにかー?信長が何したかも知りませんわー。日本史も世界史も地理も苦手なのでー。第六天魔王とは、居酒屋でたまたま隣になって酒飲んだだけですどー?と言い返したら、絶句してました。是非もなし。


「お姉ちゃんは得意な科目何も無いんじゃあ?数学も科学も物理も化学も苦手なんでしょ?」

「いんや、国語と英語だけは勉強してなくても成績トップじゃった」

「ふっつーに、異世界転生で一番重要そうな語学力が高かったかー」

「せやでー、関西弁もしゃべれまんねんでー」

「ククッ、カッコイイ。やっぱりこのイカれた姉が一番ロックじゃ」


 この妹も、なんでこんなにイカれた姉が好きなのかというと、本人がイカれてるからですねー。

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